第20匹 そこなし計画 1
第20匹 そこなし計画 1
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という訳でチルが帰ってくるまでの残り三週間で、この家を大改造する事になった。
「さてと、まずは設計からだな」
「設計って言っても、設計図書けるんですか?」
「主に改築するのは二階だし、さほど問題はないから、心配するな」
「そ、そうですか…」
とりあえず用意した紙に設計図を書いてみる事にした。
十分後
「よっしゃ、完成!」
「わぁ、すごい」
ここまで完璧な設計が出来たなら、きっとリフォームは成功する。
「でもこんなに細かいと、私達二人だけじゃあ作れませんよね?」
もっと人が居れば。
「うーん、他に手伝ってくれる猫なんて居るか?」
「心当たりないです…」
と、二人で唸っていると…、
「やっほーチル、遊びにきたよ!」
「来たよー!」
久々にサクラとサクヤの姉妹が家を訪ねてきた。
「「居た!」」
「な、何二人とも? というかチルとあの子猫は?」
これで(勝手に)二匹追加!
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「えー!先の襲来で怪我したチルに黙って、勝手に家を改築するの?」
「まあ、そういう事だよ」
「それを私達に手伝って欲しいの?」
「そういう事」
ちなみに今二人が交互に喋ったが、例の黒子がどこかへ消えたため、どっちがどっちなのか分からない状況になっているのは内緒だ。
「というか、どうしてそんな事があったのをすぐに教えてくれなかったの?」
「お前達がどこに住んでいるか知らねえし、そもそもお前らが心配してお見舞いに行ったら、チルが余計元気を無くすかもしれねえだろ?」
「た、確かにそうかもしれないけど…」
「だから俺とムムもお見舞いに行ってねえんだよ」
「まあ、ここ一週間何もしてなかっただけですけどね」
ムムよ、それは余計だぞ。
「とにかくチルを驚かせたいのもあるし、大分この家も老朽化してるから、改築したいんだ。手伝ってくれないか?」
「うーん…」
同時に悩む二人。本当似てるよな、悩む姿もそっくりだし。
「分かったよ。私達も手伝ってあげる。その代わり、ご飯は奢ってもらうからね」
「げっ、泊り込みで手伝う気?」
「私もお姉ちゃんがそうするなら、泊まるー」
「え、あ、ちょっ。そんな勝手に決めるなよ」
「まあまあ、いいじゃないですか。賑やかになりますし」
「お前は一度、料理とかしてみたらどうかな?」
ああ、今月の食費が…。
ま、いいか。
「仕方ねえな。泊まる分しっかり働けよな」
「ありがとう、ミケー」
「って、いきなり飛びかかってくるなー」
本当は俺達が礼を言うべきなのに、何故か礼を言われたので、ちょっぴり恥ずかしくなった俺だった。
「ところで、ミケは私の名前分かる?」
「え、えーっと…サクヤか?」
「残念、サクラでした」
相変わらずこの姉妹の見分けがつかなかったけど。
第21匹 まるで兄妹 へ続く




