表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/36

第8話 アスラと一緒

これが今年最後の更新です。


あと残念なお知らせがあります。

遂にストックが底をつきました……。

なので今回ちょっと短いですし、明日更新出来るかも不明です。

まぁ出来るだけ頑張りますが、自分もテレビとか見たいのでね!

親戚も集まるし(゜ω゜)


活動報告に挨拶とか書いておきますね。

来年もよろしくお願いします。

では、良いお年を〜。

第8話 アスラと一緒




 画面には金色のカプセルから出た1枚のチケットが。

 下には【職業チケット:ライダー】と表示されていた。


「職業チケット? 初めて見るな」


 俺が集めた事前情報には職業チケットなんてアイテムはなかった筈。

 もしかして、ライダーっていう職業が手に入るのか?

 うーん。

 ライダーっていうと何かに乗る職業かなぁ?

 まだ分からないが、新しい職業が手に入るってことは、それだけステータスが上がるってことだから強力だろう。


 そうやって職業チケットに対して色々考えていると、職業チケットの下に説明らしき文が表示される。

 良かった。

 ちゃんと説明されるのか。

 内容は――


『職業チケットとは、使用することによって記載されている職業に就くことが出来る使い切りアイテムです。 使い方はチケットを破れば使用出来ます。 ※ただし、使用者の職業スロットが1つ空いていなければ使用出来ません』


 やっぱり、このチケットは新しい職業を手に入れられるアイテムだ。

 これは当たりだろう……いや、当たりなのか?

 もしこれが1,000円で出たのなら間違いなく当たりだと言えるけど。

 うーん。

 俺としては満足だから良いか!

 ただ、まぁ職業スロットが空いてないと使えないみたいだ。

 もしかしたら、すぐに新しい職業が手に入るかもと思ったけど、そんなにうまくはいかないか。

 そう思いつつ続きを読む。


『ライダー:物や生物を上手く乗りこなせるようになる職業。 物や生物に乗っている間、乗っている対象の能力に中ボーナス。 プレイヤーの器用に小ボーナス』


 なるほど。

 物や生物を乗りこなせる職業か。

 しかも自分が乗っているものにボーナスが付くと。

 中々良い職業じゃないか、ライダー。

 キャラメイクの基本職業に無かったし、多分レア職業だろう。

 これがあれば俺はアスラの背中に乗れるのかな。

 でも、今の俺がアスラに乗っても移動くらいにしか意味ないかもな。

 だって今の俺には遠距離を攻撃する手段がないし……まぁ支援くらいは出来るか。

 ……そういえば一度もアスラの背中に乗ったことなかったなぁ。

 1回乗ってみようか。


 とりあえず今はアイテムを受け取ってしまおうと、俺は画面に表示されている職業チケットを触る。

 すると、目の前にチケットが現れたのでそれを掴んでアイテムボックスに仕舞う。


「アスラー」

「グルゥ」


 呼ぶとすぐに近付いて来る。

 可愛い。


「アスラの背中に乗ってみたいんだけど、いいかな?」

「グルゥ!」


 アスラは嬉しそうに頭を縦に振った。

 俺に乗って欲しかったのかな?

 俺はアスラの横に移動すると、アスラが姿勢を低くしてくれる。


「ありがとう。 じゃあ失礼して」


 アスラの背中に乗ろうと頑張ってよじ登り、なんとか跨がる。


「お? おぉう!」


 当たり前だがアスラの背中は平らではないので、跨がれたがとても不安定だ。

 馬に乗った経験も無いし難しい。

 頑張ってバランスを取る。

 しばらく、その状態で居ると少しだけだが安定してくる。

 よし、次に進もう。


「アスラ、普通に立ってくれ」

「グルゥ」


 アスラがゆっくりと姿勢を戻す。


「おっとっとっと!」


 バランスを崩しそうになるが、なんとか持ち直す。

 そこで初めてアスラの背中から周囲を見る。


「うわぁ!」


 何時もより高い目線。

 空が何時もより近くに感じる。

 アスラの背中に乗っただけなのに自分で見る世界とはまた違った世界が見える。

 凄いなぁ。

 アスラは何時もこんな世界を見ているんだな。


「よし、アスラ。 進め!」


 気分が良くなった俺はアスラに進むよう指示する。


「グルゥ!」


 俺を背中に乗せたアスラは勢い良く一歩踏み出した。

 そして――


「うわっ!? ぐえ!」


 バランスを崩して俺はアスラの背中から落ちた。

 落馬ならぬ落龍だ。

 何て馬鹿なことを考えているが、結構痛い。


「グルゥ!?」


 すぐにアスラが落ちた俺を心配そうに見てくる。


「ごめん、アスラ」

「グルゥー」

「いや、大丈夫だ。 大した怪我はしてないよ」


 身体を起こして立ち上がる。

 痛いけど、意外と大丈夫そう。

 HPを見てみる。

 表示は1286/1386。

 100しか減ってない。

 レベルが上がってて良かったわ。

 初期HPじゃ死んでた。

 現実だと大怪我になっていたかもしれない。

 ほんとゲームで良かった。


「なんとか乗れるけど、乗って進むのは今の俺だと無理そうだな」

「グルゥ」


 アスラが落ち込んでいる。

 申し訳ないといった感じが伝わってきた。


「アスラが悪い訳じゃないから。 自分を責めることはないよ。 単純に俺の力不足だ」

「グルゥ」

「いつか職業スロットが開いたらライダーを手に入れる。 そうすれば、今度はちゃんとアスラに乗れるさ!」

「グルゥ?」


 本当?

 といった感じでアスラが少し首を傾ける。


「本当だ。 だから、それまで待っててくれ」

「グルゥ!」


 アスラが元気になって喜んでくれた……良かった。

 落ち込んでいるアスラを見るのは辛いからな。


「グルゥ」


 アスラが何時ものように頭をスリスリしてくるので、撫でまくってやる。


「ほらほら」

「グルゥー」


 そうやってアスラと触れ合い、満足したので次に進むことにする。

 本当だったら山に向かいたいところだったが、MP下級回復薬が手に入ったので先にアイテムボックスの拡張を試してみたい。

 俺の予想ではMP200で容量が1つ拡張される筈。

 でも、俺は腕輪があるのでMP100で済むと思う。

 今のMPは55。

 足りない。

 という訳で早速アイテムボックスからMP下級回復薬を1個取り出して封を開け飲む。

 やっぱり回復薬に味は無い。

 飲んだ回復薬の小瓶はポイ捨てする訳にもいかないので、アイテムボックスに突っ込んでおく。

 これでMPが500はある。

 予想通りなら容量が5は拡張される。

 やってみよう。


 意識を集中しイメージする。

 感覚を研ぎ澄ませ、集中、イメージ。

 MPを全部つぎ込むつもりで――


「アイテムボックス!」


 目の前に黒い穴が出現する。

 成功か?

 リストを表示。

 容量は――14。


「あれ?」


 MPを確認すると1しか減っていない。

 つまり……失敗だ。


「何でだ?」


 失敗の原因で考えられるのは、俺の技術不足か、拡張するのにはMPがもっと必要だったのか、だ。

 すぐにMP下級回復薬を追加で2個飲んで試してみたいが、流石に勿体無いので自然回復を待つことにする。


「はぁー」


 時間は17時。

 日が沈み始めている。

 場所や時間的に街に戻っても良いが、せっかく野営道具も買ったことだし山に向かおうか。

 ……そういえば、それなりにこの場所に居るのに一度もモンスターに襲われなかった。

 もしかしてここら辺は山にしかモンスターは居ないのかな?


「アスラ、山に向かおうか」

「グルゥ」


 俺とアスラは道に戻って山に向かって歩き始めた。

 しばらく、歩いていると辺りが暗くなってくる。


「じゃあ今日はこの辺りで休もうか」

「グルゥ」


 再び道の脇に移動して俺はマジックバッグからシートとマジックランタンを取り出す。

 そしてマジックランタンに魔力を込めて光を灯す。

 辺りが明るくなる。


「結構辺りが明るくなるな」

「グルゥ」

「これ良いだろ?」


 アスラは光っているマジックランタンを見て頷く。

 次に俺はシートを地面に敷く。

 それなりに大きい。

 これならアスラと一緒に乗れるな。


「アスラ、この上で休もう」

「グルゥ?」

「乗っていいぞ」


 俺がそう言うとアスラはシートの上に移動して、ぐでーっとその体を下ろした。

 可愛い。

 そんなアスラを見て良い事を思い付く。


「ちょっと体に寄り掛かっても良いか?」

「グルゥ」


 肯定。

 良いらしい。

 俺はシートの上に腰を下ろしてマジックランタンを横に置き、背中をアスラにくっ付けて寄り掛かる。


「おー。 こりゃ良い」


 アスラの体はちょっと硬いがヒンヤリしていて気持ちが良い。

 このまま夜が明けるまで休んでいようか。


《ショウト平原のフィールドボスが倒されました。 これによりヤートの街が解放されます》


「お?」


 そう思っているとワールドアナウンスが流れてきた。

 どうやら何処かのフィールドが攻略されたようだ。

 ヤートっていうのは確か首都バリエから南の街だったか。

 じゃあ初心者フィールドが攻略されたんだな。

 ……そういえば、まだ一度もゲーム内掲示板を覗いていなかった。

 情報を集める為にも一度覗いてみようか。

 俺たちが攻略したタイバの森の反応が少し怖いが、今は時間があるし、ちょうど良い。

 俺はダラケきった姿でメニューから掲示板を開いて目を通す。


 うーん。

 やっぱり攻略されたのは首都バリエの南のフィールドだったようだ。

 攻略したのは掲示板を見る限りでは、シュツルのβテスターっぽい。

 何でもギルドを早く作る為にβテスターたちで協力して攻略したとか。

 そういえば、RDWにも他のMMOにあるようなプレイヤーギルドを作れるんだよな。

 ギルドがあればプレイヤー同士の結束も強くなるし情報も集めやすくなり、良い装備を手に入れることが出来るだろう。

 悪いことが無いな。

 ただし、ギルドを作る施設は何故か首都に無い。

 シュツル王国では最短で南のヤートの街に施設があるらしい。

 ふーん。

 俺はしばらくはギルドにもパーティーにも入らずソロかなぁ。

 ウスルの街にプレイヤーが来たら考えるか。

 でも、よく考えたら俺にはアスラが居るしソロではないよな。

 だから寂しくはない。

 今も2人仲良く寄り添っているしな!


 あと俺たちがタイバの森を攻略したことについてだが、やっぱりかなり話題になっている。

 主な内容は『誰が攻略したんだ?』とか『一体どうやって攻略したんだ?』とかだ。

 まぁ当分は分からないだろう。

 中には『俺もウスルの街に連れてってくれー』とか『タイバの森の攻略手伝ってくれー』『パワーレベリングしたい』なんてのもある。

 これについては頑張って自分たちで攻略してくれとしか言えないな。

 でも、知り合いとかが居たら手伝っても良いかもね。


 それと僅かだけど、首都バリエでドラゴンを見たって書き込みがあった。

 内容を読んでみると、間違いなくアスラのことだと分かる。

 幸いなのかスクリーンショットは載っていなかった。

 でも、『ドラゴン裏山』『かっこよかった』『翼の無いドラゴン』などの書き込みが多かったので、特徴はある程度伝わっているようだ。

 ……やっぱりアスラのかっこよさと可愛さは誰にも分かるんだな!


 と、まぁ掲示板はこんなところだろう。

 やる事も終わったしログアウトしても良いんだけど、このままアスラと一緒に居たいのでスリープ機能を使ってみよう。

 スリープ機能――ゲーム内で擬似的に眠ることが出来る機能で、設定した時間まで眠るような感覚を味わえる。

 今まで何時使うのだろう? 俺は使わないだろうとか思っていたんだけど、今が使いどきだな。

 時間は……6時でいいか。

 俺はスリープ機能をゲーム内時間6時に設定する。


「アスラ。 俺は朝まで寝るわ」

「グルゥ」

「おやすみ……」


 俺はスリープ機能を起動して――意識が遠のいていく。


「グルゥー」


 最後にアスラの優しい声が聞こえた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ