★【紅色染まる彼岸の花】
声劇タイトルは
【べにいろそまるひがんのはな】と読みます。
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♂1:♀1:不問0
亀八郎 ♂ セリフ数:15
〈中堅の語り部。他人に興味は無いが、職業柄、同業者のウワサは一応耳に入れておく事にしている〉
桃道 ♀ セリフ数:15
〈中堅の語り部。西方の漁師町出身。人を揶揄うのが好きだが、年齢をイジり返されると途端に逃げ去る〉
[あらすじ]《3分程度》
世界各地を語り歩く語り部は巨万と居るが、その中でも名が売れているのはほんのひと握り。これはそんな語り部達が不慮の偶然で鉢合わせしてしまった時の物語である―――。
【桃道】
ここ、ええやろか?
【亀八郎】
(返事をして振り向きざま、そこにいた人物に驚いて)
えぇ、ああ。は……い……。
……何年振りでやしょう、桃道殿。
【桃道】
嫌やわぁ、何や変な顔して。そない固ァならんでも取って喰わへんよ?
【亀八郎】
違いやすよ。毎日あなたの名前は耳にしやすけど、会うのは久々だなぁと。今は北の白夜を見に行ってるって聞いたんですけどね。
【桃道】
白夜は今度にしたん。アンタがこっち居るって聞いたもんでな。…伝えたい事もあったし。
【亀八郎】
伝えたい事? あっしにですか?
【桃道】
(相手の顔色を窺うようにして)
…………羽弥芝、死んだって。
【亀八郎】
(思わず素が出て)
あ?
【桃道】
語り追らがそう言うてたんよ。看取られたとも言うてたし。
【亀八郎】
看取られたって誰にでやすか。
【桃道】
麒麟。語り追が言うんにあの子が着いた時には声も出せへんかったって。語り部の最期は寂しいもんやけど、羽弥芝は幸運やったな。
【亀八郎】
ま、あれだけ可愛がってた弟子に看取られれば、本望でやしょうね。
【桃道】
アンタは?
【亀八郎】
はい?
【桃道】
アンタも弟子居るんやろ? あー…何て言うたかな、この前聞いたんやけど。
【亀八郎】
嫌ですよ、あんな馬鹿弟子。
最期まであっしは掴めねぇ師でありてぇ。
【桃道】
でも意外やったわ、アンタが弟子なんてとってたん。アタシと同じで最初から最期まで一人を突き通すんや思てたから。
【亀八郎】
成り行きでやすよ。
語りは未だに下手だし、いつまで経っても鵯みたく喧しい。客も疎らで、新たな地へ足を踏み入る努力もしない。
いい加減で適当な奴でやすが…楽しそうに語るんでやす。ああいう奴は伸び…………あっ。
【桃道】
(ニヤニヤしながら)
ふーん・・・。
【亀八郎】
(拳を作って)
ぶん殴りたい顔してやすね。一発いっときやすか?
【桃道】
アハハッ! そうそう、それでこそ亀八郎やわ! 何やえらい堅苦しかったん、何やったん?
【亀八郎】
(暫く考え込んで)
・・・。
どこで死んでて、どこで生きてるかも分からない相手に、随分な態度取れないでやしょう。
(意地悪く笑みを浮かべて)
…それに桃道殿はあっしより“歳上”でやすから。
【桃道】
歳上ぇ? アンタとアタシは五つしか……! …………アンタ、今いくつ…、
【亀八郎】
三十と六でやすかね、四十路殿?
【桃道】
アアァ・・・! 何やの、何の怨みがあってそんな意地悪言うん!?
【亀八郎】
意地悪だなんて失敬でやすねぇ。別にしょうもない話で休憩を潰されたからって、怒ってやいませんよ、えぇ、全然。
【桃道】
あーもー! 揶揄って悪かったから歳の事は弄らんとって! もぉ、人が悪いわ、亀八郎は。
【亀八郎】
人の事言えないでやしょう。
はぁ、話はそれだけでやすか? あっしはもう行きますよ。
【桃道】
ああ、うん。休憩中に悪かったなぁ。
ほんなら、また会いまひょか。どっかで。
【亀八郎】
……ああ、じゃあまたどこかで。
STORY END.
一人用声劇台本ページの語り部シリーズより。
それぞれ初登場台本を掲載しておきます。
語り部亀八郎〜生い立ち編〜
https://ncode.syosetu.com/n0087fo/9/
語り部桃道〜木霊編〜
https://ncode.syosetu.com/n0087fo/19/




