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Cat's World  作者: りょう
第1部
22/49

第21匹 まるで兄妹

第21匹 まるで兄妹


1

いざ作業開始!

と言いたいところだが、もう既に日が暮れているため、今日は何もせず。

「お前ら今日飯食うだけで、何もしねえのかよ」

「仕方ないじゃん。来たのが遅かったんだから」

「じゃあ働いてないし、お前ら飯抜きな」

「「えー」」

「同時に叫ぶなよ。冗談だから」

と、まあ冗談も交えながらの夕食。

………。

「おいお前ら、食いすぎだろ? 少しは加減しろよ」

「だって、お腹減ったんだもん」

「だもん」

「ですもん」

「ムムもどさくさに紛れるな! 俺の分が…」

「おかわり!」

「話を聞けよ!」

ああ、これだとリフォームが終わる前に、家計が崩壊しそうだぞ…。

「私もください!」

「お前は何杯喰うんだよ!」

2

そんな無駄に忙しかった夕飯も終わり、サクヤとムムは疲れたのか、先に眠ってしまった。こいつら今日、食ってしかないよな?

「本当食べ盛りなんだから」

「いやいや、お前も結構食べてたぞ。これ以上食べると本当に追い出すからな」

「ごめんってば」

本当に分かってるのかこいつ。

「でもさ、私あなたに感謝してるよ」

「え? 何で?」

「チルを助けてくれたじゃん、この前」

「ああ、あれは心配になったから向かっただけだよ」

「でも助けたいって気持ちはあったんでしょ?」

「そりゃあ、まあそうだけど」

あの時俺は何も考えずに動いていた。とにかく、チルが危ないと感じたから動いていた。ちゃんと守ってやりたかったから。

「竹刀を持ってまで?」

「それは言わないでくれ」

武器はあれしかなかったんだから、仕方がない。

「ふふっ、まるで兄妹みたい」

「何でだよ」

「だって必死で妹を守ろうとする兄って、良くいるじゃない」

「それはそうだけどな」

確か俺は人間の頃に妹が居たらしいから、もしかしたらそれが癖になってたのかもしれないな…。

「とにかく、チルを守ってくれてありがとう」

「ああ」

サクラはそういうと眠ってしまった。

(守ってくれてありがとう…か)

まさかそんな事を言われるとは思ってもいなかった。俺はただ、彼女を守る事が義務だと思ったから。

『まるで兄妹みたいね』

周りから見るとそうかもしれないが、彼女は元から猫だったはずだ。俺とは別の親の元(ニャンタ王国の国王と王女)で猫として生まれている。だからあり得ないはずだ…。

妹ね…。

あの事件がなかったら、人間だった頃の俺には家族が居た。父、母、妹、そして俺。また少しずつ記憶が蘇り始めたからか、そこら辺もはっきりしてきた。

あの事件は死ぬ前から換算して十二年ほど前、俺が小学三年生の頃(つまり死ぬ前は丁度二十歳)に起きた。妹はまだ幼くて、三歳にも満たなかった。生きていたら十五歳だろう。これから思い出を作るはずだったのに、誰かに殺されたんだな。可哀想に。本当に可哀想だ。俺はその分も生きてやらなきゃいけないはずなのにどうして…。

どうして俺も死んだんだよ…。

第22匹 そこなし計画 2 へ続く

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