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Cat's World  作者: りょう
第1部
8/49

第7匹 二匹の居候猫

第7匹 二匹の居候猫


1

「という訳で、今日からここでお世話になる事になったムムです。よろしくお願いします」

「よろしくじゃねえよ!」

あの後屋根をどうするか話し合った結果、しばらく俺の寝る場所はリビング(みたいな)場所になり、ついでにこの空飛ぶ猫(?)が、弁償するまで家に居候する事になった。

今サラッと説明したが、結構ただ事じゃないよな。てか、こいつ何者だよ。

「ムムですよ」

「いや、それは分かってるからな」

名前聞いてねえから。

「でもあなたも居候しているんでしょ?」

「そ、それは…」

否定できないですね、はい。

「二人とも静かにしてよね。もう夜なんだから」

「「はい」」

まあ、この家の主には逆らえないけど。

2

「ミケさん、起きてますか?」

夜。寝床が変わったせいでまた寝付けないでいると、ムムが話しかけてきた。てか、何であいつはソファで寝てるのに、俺は床で寝てるんだよ…。

「起きてるけどどうかしたか? トイレに行けないのか?」

「私子供じゃないですからね。…せっかくだからお話でもしようかと」

「何じゃそりゃ」

まあ、寝つけなくて暇なので彼女の話に付き合う事にした。

「ミケさんは元は人間だだったりするのですか?」

「まあな。てか、お前もなのか?」

「はい」

ムムは静かに答えた。そうか、彼女も元は人間なのか…。

「じゃあお前も…その、死んだのか?」

「はい。ただ、原因とか家族とか思い出せないですけどね」

「俺と同じか…」

いや、もしかしたら元が人間だったやつは、みんな同じ可能性がある。思い出そうにも思い出せない人間だった頃の記憶。ただ一つ分かるのは、元は人間で死んだという事実だけ。それがどれだけ悲しい事なのか…。

「ちなみにお前はいつ頃からこの世界に?」

「丁度一年前ぐらいです」

「その翼は?」

「この世界で目を覚ました時から既に…」

「生えてたのか…」

全く不思議なやつだなこいつ。でも俺と同じように、元は人間。こいつと俺は似ているんだ。というよりは、元は人間だと考えると、同じか…。

「お前はこの世界に最初やって来た時はどう思った?」

「流石にショックでしたよ。いきなりこの世界で目を覚まして、死んでいると知って、最初は全然理解出来ませんでしたよ」

「だよな…」

未だに俺は理解できてねぇけど。結局あの紙の事も分かってねぇし。でもこいつの話を聞いて、一つ分かった。

「やっぱ似てるんだな…」

「何がですか?」

「いや何でも…」

それは、この世界で俺は決して一人じゃねえってこと。他にも沢山俺やこいつと同じく不安を抱えてるやつが居るって事。

第8匹 サクラとサクヤと迷い猫 へ続く

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