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Cat's World  作者: りょう
第1部
9/49

第8匹 サクラとサクヤと迷い猫

第8匹 サクラとサクヤと迷い猫


1

ムムがやって来て、大体一週間が経った頃、また珍客が家を訪ねてきた。

「チルちゃん、遊びにきたよー」

「来たよー」

「いらっしゃい、サクラ、サクヤ」

やって来たのはチルの親友らしく、双子の猫のサクラとサクヤらしいが…。

「似すぎてどっちがどっちだか、分からないんだが」

「ごめん。私も時々分からなくなるの」

二匹ともピンクの毛で、尚且つ顔も似ている。その為どっちがどっちだか分からない。現にムムも俺も理解できてない。

「でもサクラには黒子があるから、それで見分けてるのよ」

いや、それでも分からねえから。

「で、どうしたのよ今日は? 何か用事?」

「あ、そうそう。チルにどうしても手伝って欲しいことがあって」

「手伝って欲しいこと?」

「うん」

交互に喋る二匹。どっちがどっちなんだ?

「おいで」

サクラ(よく探すと小さな黒子がほっぺにあった)が何もない草むらに呼びかけると、草をかき分けてやってくる子猫が一匹。

「この子迷子らしいの。親を探してあげられないかな?」

「お母さん…ひっく」

迷い猫だった。

2

という訳で、迷い猫を引き取った俺達は、この子猫に簡単な質問をしてみる。

と言っても俺は全くこの世界を知らない為、聞くのはチルとムムだが。

「君のお家はどこにあるの?」

「お家はない…」

「え?」

家がない?どういう事だろうか?

「知らない国の猫がやって来て、何もかも燃やしちゃった。お父さんもお母さんも一緒に…」

「じゃあそれって…」

この猫、迷い猫ってレベルじゃないぞ。

「ねえサクラ、この子どこで見つけたの?」

「昨日私達の村の近くで倒れてたの。だからこの子の出身地は、多分国境近くの村だと思う」

「国境近くの村ね…」

チルは目を閉じながら何かを考えている。その間に俺はサクラにある事を尋ねた。

「じゃあこの子、家がないって事だよな」

「うん。私も今知ったけど」

「家ないんじゃあ、どこにも連れていけなくね?」

『あ』

全員が声を揃える。え?今気づいたのかこいつら。

「と、とりあえず私はここまで連れてきたから、あとはチルに任せて帰ろうサクヤ」

「う、うん」

「おい待てお前ら」

二匹は帰ろうとしたが、俺は止める。

「そのまま放置ってのは無いよな?」

「わ、私達は何も出来ないし。ねえ?」

「うん」

「だからって帰さねえぞ」

俺は二匹に詰め寄る。このまま逃がしてたまるか。

「わ、私達家遠いから」

「さよなら」

「あ、待て!」

二人は猛スピードで家を出て行ってしまった。

「最悪だ…」

「つくづく運が悪いわね私達」

「はい…」

「お前が言うな!」

「あんたもね…」

と言うわけで、チルの家はいつの間にか四人暮しになってしまった。

「「「はぁ…」」」

「どうしたの? お兄ちゃん達」

第9匹 一つの家族 へ続く

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