表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Cat's World  作者: りょう
第1部
6/49

第5匹 慌てん坊猫

第5匹 慌てん坊猫


1

「痛ぅ、お前大丈夫か?」

木に衝突して何とか止まる事が出来たので、大惨事にはならずに済んだ。体中が痛いがすぐに引くだろうし…。問題は木に直撃したこの慌てん坊猫だ。

「す、すいません。転んだらそのまま転がっちゃって」

「いやいや、普通あんなスピードで転がらねえだろ。坂だってそんな急じゃなかっただろ?」

「へへ、ついうっかり」

「うっかりってお前な」

彼女は茶毛の猫だった。立ち上がると、落とした物を拾い、

「迷惑かけてすいませんでした」

走り去ってしまった。

「お前また走るところ…」

俺が注意するより早く、彼女はまた転んで、立て直した後そのまま去って行ってしまった。

「何だったんだあいつ…」

名前も言わなかったし、とんでもない慌てん坊猫だった。

「ん? 何か落としてったぞあいつ」

そんな彼女に呆れていると、足元に何かが落ちている事に気づいた。さっきの猫が落としたんだろうか?

「これは紙?」

2

「おいおい、本当にこんなに買う必要あったのか?」

王都からの帰り道、結局俺は夕暮れ時まで彼女に待たされ、帰りは大量の荷物を持たされていた。今日は本当に運が悪いよな俺…。しかも猫の手だから、掴みづらいし…。

「何言ってるのよ。これだけあれば、二ヶ月は生活出来るのよ」

「へぇ、でも何で二ヶ月分も一気に買う必要があるんだ?別に王都が遠いって訳じゃねえだろ」

「それは…」

「ん? 何ですぐに答えねえんだ。何か理由でもあるのか?」

「べ、別にないわよ。ただ…」

「ただ?」

「うんうん、やっぱりなんでもない」

「何だよそれ…」

でもこれ以上聞くと怒られそうなので、そこは自重する事にした。

それにしても…。

「なあチル」

「どうしたの?」

「これが何なのか分かるか?」

俺は先程拾った紙をチルに見せる。

「これ、どうしたの?」

「実はさっき…」

チルに先程の慌てん坊猫の事を説明する。

「ふーん」

するとチルは紙を眺めながら歩き出してしまった。

「おい、ちょっと待てよ」

俺は両手に掲げた荷物を担いで、慌てて追いかける。くそ、この荷物重すぎだろ。

「これってまさか…」

「何か分かったのか?俺にはさっぱり分からなかったけど」

「でもそんな訳じゃあ…」

「おーいチル。俺の声が聞こえてますか?」

「でもあり得ない話でも…」

「ちょっ、そんなに急ぐ必要ねえだろう」

チルの歩くスピードは更に増し、俺はヘトヘトになりながら彼女を追いかけた。

(あいつ、あんなに焦ってるけど、あの紙そんなに重要な事が書いてあったのか?)

内容を思い出してみるが、何が書いてあったのかさっぱり分からなかったが、一つだけ目立つ言葉があった。

『空中を浮遊せし光の物体』

あれは一体何だったのだろうか?

第6匹 静かな夜と騒がしい朝 へ続く

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ