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Cat's World  作者: りょう
第1部
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13/49

第12匹 心の中の矛盾

第12匹 心の中の矛盾


1

「で、どうして私とミケをわざわざ呼んだの?」

とりあえずその話は置いておく事にして、チルはリック国王に尋ねた。

「お前達を呼んだ理由は単純だ。例の光の玉について、お前達に手伝ってもらいたい事があるからだ」

「え?」

「チル、お前が光の玉について調べていたのは、噂を聞いたんだろ?『この前光の玉が草原あたりに現れた』って。以前からこの世界で起きていた現象だから、普通は気にならないはずだが、そこに居る彼がそれと同タイミングで、お前の目の前に現れたからだろ?」

「それはそうだけど」

これは昨晩彼女が話していた事と同じ事だった。それに加えてあの光の玉についての資料を拾ったから、更に調べ始めたらしい。だからって…。

「だからお前らに調査を手伝ってもらいたい。協力してくれるなら、お前とその関係者である彼と、残り二匹の猫を王室として迎えよう。特に彼については、もっと調べなければならんしな」

それを利用されてまで、戻るやつなんて居るもんか。

「ふざけ…」

「ふざけないでよ!」

俺が反論する前にチルが大声を張り上げた。

「私を…私を国から追い出しておいて、今更調査の為に必要だから戻ってこいなんてふざけないでよ! そんなの私は嫌だから!」

チルはそう言うと、出て行ってしまった。

「お、おい。チル!」

俺も追おうとしたが、

「待ちたまえ」

何故か呼び止められた。

「何だよ、俺も当然お断りだぞ。そんなふざけた話」

「違う。お前に持っておいて欲しい物がある」

「へ?」

2

「チル!」

少し出るのが遅くなった為、チルに追いついたのは、王都から少し出た所だった。

「ねえミケ…」

チルは俺に背を向けたまま話しかけてきた。

「何だ?」

「私…どうしよう…」

「どうしようって?」

「本当はもう一度お母さん達と生活したいの…。でも…でも…」

ここから先、彼女が言いたい事は分かる。というより、彼女の中で矛盾が生まれてるのは分かっていた。

本当は本物の家に帰りたい、でもあんな形では帰りたくない。

そんな矛盾。

「やっぱりな…、ああは言ったけどお前が我慢しているのは分かっていた」

「ミケぇ」

やっと振り向いた彼女の顔は涙でグチャグチャだった。

「けど泣くのは我慢しなくていいんだぞ」

「うぅっ、うわぁぁぁん」

チルは俺に抱きついてくるなり、大声で泣き叫んだ。本当無茶ばかりするんだからこいつは…。

3

一方ミケが帰った後の王室。

「これがあなたの望んだ結果なの?」

チルの母親に値するリーシャはリックに怒っていた。

「どういう意味だ?」

「あの子、泣いてたのよ。怒っていながらも、本当は帰ってきたかっはずなのに、可哀想よ」

「そんな事は分かっている。だが…」

「まだ隠していたい訳なのね」

「ああ…」

「本当可哀想な話よ…。何の罪もないのに、こっちの事情を押し付けてばっかりで…」

実の娘にも、そしてあの子にも…

第13匹 記憶の底 へ続く

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