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第14話 掲示板の新しい話題

第14話 掲示板の新しい話題




 ゴラの武具を出ると、すぐにアスラがこっちに気が付いて寄って来る。


「グルゥー」

「お待たせ」


 アスラは何時ものように頭を擦り寄せることをせずに、俺の新しいズボンを見ていた。


「お? 気が付いたか。 これが今回買った新しい防具だ。 どう? 似合うか?」

「グルゥ!」


 アスラは頭を大きく縦に振って喜んだ。

 俺の新しい防具なのに、まるで自分のことのように喜んでくれるアスラに俺も嬉しくなる。


「ありがとう!」

「グルゥー」


 俺たちは何時ものように撫でたり擦り寄せたりして触れ合って喜び合う。


《クットー平原のフィールドボスが倒されました。 これによりシナピムの街が解放されます》


 そうやってアスラと触れ合っているとワールドアナウンスが流れてくる。

 どうやら昨日に続いて何処かのフィールドが攻略されたようだ。

 ゲーム内では一昨日だったか。

 クットー平原もシナピムの街も首都バリエの冒険者ギルドでは聞かなかった地名だ。

 なので、おそらくはシュツル王国ではなくエルガオム帝国側のフィールドだろう。

 初心者フィールドなのかどうなのかまでは分からない。

 まぁ今の俺には関係ないことだな。


「よし! 準備も済んだし、じゃあ山に向かうぞー! 今度こそ山の頂上まで登る!」

「グルゥ!」


 今の俺とアスラならロックリザードが2体3体来ようが倒せる自身がある。

 俺もアスラも気合十分に北の門へと歩き出した。


「あ、街の外でアイテムボックスを一回試させてくれ」

「グルゥー」


 受付嬢に聞いた通りにアイテムボックスを一度創り直したい。

 アスラの肯定の返事を聞きながら俺たちは歩く。


 そして何事も無く北門を抜けた俺とアスラは一昨日と同じ魔法を練習した場所にたどり着いた。


「じゃあさっさとやっちゃうからアスラは少しだけ待っててくれ」

「グルゥ」


 アスラは短く返事をして少し離れた所に移動した。


「やるか!」


 受付嬢の言う通りにアイテムボックスを創り直すにはまずアイテムボックスを破壊しなくてはならない。

 とりあえずアイテムボックスの中に入っているシートとマジックランタンを取り出して地面に置く。

 アイテムボックスの中に物が入っていたらどうなるか分からないからな。

 破壊の仕方だが、普通にアイテムボックスを破壊するイメージで魔法を使えばいけるだろ。

 今までもイメージでいけてるしな。

 それに破壊するだけなら簡単そう。

 俺の今のMPは3821。

 満タンだ。

 早速、破壊しよう。


 集中してアイテムボックスを破壊するイメージをしながら魔力を込める。

 そして――


「アイテムボックス破壊!」


 俺の目の前に何時もの黒い穴が現れると、その黒い穴にヒビが入り砕けて消えた。

 これは成功か?

 MPは……3811。

 減っている。

 念の為、普段アイテムボックスを開けるようにやってみるがアイテムボックスは出現しない。

 どうやら無事に破壊出来たようだ。


「よし。 次は創るだ」


 破壊してアイテムボックスを再び創る。

 そうすれば、容量が前より大きいアイテムボックスが創れる筈。

 今の俺は一昨日よりも時空間魔法のレベルが上がっているし、MPも増えている。

 これで小さくなるなんてことはないだろう。


 俺は集中し始める。

 感覚を研ぎ澄ませイメージする。

 一昨日と同じようなイメージ。

 アイテムボックスだ。

 異空間に自分の魔力で創れるだけの領域を創り、そこにアクセスする。

 マジックバッグのように入れた物のリストも出るように。

 魔力を込めて集中、イメージして――


「アイテムボックス!」


 魔法を発動した。

 一昨日同じように黒い点が現れて大きくなり穴となった。

 成功だ。

 だが、問題はこの新しいアイテムボックスの容量。

 黒い穴に手を突っ込んでリストを表示させ容量を確認する。

 容量は……32。

 よし!

 増えてる。

 完全成功だな。

 でも、俺の予想だとMPが3800もあったから38以上になると思ったんだけど違った。

 単純に1=100じゃないのか。

 まぁ増えたんだから結果良し。

 早速、地面のシートとマジックランタンをアイテムボックスに突っ込んでから、下級回復薬をマジックバッグから取り出してこれも突っ込む。

 準備完了。


「アスラー終わったぞー」

「グルゥ」


 アスラを呼ぶとすぐに近付いてきて頭スリスリ。


「ははは、さっきやったばっかりだろー」

「グルゥ」


 そう言いつつも俺もアスラを撫でてやる。

 10分程そうやって触れ合って満足したので、再び山へと出発した。



 アスラと一緒に2時間以上歩き続けて山にたどり着いた。

 しかし――


「もう暗くなるな」

「グルゥ」


 ゲーム内時間は17時過ぎ。

 もう日が落ちて、辺りが暗くなってくる。

 今日はここで野営かな。

 一応夜でもマジックランタンがあるので山を登れるが、RDWでは夜はモンスターが昼間よりも凶暴になり手強くなる。

 それに夜にしか出現しない強力なモンスターも居るらしいから、出来れば夜のモンスターが出現するフィールドの移動は避けたい。

 なので、今日は山の手前の場所にシートを敷いて朝まで休憩だな。


「アスラ、シート敷くぞ」

「グルゥー」


 俺は地面にシートを敷くとアスラがこの前と同じ場所に体を降ろした。

 それを見て俺もまたアスラの体を背にしたくなる。


「アスラーまた寄りかかっていいか?」

「グルゥ」


 返事はOK。


「じゃあ失礼して」


 俺はこの前のようにアスラの体を背にダラーっとする。

 相変わらず気持ちの良い楽な感じだ。


 さて、このままスリープ機能で朝まで寝ても良いのだが、せっかく時間があるので今日も寝る前にゲーム内掲示板を覗いてみよう。

 まぁこの前と同じように北のフィールドを攻略したプレイヤーの話題がメインになっているだろうな。

 そう思いながらメニューからゲーム内掲示板を開く。


「あれ?」


 てっきりタイバの森の話題でまだ一杯だと思ったんだけど……違うな。

 いや、少しは話題になっているけどメインではない。

 どうやら今の大きな話題はウスルで聞いたワールドアナウンスについてらしい。

 どこのスレを見てもその話題が出ている。

 詳しく読んでみる。


 なるほど。

 昼間のワールドアナウンスで通知された攻略されたフィールドというのは俺の思った通りエルガオム帝国のフィールドだったようだ。

 そして攻略されたクットー平原っていうのはエルガオム帝国の首都リリウスの南のフィールドらしいのだが、その攻略されたクットー平原っていうのが問題らしい。

 シュツル王国の首都バリエの周辺で北が1番難易度が高いのだが、エルガオム帝国ではその逆。

 南が1番難易度が高くモンスターのレベルが高い。

 つまりモンスターレベル50超えのフィールドを俺たち以外のプレイヤーの誰かが攻略したということだ。


「驚いたな」


 まさか俺たちみたいにこんなに早くモンスターレベル50のフィールドを攻略したプレイヤーが出てくるなんて。

 俺もいつかは出てくると思ったが、それでもまだ先だと思っていたんだけどな。

 俺のように高い金をかけてアスラのような強力な使役モンスターでも手に入れたのかね?

 それともメチャクチャ強力な職業を手に入れたのか、プレイヤースキルが段違いに高いのか。


 気になるクットー平原を攻略したプレイヤーだが、やっぱりまだ判明していないようだ。

 余程の目立ちたがりでもなきゃ自分から名乗り出ないよな。

 俺も誰かにバレるまでは自分から言うつもりはないし。

 まぁしばらくは攻略したプレイヤーも新しい街を拠点にしてレベル上げでもするんだろうな。


 その他の話題はギルドを作ったとかで、あまり俺は興味がない。

 もういいか。


 俺はゲーム内掲示板を閉じてスリープ機能を6時にセットする。


「アスラ、俺は寝る。 おやすみー」

「グルゥ」


 俺はスリープ機能を起動して眠りについた。

 

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