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Cat's World  作者: りょう
第1部
21/49

第20匹 そこなし計画 1

第20匹 そこなし計画 1


1

という訳でチルが帰ってくるまでの残り三週間で、この家を大改造する事になった。

「さてと、まずは設計からだな」

「設計って言っても、設計図書けるんですか?」

「主に改築するのは二階だし、さほど問題はないから、心配するな」

「そ、そうですか…」

とりあえず用意した紙に設計図を書いてみる事にした。

十分後

「よっしゃ、完成!」

「わぁ、すごい」

ここまで完璧な設計が出来たなら、きっとリフォームは成功する。

「でもこんなに細かいと、私達二人だけじゃあ作れませんよね?」

もっと人が居れば。

「うーん、他に手伝ってくれる猫なんて居るか?」

「心当たりないです…」

と、二人で唸っていると…、

「やっほーチル、遊びにきたよ!」

「来たよー!」

久々にサクラとサクヤの姉妹が家を訪ねてきた。

「「居た!」」

「な、何二人とも? というかチルとあの子猫は?」

これで(勝手に)二匹追加!

2

「えー!先の襲来で怪我したチルに黙って、勝手に家を改築するの?」

「まあ、そういう事だよ」

「それを私達に手伝って欲しいの?」

「そういう事」

ちなみに今二人が交互に喋ったが、例の黒子がどこかへ消えたため、どっちがどっちなのか分からない状況になっているのは内緒だ。

「というか、どうしてそんな事があったのをすぐに教えてくれなかったの?」

「お前達がどこに住んでいるか知らねえし、そもそもお前らが心配してお見舞いに行ったら、チルが余計元気を無くすかもしれねえだろ?」

「た、確かにそうかもしれないけど…」

「だから俺とムムもお見舞いに行ってねえんだよ」

「まあ、ここ一週間何もしてなかっただけですけどね」

ムムよ、それは余計だぞ。

「とにかくチルを驚かせたいのもあるし、大分この家も老朽化してるから、改築したいんだ。手伝ってくれないか?」

「うーん…」

同時に悩む二人。本当似てるよな、悩む姿もそっくりだし。

「分かったよ。私達も手伝ってあげる。その代わり、ご飯は奢ってもらうからね」

「げっ、泊り込みで手伝う気?」

「私もお姉ちゃんがそうするなら、泊まるー」

「え、あ、ちょっ。そんな勝手に決めるなよ」

「まあまあ、いいじゃないですか。賑やかになりますし」

「お前は一度、料理とかしてみたらどうかな?」

ああ、今月の食費が…。

ま、いいか。

「仕方ねえな。泊まる分しっかり働けよな」

「ありがとう、ミケー」

「って、いきなり飛びかかってくるなー」

本当は俺達が礼を言うべきなのに、何故か礼を言われたので、ちょっぴり恥ずかしくなった俺だった。

「ところで、ミケは私の名前分かる?」

「え、えーっと…サクヤか?」

「残念、サクラでした」

相変わらずこの姉妹の見分けがつかなかったけど。

第21匹 まるで兄妹 へ続く

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