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Cat's World  作者: りょう
第1部
20/49

第19匹 チルがいない家

第19匹 チルがいない家


1

ブラックキャット王国の襲来から、約二週間が経ち、俺はムムしか居ない家へと帰宅した。

「ただいま」

「あ、ミケさん。お帰りなさい」

ムムと俺しか居ない家はどこか寂しい。いつもならそこに、あいつが居たんだ。

「あの、ミケさん? どうかしましたか?」

「いや、何か寂しいなと思って」

「やっぱりそうですよね…」

少しの間だけでもこんなに寂しく感じるなんて思ってもいやしなかった。

「今日はもう夜遅いし、寝るか?」

「はい…」

寝ると言っても、この前の事でまだ二階は直っていないので、今日はリビングで寝る事に。

「またお前と同じ部屋で寝るのかよ」

「そんな事言わないでくださいよ」

2

で、まともに眠れるわけがないので、久々に二人で夜の会話。

「でもまあ、あの時はお前に命を救われたよ。感謝してる」

「そんな偶然ですよ。何か家から嫌な気配がしたから、ミケさんの名前を叫んで突っ込んだだけですから」

「偶然って、お前すげえな」

「人間の頃の感覚が残っているのでしょうか…」

「感覚?」

「はい。何か空を飛ぶといつものような感覚と少し違うんですよ。遠くのものを察知出来るみたいな…」

「ふーん」

人間の頃の感覚ね…。俺は全くそういうのは全く覚えてないけど、何故か人間の頃の記憶は蘇り始めてるんだよな…。

「そういえばチルさんはあとどの位で、退院出来るんですか?」

「この前医者から聞いたけどわあと一ヶ月はかかるらしい」

「そうなんですか。寂しいですね…」

「ああ。でも無事に生きて帰ってこれたんだけでも奇跡なんだしさ、気長にあいつを待ってやろうぜ」

「そうでよね。私達にもやる事がたくさんあるんですから、頑張りましょ!」

「ああ!」

真夜中に俺達は、お互い協力してこれから頑張っていく事を約束した。

3

で、一週間が経ち…。

「なあ、そろそろ何かしねえとあいつに怒られねえか?」

「多分そうですよね」

「多分じゃなくて絶対だと思う」

家は一週間前とは比べ物にならないほど酷くなっていた。何やってんだろうか俺達は。

「今から片付けるのも大変ですし…」

「だよな…」

正直屋根もボロボロだから(主な原因はムム)、またいつか壊れるか分からない。どうすれば…。

「あ、そうだ!」

この家の近くに木材売ってる店とかあるし、あれなら出来るかもしれない。

「何か思いついたんですか?」

「ああ」

俺は今思いついた事を高らかに宣言する。

「今からこの家を大改造するぞ!」

「へ?」

「題して『そこまでしなくても…計画』!」

「どこまでするんですか!」

「略してそこなし計画だ!」

「略せてませんからね、それ! 本当に大丈夫なんでしょうか?」

「不安八割、安全一割、あとは…」

「あと一割なんですか!」

第20匹 そこなし計画 1へ続く

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