第12匹 心の中の矛盾
第12匹 心の中の矛盾
1
「で、どうして私とミケをわざわざ呼んだの?」
とりあえずその話は置いておく事にして、チルはリック国王に尋ねた。
「お前達を呼んだ理由は単純だ。例の光の玉について、お前達に手伝ってもらいたい事があるからだ」
「え?」
「チル、お前が光の玉について調べていたのは、噂を聞いたんだろ?『この前光の玉が草原あたりに現れた』って。以前からこの世界で起きていた現象だから、普通は気にならないはずだが、そこに居る彼がそれと同タイミングで、お前の目の前に現れたからだろ?」
「それはそうだけど」
これは昨晩彼女が話していた事と同じ事だった。それに加えてあの光の玉についての資料を拾ったから、更に調べ始めたらしい。だからって…。
「だからお前らに調査を手伝ってもらいたい。協力してくれるなら、お前とその関係者である彼と、残り二匹の猫を王室として迎えよう。特に彼については、もっと調べなければならんしな」
それを利用されてまで、戻るやつなんて居るもんか。
「ふざけ…」
「ふざけないでよ!」
俺が反論する前にチルが大声を張り上げた。
「私を…私を国から追い出しておいて、今更調査の為に必要だから戻ってこいなんてふざけないでよ! そんなの私は嫌だから!」
チルはそう言うと、出て行ってしまった。
「お、おい。チル!」
俺も追おうとしたが、
「待ちたまえ」
何故か呼び止められた。
「何だよ、俺も当然お断りだぞ。そんなふざけた話」
「違う。お前に持っておいて欲しい物がある」
「へ?」
2
「チル!」
少し出るのが遅くなった為、チルに追いついたのは、王都から少し出た所だった。
「ねえミケ…」
チルは俺に背を向けたまま話しかけてきた。
「何だ?」
「私…どうしよう…」
「どうしようって?」
「本当はもう一度お母さん達と生活したいの…。でも…でも…」
ここから先、彼女が言いたい事は分かる。というより、彼女の中で矛盾が生まれてるのは分かっていた。
本当は本物の家に帰りたい、でもあんな形では帰りたくない。
そんな矛盾。
「やっぱりな…、ああは言ったけどお前が我慢しているのは分かっていた」
「ミケぇ」
やっと振り向いた彼女の顔は涙でグチャグチャだった。
「けど泣くのは我慢しなくていいんだぞ」
「うぅっ、うわぁぁぁん」
チルは俺に抱きついてくるなり、大声で泣き叫んだ。本当無茶ばかりするんだからこいつは…。
3
一方ミケが帰った後の王室。
「これがあなたの望んだ結果なの?」
チルの母親に値するリーシャはリックに怒っていた。
「どういう意味だ?」
「あの子、泣いてたのよ。怒っていながらも、本当は帰ってきたかっはずなのに、可哀想よ」
「そんな事は分かっている。だが…」
「まだ隠していたい訳なのね」
「ああ…」
「本当可哀想な話よ…。何の罪もないのに、こっちの事情を押し付けてばっかりで…」
実の娘にも、そしてあの子にも…
第13匹 記憶の底 へ続く




