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Cat's World  作者: りょう
第2部
34/49

第33匹 本当の家族

第33匹 本当の家族


1

そのままチルを追ってニャンタ城へ。本来なら王室なんて入れてもらえないのだが、チルを追ってきたと言うと、すんなり通してくれた。

(どうやらあちらもまた、何かを感じ取ったんだな)

最初はまさか二人が俺の両親だとは微塵も思っていなかった。でもこれを渡された時、

「どうかチルを守ってやってくれ」

彼らが何かしら隠している事に気付いた。そして、ユキやチルが同様の物を持っていると知った時、俺の頭には何かがよぎった。自分が夢で見てきた記憶の数々。それらと今回の事を照らし合わせた時、一つの答えが出てきた。それが今回の話。チルがまさか妹だったのは流石に驚きを隠せなかったけど、同時に守ってやりたいと思った。それは十五年前に何もできなかった自分への償いでもあった。

俺は本当の家族を守りたかったんだ。

「やっと着いた」

そんな事考えていると王室に到着。チルは居ないから、恐らく中に居るだろ。

「よし、入るか」

2

で、入るなり

「説明してよ!」

チルの怒声が聞こえた。少し間に合わなかったか…。それでも俺は、暴れているチルを止める。ちなみにリックとリーシャは一切動いていない。

「チル、やめろよ」

「み、ミケ? どうして止めるのよ! あなただって知っていたのに、黙っていたんでしよ。本当は怒りたいけど、それより先に怒らなければならないんだから!」

「怒ってどうするんだよ! 何で事実を受け止めもしないで、他にぶつけるんだよ!」

俺はチルに負けない声で叫んだ。

こうでもしなきゃ、こいつはなかなか冷静にならない。

「だって…私…私…」

チルは既に半泣き状態になっている。ここはやっぱり…。

「まあ、そんな訳だ。この通りあんたらの娘、いや俺の妹は真実を知ってしまった訳だよ。俺も知ってるんだよ。お父さん、お母さん」

多分俺が自分達の子供だって事は、何かしら知っていたのかもしれない。二匹は驚いた顔もせず、顔をほこばらせながら、こっちにやって来た。

「そうか、お前には分かっていたんだな」

「ああ。このペンダントを貰って、少ししたある日気付いたんだ」

「そうか…」

「あなた、本当の事を全部話しましょう。大切な娘がいつまでも悲しんでいる姿を見たくありません」

「そうだな…」

ついには泣き崩れてしまっているチルを見ながら話す二匹。

これで分かるんだ全てが…。

そして別れの時も近づいて来てるんだな…。

ゴーン

ゴーン

そんな最中で、あの鐘が鳴り響いた。

「この音は…」

それと同時に、一匹の兵士が入ってきた。

「国王様、ブラックキャット王国が大群を率いて、やって来ました」

「ついに来たか…」

城内に鳴り響く鐘の音は、ニャンタ王国とブラックキャット王国の最終決戦の音になるとは、この時誰も思ってもいなかった。

第34匹 女王エルーシャ襲撃 へ続く

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