★【老い満ちる薊の心】
声劇タイトルは
【おいみちるあざみのこころ】と読みます。
台本ご利用前は必ず『利用規約』をお読み下さい。
『利用規約』を読まない/守らない方の台本利用は一切認めません。
※台本の利用規約は1ページ目にありますので、お手数ですが、『目次』をタップ/クリック下さい。
♂1:♀1:不問0
羽弥芝 ♀ セリフ数:13
〈既に途切れた音。目に入れても痛くないほど可愛がっている愛弟子が居る。世界中に「友達」が居る〉
将戡 ♂ セリフ数:14
〈古参の語り部。四大語り部の生き残り。ふと思い返せば、懐かしかったと目の奥が熱くなる気がした〉
[あらすじ]《3分半程度》
世界各地を語り歩く語り部は巨万と居るが、その中でも名が売れているのはほんのひと握り。これはそんな語り部達が不慮の偶然で鉢合わせしてしまった時の物語である―――。
【将戡】
おや、懐かしい。
【羽弥芝】
あははっ、本当だ〜! 久しぶりだね、将戡。元気?
【将戡】
変わりないねえ。そちらは?
【羽弥芝】
私も元気いっぱぁい! ……でもそろそろ行動範囲を狭めようかなぁって。
【将戡】
もう、歩けそうに無いかい。
【羽弥芝】
そういう訳じゃないけどぉ、念には念をね。皆に余計な心配させたくないし! そっちは? まだまだ語り歩くの?
【将戡】
そうだねえ。小生は丈夫だけが取り柄みたいな所があるしねえ。
それにまだ、生き足りないよ。
【羽弥芝】
あははっ、貴方らしい!
その分じゃあ暫くは、古株の名を任せていいかもね!
【将戡】
何言ってるんだ。鹿華も咲鳥も退場してからねえ。…侘しくなったものだよ。
夜嘉瀬も虎兎も……。みんな老耄て…みんな辞めてしまうのも視野にいれてるねえ。
【羽弥芝】
私は辞める子達を責めたりしないよ。私だって、本当の名前で死にたいと思った事ぐらいあるもの。
【将戡】
小生とて、特段責める気持ちは無いよ。
ただねえ…語り部だからこそ繋がる縁を簡単に断ち切ってしまえる彼らが、羨ましくもあるんだねえ。
【羽弥芝】
そうだね…。私はもう…羽弥芝として終わる決心がついてる…。ただ一つ、未練があるなら、これからの麒麟君の語りを聞けない事かな。
【将戡】
君は本当に弟子が大好きだねえ。小生には会わせてくれた事だってないのに。
【羽弥芝】
だって将戡ってば、麒麟君に会ったら意地悪するでしょ? 余計会わせらんないよ、師匠は弟子を守るものだもん
【将戡】
そんな事言われちゃあ、これからも会いに行けないねえ。
【羽弥芝】
あっ! ねえねえ。将戡は鹿華から頼まれ事してる?
【将戡】
何の話かねえ。
【羽弥芝】
ん〜〜、やっぱり私だけだったか。あのね、自分が死ぬでも去るでもいいけれど『鹿華』の名を久しく聞かなくなったらね、質素に墓でも立てて、弟子達に言って回れって。
【将戡】
そんな楽しそうな話どうして忘れてしまえたんだい。そうか……鹿華が消えてもう、10年も経つんだねえ。
【羽弥芝】
今でも華倖に聞かれるんだよ。鹿華様はどこですかって。一番弟子っていうのは色々知らない内に背負ってるのかもね。
【将戡】
……弟子なんて面倒なモノ、作りたくもないねえ。小生についてこれる若いのが居るかも分からないのに。
【羽弥芝】
あははっ、それもそうかも!
あ、将戡はさ! 私に頼みたい事ある?
【将戡】
…………そうだねえ。それじゃあ、小生が死んだら墓に酒でも掛けておくれよ。とびっきり高いやつをねえ。
【羽弥芝】
それ、『鬼張酒』でしょ? 気が向いたらねっ。
【将戡】
羽弥芝、君は? 小生に頼みたい事、あるかねえ。
【羽弥芝】
………………。
無いよ! 私、将戡より長生きする予定だもの! だから頼みたい事はなーんにもない! それじゃあ、またね!
次に会う時は、将戡の心が幸せに満ちていますように!
【将戡】
……ずるいねえ、君は。
どこかでまた、会えるといいねえ。
STORY END.
一人用声劇台本ページの語り部シリーズより。
それぞれ初登場台本を掲載しておきます。
語り部羽弥芝〜落馬編〜
https://ncode.syosetu.com/n0087fo/42/
語り部将戡〜花屋編〜
https://ncode.syosetu.com/n0087fo/53/




