【砂浜の狂宴】
台本ご利用前は必ず『利用規約』をお読み下さい。
『利用規約』を読まない/守らない方の台本利用は一切認めません。
※台本の利用規約は1ページ目にありますので、お手数ですが、『目次』をタップ/クリック下さい。
♂1︰♀1︰不問0
気狂った乙女 ♀ セリフ数:9
雑な男 ♂ セリフ数:10
[あらすじ]《3分程度》
失恋した様子の女を雑ながらも慰める男。恋愛にはどうしても熱籠る女は、傍から見れば狂ったように見えるだろう。そんな哀れな女にも、男は容赦なく言葉を突き付けた――。
【雑な男】
波の音が聞こえるね、まあ、海だから当たり前か。……君もこっちへ来なよ。
大丈夫、波はこんな所まで来ないから。
【気狂った乙女】
本当に……? 本当に大丈夫かしら?
波は押して押して、そして引いていくのよ。まるで彼みたいに。
【雑な男】
はいはい、その『彼』の話はもういいから。こっちへ来て一緒に座りなよ。
【気狂った乙女】
砂浜に座るなんて服が汚れる。
彼はいつも、ハンカチかタオルを私の座る所に敷いてくれたわ。
【雑な男】
湿った砂ならまだしも、この砂はサラサラだよ。払えば落ちるし、文句ばかり言ってないで、誰も居ない海を楽しもうよ。
【気狂った乙女】
波の音。……隣いい?
【雑な男】
(呆れたように息を吐いて)
だからさっきからこっちへ来なって言ってるでしょ。昔から人の話を聞かないのは変わらないな。
【気狂った乙女】
彼とも海に来たわ。
【雑な男】
その話も聞いた。君とのデートなのに、別の女とシケってたって話だろ。浮気性のアイツらしいよ、全く。
【気狂った乙女】
違うわ、彼は海の家がどこなのか聞いていたのよ。私がいるのに他の女に手を出す筈が無いわ。
【雑な男】
違うって言われても……。
君が発狂しそうな勢いで“昨日”言ったんじゃないか。
【気狂った乙女】
よく考えたら違うと思ったの。
【雑な男】
はいはい、思っただけね。
で、『彼』はその浮気相手の女と付き合う事にしたんでしょ、捨てられてるじゃないか
【気狂った乙女】
付き合うとかじゃないのよ、彼女は……そう! 生き別れた妹さんか誰かじゃないかしら。
【雑な男】
妄想も大概にして。
ショックなのは分かるけど、変な風に狂われると一緒にいるボクが可哀想な目で見られるだろ。
【気狂った乙女】
彼が、私を捨てるなんて有り得ないもの…
【雑な男】
その自信はどこから湧いてくるんだ。
取り敢えず全部吐き出しちまえば?
……そうやって言い訳しながら涙流してないでさ。
【気狂った乙女】
だって、…本当なのよ? 彼は私に、……っ愛してるって…、愛、してるって…っ言ってくれたのよッ! グス、…うぅ、…なのに、…なのにぃ……
【雑な男】
うわ、泣き顔汚っ……。
はいはい、これで涙拭きなよ。
座るためだけにハンカチ使わなくてよかったよ、ホント……。
泣き止んだら何か奢ってね。
STORY END