第23話 初めての限定素材ガチャ
第23話 初めての限定素材ガチャ
さて、アルマを驚かせて満足したし俺はガチャを回そうかな……っと、その前に――
「アルマ、驚くのはいいけど俺はまだやることがあるから、あっちでアスラたちと遊んでいてくれ」
「……え? 兄ちゃんまだなんかやるの?」
ポカンとした顔でアルマがこっちを見る。
その顔が少し面白い。
「ははっ。 まぁな」
「じゃあ俺にも見せてくれよ!」
どうやらアルマは俺のやることが気になるようだ。
うーん。
ガチャを回すだけだし見ていて面白くもなんとも無いと思うんだよなぁ。
それにガチャを回し終えたらアスラたちと冒険者ギルドに行くつもりだし、アルマはもう少し遊んでいたいんじゃないか?
「これからやることは見ていても面白くないぞ。 それにいいのか?」
「なにが?」
「これが終わったら俺たちは冒険者ギルドとかに行くつもりだ。 そうなったらアスラたちとの遊びは終わり……もう少しアスラたちと遊びたいんじゃないのか?」
「あ! そっか……」
俺の言葉を聞いてアルマは「うーん」と唸りながら悩みだした。
しょうがないな。
「アルマ、今はアスラたちと遊んでくれないか? アスラたちもアルマと遊びたい筈だぞ」
「……分かった! 俺、遊んでやるよ! へへっしょうがねえな」
アルマはしょうがなくアスラたちと遊んでやるって感じのことを言っているが、表情や声から喜びが顔を出していて微笑ましい。
「ありがとう」
「じゃあ遊んでくる!」
そう言ってアルマは走って行った。
「……あれくらいの素直な男の子は可愛いね」
なんてアルマの前で言ったら怒るだろうな。
なんとなく姉ちゃんの子供の小さい頃を思い出す。
いや、あいつらもまだまだ子供か。
「はぁ。 なんか年寄りみたいな考えだな……そういえば俺はもうおっさんだったわ」
……ガチャ回そ。
メニューからオオプ商店を開く。
トップにデカデカと表示された限定アイテムからガチャを選択すると画面が切り替わる。
画面には白いシンプルな物と銀の物、そして金の3つのガチャガチャが表示されて、その上に文字が書いてある。
えーっと、なになに……『運営イベント開催記念 素材ガチャ このガチャから出た素材で武器や防具を製作して闘技大会に備えよう!』か。
うーん。
俺は右手の白い腕輪を見る。
ゴラさんの所で買った時空間魔法を補助してくれるこの腕輪並みの装備を作れる素材……なんてのは流石に出ないかなぁ。
ファイアードラゴンの皮と合わせて使えば作れそうではあるが、どうなんだろう?
まぁ金はある訳だし、とりあえず1番上の100,000円ガチャを5回回そうか。
俺は100,000円の金のガチャガチャを選択。
すると、金のガチャガチャが画面の中央に移動して下にボタンが表示される。
まずは1回目。
「いけ!」
ボタンを触るとガチャガチャが音を立てて回りだす。
そして白いカプセルが排出された。
「……どう見ても当たり……ではないよなぁ」
ガッカリしつつ白いカプセルに触れる。
パカンと白いカプセルが開き、中から大きな針が出てきて、【イエローホーネットの針】と表示された。
イエローホーネット……黄色の蜂か。
何処かで名前を聞いたことがあるような気がするけど、何処だったかなぁ。
まぁカプセルは白だし大して良いアイテムではないだろうから強力なモンスターでもないんだろう。
俺は表示されているイエローホーネットの針に触れてアイテムを受け取ってアイテムボックスに突っ込む。
次だ。
再びガチャガチャのボタンに触れて回す。
出てきたのは……白いカプセル。
「また白か……中身はなんだ?」
早く次を回したいので手早くカプセルに触れて開く。
出てきたのは赤い皮。
アイテム名は【レッドラットの皮】。
「レッドラット? 赤いネズミ……ああ! 思い出した!」
イエローホーネットもレッドラットも何処かで聞いたことがある名前だと思ったら、RDWを始める前の情報収集で名前を見たんだ。
確かどっちのモンスターもバリエ周辺のフィールドに出現するモンスターで、レッドラットは南でイエローホーネットは東だった筈。
「……って、ちょっと待て! 10万払って南の初心者フィールドにいるレッドラットの皮かよ!? 酷すぎるだろ……」
これは俺の運が無いからだよな?
そうであってくれ……。
もしこれがデフォなら泣くぞ。
はぁ……回す気が無くなってきた……まぁ金はあるから回すんだけど。
とっととレッドラットの皮を受け取ってアイテムボックスに突っ込む。
「次だ次だ。 白以外のカプセルならきっと良いアイテムが出る筈……」
出るよな?
てか、出てくれ。
俺はそう願いながらボタンに触れてガチャガチャを回す。
そして排出されたのは、青。
「青いカプセル? ……良かった白じゃない」
青いカプセルは流石に白より外れってことはないだろ。
気になるし早速開けてみよう。
カプセルに触れて開封。
中から1本の牙が出てきた。
名前は【パープルヴァイパーの牙】。
パープルヴァイパーは完全に知らないな。
一応下に説明が表示されている。
『パープルヴァイパーからドロップする牙。 製作素材』
いや、それは分かるわ。
これじゃどれだけの価値があるアイテムか分からない。
まぁ少なくともレッドラットの皮よりは価値があるだろう。
とりあえず、このアイテムについては冒険者ギルドかゴラさんの所で聞くとして次に行こう。
パープルヴァイパーの牙を受け取って仕舞い、再びボタンに触れる。
ガチャガチャから出てきたカプセルは青。
「また青いカプセルか。 まぁ白が出るよりはいいんだけど、どうせならこういうガチャでありがちな大当たりの金とか虹が出て欲しいよなぁ」
とりあえず中身の確認。
カプセルから出てきたのは緑色の毛皮。
「うん?」
アイテム名は……【グリーンウルフの毛皮】。
そう……あのグリーンウルフのドロップアイテムである。
「えぇ……」
確かにグリーンウルフはレベル50以上で、そのドロップアイテムである毛皮は序盤ならかなりレアなアイテムではあるけども!
……マジかよ。
グリーンウルフの毛皮なんて今すぐにでもタイバの森に行って集めてこれるぞ……。
10万円を捨てた気分だわ……まぁガチャなんて外れればそんなものだけど。
「はぁ……あと1回だし、とっとと回して次に行こう」
テンションだだ下がりで俺はガチャのボタンに適当に触れる。
ガチャガチャが音を立てて回り、出てきたのは――
「え、虹?」
画面には虹色に輝くカプセルが表示されていた。
え、マジで?
ここにきて大当たり?
まさか外れってことはないよな?
「全然期待してなかったわ……これが物欲センサーか。 まさか実装されているとは!?」
なんて馬鹿言ってないで、早速虹色のカプセルを開けよう。
中身が気になってしょうがない。
俺はドキドキしながら虹色のカプセルに触れた。
虹色のカプセルがゆっくりと開き、中から光が溢れ出してくる。
「うおっまぶしっ……くはないな」
そして中から現れたのは拳大の透き通った球体だった。
「なんだこれ? 球? えーっとアイテム名は【空の宝珠(上級)】か」
空の宝珠(上級)……空ってことだから何かを入れるんだよな?
それに上級って書いてあるから下級とかもあるんだろう。
それなら価値は高そうだ。
説明は『何も込められていない宝珠。 製作アイテム』
よく分からないけど、やっぱり何かを入れるんだな。
使い方は分からないが良いアイテムっぽいし、これはファイアードラゴンの皮と合わせて良い装備が作れるんじゃないか?
期待が高まる。
早くゴラさんの所に持って行きたい。
だが、先に冒険者ギルドだ。
ドロップアイテムを売って金を稼がないと装備も作れない。
決まりだな。
とりあえず、空の宝珠を受け取ってしまおう。
画面に触れると目の前に透き通った宝珠が出現する。
それを掴んでよく見てみる。
「やっぱり見ただけじゃ何も分からないか」
俺は空の宝珠をアイテムボックスに仕舞った。
さて、アスラたちを呼び戻すか。
「おーい、アスラーヘスティアー」
子供たちと遊んでいるアスラたちの名前を呼ぶと、すぐにこっちにアスラが走ってやってくる。
中々の迫力だ。
そしてアスラは俺の目の前で急停止すると、いつもの頭スリスリをしてきた。
「ははは。 可愛い奴め!」
「グルゥ(主人ー)」
アスラを撫でてやると気持ち良さそうに目を細める。
そうしてアスラと触れ合っているとアルマとジャンヌ、それにヘスティアを抱きしめたシャオが近付いてくる。
「兄ちゃんとアスラってすげー仲良いんだな」
「すごい」
「ん」
俺とアスラを見て子供たちがそう言ってくる。
「まぁな。 俺たちは仲良しさ、な?」
「グルゥ(もちろん)」
アスラが頷く。
「がう!」
「あう」
それを見ていたヘスティアがシャオの腕の中でジタバタする。
どうやら仲間外れにされたと思ったのかもしれない。
「もちろんヘスティアだって仲良しだ」
「がう」
それでヘスティアは落ち着いた。
可愛い。
「あ、あの!」
「うん?」
ヘスティアを見ているとジャンヌがおずおずと声を掛けてきた。
どうしたんだ?
「……ありがとうございました! その……楽しかったです」
「はは、それは良かった」
「グルゥ(楽しかった)」
「アスラも楽しかったってさ」
「はい!」
そう言ったジャンヌは子供らしい無邪気な笑顔を浮かべていた。
子供はそうじゃなくちゃな。
「兄ちゃんたち……もう行くのか?」
笑顔のジャンヌの隣で残念そうにアルマがアスラを見て言う。
もっと遊びたかったんだろうか。
だが、俺たちは行かなきゃならないからな。
「ああ」
悪いと思いつつ俺は答える。
そこでアルマが冒険者に憧れていたことを思い出して、良いことを思い付いた。
「俺は冒険者だからな。 冒険が待っているんだ。 冒険者を目指しているアルマなら分かるだろ?」
「そっか……そうだな」
俺はアイテムボックスからHP下級回復薬を3本取り出す。
「ほら」
「え?」
それをアルマに手渡す。
「これは回復薬?」
「ああ。 アルマとジャンヌとシャオに1本ずつな」
「……どうして?」
アルマは不思議そうな顔で俺を見る。
俺はわざとニヤリと笑って口を開く。
「回復薬を持っていて損はない。 ……それに良い冒険者ってのは回復薬を持っているもんなんだろ?」
「っ!? お、おう!」
「なら、それを持ってろ。 いつか必要になるさ」
「兄ちゃん……ありがとう」
さて、問題はシャオだな。
シャオはヘスティアを抱きしめている。
この様子じゃ簡単には離そうとしないだろ。
どうしたもんか。
とりあえず、シャオの前で屈む。
「なあシャオ。 ヘスティアは行かなきゃいけないんだ。 離してくれるか?」
「……」
じーっとシャオと目を合わせているとシャオは下を向いてヘスティアを離してくれた。
良い子だ。
俺はシャオの頭を軽く撫でる。
「ありがとう」
「おにいちゃん」
「なんだ?」
「また、へすてあとあそんでもいい?」
「ああ。 また来るからその時は一緒に遊んでやってくれ」
「がう!」
「まってる」
ヘスティアとシャオはもう一度くっ付いて離れた。
大丈夫そうだな。
俺は立ち上がる。
「じゃあ俺たちは行くよ。 また来るからな」
「おう!」
「はい」
「うん」
「行くぞ。 アスラ、ヘスティア」
「グルゥ(うん)」
「がう!」
ヘスティアはアスラの頭の上に乗った。
やっぱりそこなんだな。
俺たちは子供たちに見送られながら広場を後に――
「兄ちゃん!」
「なんだ?」
背中を向けた俺にアルマが声を掛けてきた。
「俺! ドラゴンを倒すのはやめる! そんでもっていつか兄ちゃんみたいにドラゴンを仲間にするよ!」
「ふふっ……そうか」
今の言葉は……結構嬉しい。
振り返らず歩き出し、今度こそ俺たちは広場を後にした。
「グルゥ? (なにそれ?)」
「ああ、これか」
歩いているとアスラが服に挟んでおいたチケットを不思議そうに見る。
そういえば服に挟んだままだった。
それにアスラたちにも説明しておかないとな。
俺はチケットをアイテムボックスに仕舞ってから闘技大会のことをアスラとヘスティアに歩きながら説明を始めた。
感想はすべて見させてもらってます。
ありがとうございます。




