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Cat's World  作者: りょう
第1部
27/49

第26匹 守るべき命

第26匹 守るべき命


1

翌日、俺はチルに内緒である場所に向かった。

(竹刀じゃ勝てるはずがないよな。絶対…)

それはちょっとした護身用武器が置いてある店だった。ここならきっと…。

「こんな店に何の用かしらね? 私に黙ってまで来るのは、理由があるのかしら」

いざ入ろうとした瞬間、後ろから声がした。何でだ、バレないように出てきたはずだったのだが…。

「何でついて来たんだよ」

「家にあったお金が、あなたが外部出したと同時に少し減ってたから、おかしいと思ったからついて来ていたのよ。悪いかしら?」

「まあ悪いとは言わねえが、帰ってくれねえかなチル」

「それは無理な話よ。あなたには説明してもらわなきゃ」

「それは絶対に無理だ」

「どうしてよ」

「決まってるだろ! お前には知って欲しくないんだよ!」

命が狙われてるなんて、簡単に話せるはずがない。なのに、何でお前は…。

「知って欲しくないって…やっぱりそうなの。私なんか誰にも信じてもらえないのね」

「違う、俺はただ…」

「私達家族になれると思ってたのに、私の勘違いだったのかもしれないね」

「勘違いなんかじゃねえよ。俺達はもう立派な家族になれたよ」

「ごめんねミケ。私がバカだった!」

「チル!」

理解してくれないんだよ…。俺はお前を守りたいのに…。あの時何もできなかったんだから…。俺は守れなかったんだから…。

2

チルが居なくなった後、買い物する気もなかったので、帰宅する事に。だが…。

「帰ってない?」

「はい。ミケさんを追って出たはずなのに…。すれ違ったんでしょうか?」

「あの馬鹿」

「あ、ちょっとミケさん!」

俺は走り出していた。今の状況であいつを一人にしたら、確実に殺される。

(俺が悪いんだ…、俺が…)

あの時話せば良かったんだ。なのに話さなかったんだ俺は。馬鹿なのは俺なんだ。何にも分かっていないのは俺なんだ。

(ちくしょう…ちくしょう…)

もう目の前で誰かを失いたくない。もう一人にはなりたくない!

俺は少しずつ降り始めた雨の中で

、チルの姿を必死に探した。

そして…。

「チル!」

俺は彼女の姿を見つけた。シルバに襲われる直前の彼女を…。

「チルー!」

俺は叫びながら彼女へ走り、そして…。

「ぐふっ!」

「え? み…け? どうして?」

彼女を庇い、そしてシルバに刺された。

「ちっ、こんな所に来るとは…」

ナイフを引き抜くて、シルバはさっさと去ってしまった。

これで良かったんだよな。俺はチルを守れたんだから良かったんだよな。

「きゃーー!」

第27匹 果たせなかった事 へ続く

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