エピローグ~始まり~
エピローグ~始まり~
1
『優斗…君…』
誰かが俺を呼ぶ。この声は…
優紀?
『優斗』
これは拓也
そうか俺は…。
「優紀…拓也?」
眠っていたんだ。ずっと長い夢を見ていたんだ。とてもおかしな夢を…。
「優斗君!」
「優斗!」
目を開けた先に広がる世界。それは俺が本来居るべき世界。
大切な仲間が待っている世界。
「二人とも…ただいま」
「お帰りなさい」
「お帰り」
あっちの世界よりずっと長く生きてきた、素晴らしい世界。
俺は…この世界で生きてきたんだ。
「俺…ちゃんと帰ってこれたんだ…人間の世界に」
2
目覚めた俺に対して、親戚や医者は奇跡や何やら言って騒いでいた。そんな大騒ぎする事でもなかろうに…。
でもまあ、喜ぶのは仕方ない話か。あの時だってチルやムムは騒いでいたわけだし。
俺ってそんなに存在価値あるのかな?
まあ、こんな事が色々あって俺は人間としての生活が、再び始まったわけだが、猫の感覚が若干残っていたのか、少し動きずらかった。なのに同じ世界に居た優紀は平気そうな顔をして動き回っている。どんだけ運動神経いいんだよ。
病院を退院した後、俺と優紀は婚約する事になった。本当はもう少し早くするつもりだったのだが、色々起きすぎて何もかもが遅れてしまった。でもまあ、それはこれから埋めていけばいい。俺達の新たな日々はこれから始まるのだから。
「ん? 何でこんな所に猫が捨てられてるんだ?」
「本当だ。怪我しているみたいだし、私達が面倒見ようか。二人じゃ寂しいし」
「そうだな」
「って、この猫よく見たら白猫じゃない」
「げっ、本当だ」
「じゃあ名前は決まってるわよね」
「あ、ああ」
俺と優紀と一匹の白猫『チル』と共に。
Cat's World 完
という事でCat's Worldは完結いたしました
まだAnotherが残っていますが、本編は終了です
ここまで読んでくださった方々ありがとうございます
次回作は未定ですが、他の作品もよろしくお願いします
ではでは




