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二人用声劇台本  作者: SOUYA.(シメジ)
台本一覧
36/84

★【老い満ちる薊の心】

声劇タイトルは

【おいみちるあざみのこころ】と読みます。



台本ご利用前は必ず『利用規約』をお読み下さい。

『利用規約』を読まない/守らない方の台本利用は一切認めません。


※台本の利用規約は1ページ目にありますので、お手数ですが、『目次』をタップ/クリック下さい。

 ♂1:♀1:不問0


 羽弥芝(はやしば) ♀ セリフ数:13

すでに途切れた。目に入れても痛くないほど可愛がっている愛弟子まなでしが居る。世界中に「友達」が居る〉


 将戡(しょうちん) ♂ セリフ数:14

古参こさんの語り部。四大よんだい語り部の生き残り。ふと思い返せば、なつかしかったと目の奥が熱くなる気がした〉


[あらすじ]《3分半程度》

 世界各地を語り歩く(かた)()巨万(ごまん)と居るが、その中でも名が売れているのはほんのひと握り。これはそんな語り部達が不慮(ふりょ)の偶然で鉢合(はちあ)わせしてしまった時の物語である―――。







【将戡】

 おや、懐かしい。


【羽弥芝】

 あははっ、本当だ〜! 久しぶりだね、将戡(しょうちん)。元気?


【将戡】

 変わりないねえ。そちらは?


【羽弥芝】

 (あたし)も元気いっぱぁい! ……でもそろそろ行動範囲を(せば)めようかなぁって。


【将戡】

 もう、歩けそうに無いかい。


【羽弥芝】

 そういう訳じゃないけどぉ、念には念をね。皆に余計な心配させたくないし! そっちは? まだまだ語り歩くの?


【将戡】

 そうだねえ。小生(しょうせい)丈夫(じょうぶ)だけが取り()みたいな所があるしねえ。

 それにまだ、生き()りないよ。


【羽弥芝】

 あははっ、貴方らしい!

 その分じゃあ(しばら)くは、古株(ふるかぶ)の名を任せていいかもね!


【将戡】

 何言ってるんだ。鹿華(ろくばな)咲鳥(さとり)も退場してからねえ。…(わび)しくなったものだよ。


 夜嘉瀬(やかぜ)虎兎(こつ)も……。みんな老耄(おいぼれ)て…みんな辞めてしまうのも視野にいれてるねえ。


【羽弥芝】

 (あたし)は辞める子達を責めたりしないよ。(あたし)だって、本当の名前で死にたいと思った事ぐらいあるもの。


【将戡】

 小生(しょうせい)とて、特段(とくだん)責める気持ちは無いよ。


 ただねえ…語り部だからこそ繋がる縁を簡単に()ち切ってしまえる彼らが、(うらや)ましくもあるんだねえ。


【羽弥芝】

 そうだね…。(あたし)はもう…羽弥芝(はやしば)として終わる決心がついてる…。ただ一つ、未練(みれん)があるなら、これからの麒麟(きりん)君の語りを聞けない事かな。


【将戡】

 君は本当に弟子が大好きだねえ。小生には会わせてくれた事だってないのに。


【羽弥芝】

 だって将戡ってば、麒麟君に会ったら意地悪するでしょ? 余計会わせらんないよ、師匠は弟子を守るものだもん


【将戡】

 そんな事言われちゃあ、これからも会いに行けないねえ。


【羽弥芝】

 あっ! ねえねえ。将戡は鹿華から頼まれ事してる?


【将戡】

 何の話かねえ。


【羽弥芝】

 ん〜〜、やっぱり(あたし)だけだったか。あのね、自分が死ぬでも去るでもいいけれど『鹿華』の名を(ひさ)しく聞かなくなったらね、質素(しっそ)に墓でも立てて、弟子達に言って回れって。


【将戡】

 そんな楽しそうな話どうして忘れてしまえたんだい。そうか……鹿華が消えてもう、10年も経つんだねえ。


【羽弥芝】

 今でも華倖(かぎょう)に聞かれるんだよ。鹿華様はどこですかって。一番弟子っていうのは色々知らない内に背負(せお)ってるのかもね。


【将戡】

 ……弟子なんて面倒なモノ、作りたくもないねえ。小生についてこれる若いのが居るかも分からないのに。


【羽弥芝】

 あははっ、それもそうかも!

 あ、将戡はさ! (あたし)に頼みたい事ある?


【将戡】

 …………そうだねえ。それじゃあ、小生が死んだら墓に酒でも掛けておくれよ。とびっきり高いやつをねえ。


【羽弥芝】

 それ、『鬼張(おにばり)(しゅ)』でしょ? 気が向いたらねっ。


【将戡】

 羽弥芝、(きみ)は? 小生に頼みたい事、あるかねえ。


【羽弥芝】

 ………………。


 無いよ! (あたし)、将戡より長生きする予定だもの! だから頼みたい事はなーんにもない! それじゃあ、またね!


 次に会う時は、将戡の心が幸せに満ちていますように!


【将戡】

 ……ずるいねえ、君は。


 どこかでまた、会えるといいねえ。






STORY END.

一人用声劇台本ページの語り部シリーズより。

それぞれ初登場台本を掲載しておきます。


語り部羽弥芝〜落馬編〜

https://ncode.syosetu.com/n0087fo/42/


語り部将戡〜花屋編〜

https://ncode.syosetu.com/n0087fo/53/

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