第1匹 にゃんこワールド
第1匹 にゃんこワールド
1
そんな可愛らしい名前の世界へやって来た俺って一体何なんだ?
「たまに居るのよね。突然人間が猫に転生してこの世界にやって来る子」
「転生って・・」
転生って確か生まれ変わるって事だよな。それってつまり…。
「俺って死んだのか?」
「まあ、簡単に言えばそんな所よ」
そうか、死んだのか俺。そうかそうか…。
「って、俺死んだの?」
「だからそうって、言っているじゃない」
いやいやいやいや、絶対おかしいだろ。何で死んだんだよ俺。そして何故猫になった?
「そんな事聞かれても分からないわよ。とにかく、あなたは死んだの」
まるで俺の心を読んだかのように答える白猫(今更だけど真っ白だな彼女)。
「はぁ…」
もうこれ以上反論する気は起きない。
俺は死んだんだ…。
それは紛れもない事実。
「あら、あっさり認めるのね」
「お前は猫の心でも読めるのか?」
「そんな訳ないでしょ」
何かつっこまれた。
「まあ、理解してくれたならよかったわ。とりあえず今日からあなたも、この世界の住人になるんだから、しっかりしてもらわないとね」
「ああ」
死んでしまったなら今更何を言っても、事実は変わらないし素直に受け止めよう。まあ、猫ってのは気に入らないけど。
「さてと、早速だけど外に出てみましょう。まずはこの世界の事を知ってもらわないとね」
彼女に言われて立ち上がる。うわ、全然感覚が違うな人間の頃と。二足歩行なのは変わりないけど…。
「そういえばお前の名前は?」
「私はチルよ。よろしくねミケ」
「ミケって俺の名前か?三毛猫だから?」
「当たり前でしょ。どうせ名前を聞いても答えられるはずがないんだから、私が付けたの」
「確かに名前は分からないけどな・・」
あまりにも単純すぎないかその名前。
「さあ、行くわよ。ミケン」
「おい、早速俺の呼び方変わってねえか。何だミケンって」
「気にしない気にしない、さっさと行くわよ」
「いや、そこは気にしような…」
ここで文句を言い続けても仕方がないので、ぶつぶつ色々言いながら、彼女と共に外へ出た。
2
で、外はというと…。
「なあチルよ」
「何?」
「俺はこんなふざけた名前の世界だから、もっとテーマパーク的なのを想像したんだが…」
「ふざけたというのは余計だけど、まあそう想像するのは当然ね」
「何にもないぞこの世界」
外に広がっていたのは、草原だった。てか、広いなこの世界。
第2匹 敵対する二つの王国へ続く