表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Cat's World  作者: りょう
第2部
31/49

第30匹 優紀とユキ

第30匹 優紀とユキ


1

俺はユキさんを部屋に呼び、ある物を彼女に渡した。

「な、何であなたがこれを?」

それは勿論星型のペンダント。俺が貰ったあのペンダントだ。人間に戻った時にもそれは身につけていて、今もこうして手元にある。つまりこのペンダントはどちらの世界にも共通するアイテム。

「やっぱり知っているんですよね。あなた自身も持っていたのですから」

「どうして私がこれを持っているのを知っているんですかあなたは?」

「クポを引き取りに来た日、あなたはそれを身につけていた。これを身につけていれば、自分が探しているある人物を見つけられるから。今日身につけていなかったのは、必要ないと分かったからでしょ? チルは何の反応も示さないと分かっていたから」

「そこまで分かるのはおかしくないかしら?第一ペンダントを持っているのは、私以外にあと二人だけよ。私はその人物を知っているわ」

「でもその内の一人は事件に遭い、意識をずっと目を覚まさず心配した。彼と幼馴染であり、恋人であるあなたは彼に、会いたいと願った。だからこの世界にあなたは呼ばれたんですよ」

「だからどうしてそこまで私の事を分かるの? この話を知っているのは優斗君と、拓也君だけなの…あっ」

どうやらようやく気づいてもらえたらしい。ペンダント持ってる時点で分かるだろ普通。

「まさかお前が、この世界に来ているとは思っていなかったよ優紀」

その言葉は決して猫の彼女に向けた言葉ではない。優紀という一人の人間に向けられた言葉。

「優斗君なの?」

「ああ」

「本当に?」

「ああ」

「本当…なんだよね。優斗君なんだよね?」

「だから何度も言ってるだろ?」

「ゆ…優斗君!!」

「馬鹿、そんな勢いで来たら、たおれ…」

ユキは感極まったのか、俺に飛びついて来た。俺は彼女を支える事が出来ずに倒れてしまう。

「馬鹿なのはそっちよ。勝手に意識不明になんかになって。でも…会えてよかった…」

「優紀…」

やっぱり優紀だったんだ。俺達は二ヶ月の時を経て、再会できた。今は猫の姿かもしれないけど、これでいいんだ。あとは、全てを済ませて…。

2

ミケとユキが部屋に入って少しした後の、ミケの部屋の前にて。

「チルさん、盗み聞きなんてずるいじゃないですか?」

「いいのよ。ミケが何か隠しているか分かるんだから。そういうあんたも聞いてるじゃない」

「まあ、そうですけど…」

「どうしたの?」

「私何か嫌な予感がするんですよね」

この後、その嫌な予感が的中するとは彼女達は思ってもいなかった。

第31匹 いつまでも隠せない事 へ続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ