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Cat's World  作者: りょう
第1部
28/49

第27匹 果たせなかった事

第27匹 果たせなかった事


1

「ミケ! ミケ!」

チルが俺を抱きかかえる。やべ、力が入らねえ。俺死ぬのか…。この世界でも俺は…。

「ち…る…」

「どうして、どうして、どうしてよミケ! 何で私何かの為に」

「守り…たかったんだ…お前を…

あの時俺は…守れなかった…から」

「あの時って、ブラックキャット王国が襲来した時? あれはどうしようもなかった事じゃない」

「違…う…」

俺はあの時も守れなかったんだ。まだ自分が小さかったが為に…。俺は無力だったんだ…。

「違うってどういう意味?」

「それは…」

そろそろ限界…か。俺は死ぬんだやっぱり。まだ何にもできなかったけど、仕方ないか…。まあ、いいか。

「み……」

ついに声が聞こえなくなった。俺はゆっくり目を瞑った。もう開かないのか、この目は…。はは、まさかこの世界でも死ぬなんて情けねえな俺。でも、いいか…。

俺は十五年前に果たせなかった事を果たせたんだし…。

こうして俺はミケとしての二ヶ月のにゃんこワールドでの人生に幕を閉じた。

2

………。

暗い、何にも見えない。当たり前か、俺は死んだんだから。

でも、何か温かい。

身体中が温かい。というか瞼が軽い。俺は目を閉じてたのか。

よし、開いてみるか。

俺はゆっくり目を開いた。

そこに広がったのは真っ白い天井

「は?」

そして、猫ではなく人間の身体。横では誰かが寝ている。

「俺は…人間に戻ったのか?」

でも俺は人間としては死んだんじゃないのか?

(いやちょっと待て…)

本当に俺は本当に死んだのか?俺の記憶を辿れば…。

(あの日俺は何者かに襲われて…)

刺されたんだ俺は…。誰かに…。それで死んだのか? いやもしかしたら…。

「ゆ、優斗。お、お前」

一人色々考えていると、誰かが入ってきた。こいつは確か…。

「拓也…か?」

「目を覚ましたのか! 優斗…。お前は目を覚ましてくれたのか?」

「どういう意味だよ?」

「お前が意識不明になってからすぐに、優紀も目を覚ましてないんだよ」

「え? 本当か?」

「ああ」

じゃあまさかにゃんこワールドに居たユキさんって、まさか本当に…。

「どうしたんだ優斗?」

「なあ拓也、優紀が意識不明になったのはいつからだ?」

「確か一ヶ月と少し前だぞ」

やっぱり…。

「なあ拓也、お前に聞いて欲しい事がある。とっても重大な話だ」

「何だ?」

俺はもう一度あの世界に戻らなければならないかもしれない。大切な人を救うため、そしてもう一度チルに会う為に。

「にゃんこワールド? 何だよそれ」

「俺が眠っていた間、ずっと過ごしてきた世界の名前だ」

第28匹 もう一度あの場所へ へ続く

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