第4匹 王と王女
第4匹 王と王女
1
「王様王様、大変ですぅ」
ここはにゃんた王国の王室。国王であるリックの目の前に、ドタバタ走りながらやって来るメイドのココア。
「うるさいぞココア。少しは静かにできんか」
「落ち着いている場合じゃないんですよ。大変なんですって」
「話は聞くから、とりあえず落ち着け」
「は、はいぃ」
とは言っておきながら落ち着けずにいる彼女に、リックはため息をつく。それに対して、王女であるリーシャは落ち着いた口調で彼女に尋ねた。
「そんなに慌てるって事は、余程大きな事が起こったのですか?ココア」
「は、はい。実は…」
ココアは少し落ち着いたあと、何があったのか全て話した。
「何!またあの光が現れただと」
「はい」
「その光はどこへ行った?」
「王都から少し離れた所に草原がありますよね。そちらの方面に…」
「王都から少し離れた草原…」
近頃この世界では、時々空中を浮遊する謎の光の物体が発見されている。何度か使いを出し探させているのだが、一度もそれを捕らえた事がなく、未だにその物体の正体は解明されていない。
「あなた、そちらの方面は…」
「ああ、分かっている。もしかしたら何か関係あるのかもしれんな…」
光の物体が向かった方面、そこには…。
2
「じゃあ私は買い物を済ませてくるから、適当にふらついていて」
「おいおい、人に散々早く飯を食えと言っておきながら、放置するのかよ」
「放置じゃないわ。あなたはこの後荷物持ちという重要な仕事があるのよ」
「荷物持ちかよ!」
朝食で散々な目に合わされた後、俺はチルに連れられて王都へ来ていた。買い物の用事があるらしいが、俺はただの荷物持ちらしい。
(はぁ…)
広場にある芝生に座りながら、思わすため息をついてしまう。ったく、本当扱いが酷いよなあいつ…。
(それにしても、王都だからってのは分かるんだけど…広すぎねえか)
今おれが居るのは王都の端。まだまだ城は先に見える。ざっと、ドーム一個分だろうか。
(ここで買い物って、どんだけ時間かかるんだよ‥)
ここで昼寝でもしようかと思ったが、眠れそうにないので、少し王都を回ってみる事にする。
(ふわぁ、今日は暖かいなぁ‥)
今日は暑くもなく寒くもない丁度いい気温なので、思わずあくびが出る。さて、どこから見るか‥。
「あわわ、そこの猫さんどいてくださぁい」
「へ?」
ボーッとしていると、少し向こうから声が聞こえる。そちらを向くと、何故かすごいスピードで転がりながら、こちらにやって来る猫が…。
「ちょっ…」
俺はそれに巻き込まれ、一緒に転がる羽目に…。
「「うわぁぁ」」
つくづく俺は、運が悪い猫だ。
第5匹 慌てん坊猫 へ続く