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第15話 立ちはだかるロックリザードたち

第15話 立ちはだかるロックリザードたち




「ふわぁー……朝か」


 スリープ機能で擬似的に眠って、スッキリと目覚めた俺はゆっくりと身体を起こす。


「グルゥ」


 すると、後ろからおはようという朝の挨拶が聞こえてくる。


「おはよう、アスラ」


 俺は振り返って挨拶をしてきたアスラに挨拶を返す。

 というか、アスラはグルゥとしか鳴いてないのに、俺には自然におはようって言っているのが分かった……多分。

 ……嘘だ。

 なんとなく分かるだけで完全には分からない。

 何時かは完全にアスラの言っていることが分かるようになりたい。

 そんな願望を思いながら俺は立ち上がって身体を伸ばす。


「うぅんーあぁー」


 そうしているとアスラがシートから立ち上がって俺の横に来て身体を伸ばした。


「これって気持ち良いよな」

「グルゥー」


 アスラと身体を伸ばした後、シートをアイテムボックスに仕舞う。

 昨日使ったMPは全回復している。

 準備万端だ。


「よし、今日こそ山の頂上に登るぞ!」

「グルゥ!」


 俺とアスラは気合を入れて山に足を踏み入れた。



「お、早速来たぞ」

「グルゥ」


 山を登りだして数分で早速ロックリザードが1体現れる。

 今更ロックリザードが1体出たところで俺たちは止められない。


「いくぞ、アスラ!」

「グルゥ!」


 アスラがロックリザードに向かって走り出す。


「スペースロック!」


 その姿を見てすぐにスペースロックを発動してロックリザードの動きを止める。

 そこでアスラがロックリザードにたどり着き、後ろ足で立ってアスラ・インパクトの体勢になる。


「今だ!」

「グルゥ!」


 ドゴッ!


 アスラ・インパクトが決まる瞬間にスペースロックを解除して何の障害も無くアスラの前足がロックリザードの頭に叩き込まれる。

 ロックリザードは悲鳴を上げる暇もなく光となって消えた。

 よし、完璧だ。


「良くやったぞ、アスラ」

「グルゥ」


 アスラに歩み寄って撫でてやると気持ち良さそうに目を細める。

 そして何時ものようにアスラは頭を擦り寄せる。


「この調子でどんどん行くぞ!」

「グルゥ!」


 それから俺たちは勢い良く山を登っていき、ロックリザードが出現しては完璧な連携で倒していった。

 そうして1時間くらい山を登っていると、遂に俺たちの前に奴らが現れた。

 そう、ロックリザード2体だ。


「出たな」


 前はロックリザードが2体出た時は避けていたが、道を塞いでいるし、山を登る為には避ける訳にはいかない。

 それに今の俺たちならば、奴らに負けるなんて考えられない。

 やることは簡単だ。

 俺がロックリザードの動きを2体共止める。

 そしてアスラがロックリザードを倒す。

 今までやってきたことを2体にやるだけだ。

 出来ないことはない筈。

 ただ、少し心配なのは俺がロックリザードの動きを2体共止めて、アスラの攻撃が当たる時にそのロックリザードの周りの空間だけ固定を解除できるかだ

 いや、出来る。

 やるんだ。


「アスラ。 ここまでと同じように俺がロックリザードの動きを止める。 2体共止める。 だから、アスラはアスラ・インパクトを何時ものように決めてくれ」

「グルゥ」


 アスラは力強く頷く。

 俺も頷いて前を見る。

 ロックリザードたちが俺たちに気が付いてこちらを睨んでいる。


「頼んだ!」

「グルゥ!」


 アスラがロックリザードたちに向かって走り出した。

 少し右寄りだ。

 アスラの狙いは右か。

 よし。

 集中しろ、イメージしろ。

 ロックリザード2体をまとめて止める。

 周囲の空間の固定。

 魔力を込めて……いくぞ。


「スペースロック!!」


 その瞬間、ロックリザード2体の動きがピタッと止まったのが分かる。

 やった、成功だ。

 だが、まだ気は抜けない。

 次は片方だけの魔法の解除。

 アスラの攻撃が当たる瞬間にそのロックリザードだけ空間を元に戻さなければ。


「グルゥ!」


 アスラが右のロックリザードの前にたどり着き、前足を上げ後ろ足で立つ。

 そして――


「今!」


 俺は右の空間の固定だけ解除しようと魔法を解除する。

 しかし……それは失敗した。


 ドゴッ!


「クソッ俺の馬鹿!」


 アスラのアスラ・インパクトは右のロックリザードの頭に決まり倒せたが、左のロックリザードが動き出す。

 失敗だ。

 右だけ解除しようとしたのに全体の固定を解除してしまった。

 俺の下手くそ!

 左のロックリザードがアスラを攻撃しようと動き出したが、そうはさせない!


「スペースロック!」


 俺は即座に再びスペースロックを発動してロックリザードの動きを止めた。


「やれ! アスラ!」

「グルゥ!」


 アスラが高くジャンプしてロックリザードに向かって降ってくる。


「マジか!?」


 そのアスラの行動に驚きながらも俺はロックリザードの魔法を解除する。


 ドゴォォォ!


 アスラと俺の連携が上手くいってロックリザードは光になって消えた。


「はぁぁ」


 ロックリザードが無事に倒せたのを確認した俺は大きく息を吐いて脱力した。

 危ねえ……すぐにスペースロックが発動出来て良かったなぁ。

 いや、ロックリザードにアスラが負ける訳はないんだけど、やっぱり俺の所為でアスラが不意を突かれるのは嫌だ。

 それでもし怪我とかしたら最悪。


「グルゥー」


 そうやって考えていると、いつの間にかアスラが近付いていて頭を擦り寄せてきた。


「アスラ……慰めてくれるのか」

「グルゥ」

「ごめんな」


 アスラが俺を信頼して動いていたのは分かっていたから余計申し訳ない。


「グルゥ」


 それでもアスラは気にするなというように鳴いて俺を慰める。


「ありがとう……そうだな。 今の失敗を後悔しているだけじゃしょうがない。 大事なのは次に今の失敗を活かして成功することだな」

「グルゥ」


 失敗の原因は分かっている。

 俺の技術不足、イメージ不足だ。

 解決策は既にある。

 俺はロックリザードの空間を固定するのにまとめて固定してしまった。

 それを2つに分けて固定すれば、さっきよりも簡単に片方だけの解除が出来る筈だ。


「次は成功するぞ」

「グルゥ」


 そこでアスラの先程の攻撃を思い出す。


「そういえば、さっきのジャンプした攻撃凄かったな!」

「グルゥ!」

「まさかいきなりジャンプするとは……よく思い付いたなぁ。 めっちゃ驚いたわ」


 アスラは褒められて嬉しそうだ。


「そうだ! さっきのジャンプする攻撃にアスラ・インパクト2と名付けよう」

「グルゥ!」


 我ながら名付けのセンスが無いのが分かってはいるが、アスラが嬉しそうなので良いか。


「じゃあ進もうか。 次は成功するぞ」

「グルゥ!」


 俺はドロップアイテムを回収してアスラと再び進み始めた。


 しばらく進むとロックリザードが再び現れた。

 それも今度は3体。


「グルゥ!」


 だが、アスラはやる気だ。

 もちろん俺だって引く気は無い。

 折角ここまで来たのだ。

 頂上に居ると思うドラゴンに会うまで帰りたくはない。

 やってやるぞ。

 2体だろうが3体だろうが問題無い。

 今回は出来る筈だ。


「やろう、アスラ」

「グルゥ」

「頼んだ」


 アスラが走り出すとロックリザードたちがアスラに気が付いて睨む。

 それを見て俺はすぐに集中する。

 感覚を研ぎ澄ませ、イメージしろ。

 ロックリザードの周囲の空間の固定。

 今度はまとめずにそれぞれ分けて空間を固定する。

 魔力を込めて。


「スペースロック!!」


 3体のロックリザードの動きが止まる。

 見た目じゃ分からないが、成功した筈だ。

 次は個別の固定解除。


「グルゥ!」


 アスラが1番右のロックリザードに攻撃する体勢になる。

 今度こそ!

 俺はアスラが攻撃するロックリザードの固定を解除しようとする。

 次の瞬間――


 ドゴッ!


 アスラのアスラ・インパクトがロックリザードに決まり、ロックリザードは消えた。


「成功だ!」


 今度は間違いなく1番右だけの固定を解除出来た。

 やっぱり個別の固定が正解だったんだ。


「グルゥ」


 アスラは成功して当たり前のような様子で次のロックリザードに向かう。

 そして今度も連携を成功させてロックリザードを倒す。


「ははは」


 ちょっと楽しくなってきた。

 最後のロックリザードに向かってアスラがジャンプする。

 アスラ・インパクト2だ!

 俺がタイミングを合わせて魔法の解除!


 ドゴォォォ!


 アスラの攻撃は今回も綺麗に決まってロックリザードはドロップアイテムを残して消えた。


「よっしゃあ!」


 嬉しくなってつい叫んでしまう。


「グルゥー」


 そんな俺を見てアスラも嬉しそうに走り寄ってきて頭をスリスリ。


「ははは、やったな!」

「グルゥ!」

「もうロックリザードなんて敵じゃない」


 まぁ元々苦戦してた訳ではないけど。

 アスラなら1人で倒せるだろうしな。

 それでも嬉しいもんは嬉しい。

 アスラとの連携が決まる瞬間なんて最高だ!


「行こう、アスラ。 ドラゴンに会いに」

「グルゥ!」


 俺たちは未だ見ぬドラゴンを求めて進む。

次の話は少し長く書きたいので、結構遅くなると思います。

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