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TSして女の子になったボク(元男)。幼馴染に子供扱いされて「可愛くない!」と怒るものの、頭ポンポンには勝てそうにありません

作者: 綿貫ミラ
掲載日:2026/08/24

 朝、目を覚ました瞬間に漂う、どこか香ばしくて甘い出汁の匂い。ボクは半開きになった重い瞼を何度も擦りながら、ベッドの中で小さく体を縮めた。


「ん……うぅ……あたたかい……」


 カーテンの隙間から差し込む柔らかい朝日に照らされた部屋で、ぼんやりと自分の手元を見つめる。小さくて丸みを帯びた、華奢な女の子の手。



 元の男の身体に戻らなくなってからもう数ヶ月が経つのに、毎朝この手を見るたびに、胸の奥がそわそわとするような不思議な感覚に包まれる。ボクは小さく息を吐き出すと、重い体を起こしてのそのそと布団を這い出た。



 着替えるのも面倒で、パジャマのまま部屋を出る。けれど、女の子の体に対してメンズサイズのパジャマはあまりにも大きすぎる。袖が余って手先がすっぽりと隠れてしまい、歩くたびに裾がパタパタと揺れた。別に狙って萌え袖にしているわけじゃないのに、サイズが合わないから勝手にそうなってしまうのだ。決して、可愛いと思われたくてやっているわけではない。



 洗面所に寄る前にパタパタと廊下を歩いてリビングに向かうと、キッチンの前に幼馴染(おさななじみ)の蓮の姿があった。フライパンを軽快に揺らしながら、卵焼きを作っているらしい。


「あ、起きた? おはよう」


 振り返った蓮が、ボクの姿を見るなりフッと目元を優しく緩めた。その温かい笑顔になぜか胸がキュッと締め付けられるような気がして、ボクはパジャマの余った袖をぎゅっと握りしめる。


「……おはよう。別に、寝坊したわけじゃないからね。ちゃんと自分で起きたんだから」


「はいはい、分かってるよ。ほら、顔洗っておいで。朝ごはんできてるから」


「言われなくても行くよ!」


 ちょっとだけ背伸びをしてそう言い返したものの、彼の前を通り過ぎる時に「よしよし」と頭を撫でられそうになり、ボクは慌てて体を小さくひねって回避した。


「な、なに執拗《しつよう》に触ろうとしてるのさっ! ボクは君より年上……じゃなかったかもしれないけど、子供扱いしないでよね!」


「いや、髪に寝癖がついてて可愛かったからさ。つい手が伸びちゃった」


「か、可愛くない! 男に向かって可愛いとか言うなー!」


 頬がカッと熱くなるのが自分でもはっきりと分かって、ボクは逃げるように洗面所へ駆け込んだ。バタンとドアを閉め、姿見の鏡に映った自分の姿を覗き込む。


 鏡の中にいたのは、頭のてっぺんに大きな寝癖をピコピコと跳ねさせ、顔を真っ赤にした小柄な女の子だった。どう見ても頼もしい男の威厳なんて欠片もなくて、ボクは鏡の前で深く深くため息をついた。


「……はぁ。なんでこんな事になっちゃったのかな」


 水道の蛇口をひねり、冷たい水で何度も顔を洗う。


 冷たさに「ひゃいっ!」と変な声が出そうになったのを必死に噛み殺しながら、丁寧にクシで髪を整える。鏡の中の自分と睨めっこをしながら、ボクは何度も「カッコいい男の顔」を作ろうと試みてみた。眉間にシワを寄せて、キリッとした表情を作ってみる。



 ……けれど、いくらイケメン風を装っても、まんまるい目と柔らかい輪郭のせいで、威嚇する怒ったハムスターのようにしか見えないのだ。



 諦めてリビングに戻ると、テーブルの上には湯気が立つ味噌汁と、綺麗に巻かれた綺麗な黄色い卵焼き、そしてふっくらとした白米が並べられていた。朝の光を受けて、どれもすごく美味しそうだ。


「冷めないうちに食べなよ」


 そう言って当然のように椅子を引いてくれる蓮に、ボクは少しだけ気まずくなりながら腰を下ろした。レディファーストのつもりなのかもしれないけれど、元男のボクとしてはどうにもソワソワして落ち着かない。


「……いただきます」


 小さく手を合わせてから、お箸で卵焼きをつまむ。一口かじると、じゅわっと上品な出汁が溢れ出し、優しい甘さが口いっぱいに広がった。


「……おいしい」


 思わずポロッと口からこぼれた本音に、目の前に座った蓮が嬉しそうに目を細める。


「よかった。口に合って。出汁の加減、少し変えてみたんだ」


「うぐっ……別に、君を褒めたわけじゃないんだからね! 卵焼きの出来が良いって言っただけ! 調子に乗らないでよ!」


「はいはい、そういうことにしておくよ。ほら、口元に米粒ついてる」


「えっ!?」


 指先でつん、と頬を突かれてハッと口元を押さえると、蓮は悪戯が成功した子供のように楽しそうに笑っていた。からかわれたのだと気づいた時にはもう遅く、ボクは顔を真っ赤にして彼をギロリと睨みつけた。


「もう! 朝から意地悪ばっかりしないでよ! ボクは真面目に食べてるのに!」


「ごめんごめん。でも、そうやってコロコロ表情が変わるから、見てて飽きないんだよ」


「……っ、見てるなー!」


 頬を限界まで膨らませて、悔しさを紛らわせるようにご飯を口に放り込む。そんなボクを、蓮はどこか愛おしそうな、甘い目で見つめていた。その視線が直視できないほど恥ずかしくて、ボクはますます俯いて、お茶碗に集中する事しかできなかった。




◆




 朝食を終えた後、二人で並んでキッチンのシンクに立った。お皿を洗うのはボクたちの毎朝の日課だ。ボクがお皿を水ですすぎ、蓮がそれをふきんで拭いて棚に仕舞うという役割分担になっている。


 冷たい水に手を浸しながら、ボクはふと思い出したように口を開いた。


「ねえ、今日はこのあと何か予定あるの?」


「ん? 特にないよ。課題も終わってるし、一日暇かな」


「ふーん……じゃあ……あ、あのさ」


 ボクは洗剤の泡を流し終えたお皿を蓮に手渡しながら、チラッと上目遣いで彼の顔を盗み見た。自分の視線がやけに媚びているように思えて、慌てて視線を泳がせる。


「何?」


「……買い出し、付き合ってくれてもいいけど。ほら、ボク一人だと重い荷物とか持てないし……決して、一人で買い物行くのが寂しいとか、そういう訳じゃないんだけどね! 荷物持ちが必要なだけなんだから!」


 必死にツンとした態度を取って弁明するボクを見て、蓮は一瞬驚いたように目を見開き、それから今日一番の柔らかい笑顔を見せた。



「うん、喜んで付き合うよ。荷物なら全部持ってあげる。じゃあ、準備して出かけようか」


「〜〜〜っ! だから、そんなに嬉しそうに笑うなー!」



 あまりの眩しさに耐えかねて、ボクは濡れた手のまま彼の服の裾をぎゅっと引っ張り、顔を隠すように彼の背中へ額を押し付けた。


 トン、と額から伝わる蓮の体温と、トクサツみたいにドクドクと激しく鳴り響く自分の鼓動。これが小さくなった心臓のせいなのか、それとも別の理由なのか、ボクにはまだよく分からなかった。ただ、この鼓動の音が彼に聞こえてしまわないか、それだけが心配でたまらなかった。




 出かける準備をするために自分の部屋に戻り、クローゼットを開ける。そこには、TSしてしまったボクのために蓮が一緒に選んでくれた服や、ボクが自分でしぶしぶ買ったレディースの服が並んでいた。


「男なんだから、カッコいい格好をしたいのに……」


 手に取ったのは、黒のシンプルなTシャツと膝丈のデニムスカート。本当はダボッとしたメンズのパーカーでも着て誤魔化したいところだけれど、外はすっかり夏の日差しで、そんなものを着ていたら熱中症になってしまう。


「スカートなんて、スースーして落ち着かないんだよね……」


 ブツブツと文句を言いながら着替えを済ませ、鏡の前に立つ。やっぱりどう見ても、どこからどう見ても、普通の女の子だ。肩にかかるくらいの柔らかい髪を、蓮に教えてもらった通りに軽くブラシで整える。


(よし……完璧。これで『普通』だよね)


 部屋を出て玄関に向かうと、すでに準備を終えた蓮が壁に寄りかかって待っていた。ボクの足音に気づいて顔を上げた蓮は、ボクの全身を一通り見回すと、満足そうに頷いた。


「そのスカート、やっぱり似合うね。青い色が爽やかでいいと思うよ」


「べ、別に君に褒められるために選んだんじゃないから! 一番上にあったから適当に着ただけ!」


「はいはい。じゃあ、行こうか」


 蓮が玄関のドアを開け、ボクを先に外へと促す。一歩外に出ると、夏の眩しい日差しとジリジリとした暑さが押し寄せてきた。青空には大きな入道雲が浮かんでいて、蝉の声が遠くで聞こえる。


「うぅ、暑い……」


「日傘、使う?」


 蓮がスッと差し出してきたのは、ボク用に買ってくれた折りたたみの可愛い日傘だった。


「……使う。日焼けしたら痛いし」


 素直に日傘を受け取り、パッと広げる。小さな日陰の下に収まりながら、ボクは蓮の隣を歩き出した。

 歩幅の違いのせいか、普通に歩いているつもりでも、背の高い蓮にはどんどん置いていかれそうになる。ボクが少し早足になると、それに気づいた蓮がさりげなく歩幅を緩めてくれた。



 そういう優しさが、すごくありがたい反面、なんだか悔しい。昔はボクの方が背が高くて、前を走っていたはずなのに……。


「ねえ、蓮。歩くの遅くない? もっとサッサと歩きなよ」


 強がってそう言うと、蓮は苦笑いを浮かべた。


「君に合わせて歩いてるんだよ。転ばれたら困るし」


「転ばないよ! ボクを誰だと思ってるのさ!」


 そう胸を張った直後だった。道路の小さな段差につまずき、ボクの体がぐらりと大きく傾いた。


「ふぇっ——!?」


 視界が急速に傾き、思わず目を瞑る。地面に激突する衝撃を覚悟した瞬間、ガシッと強い力で腕を引かれ、ボクの身体はふわっと宙に浮くような感覚に包まれた。

 次に気づいた時には、ボクは蓮の胸の中にすっぽりと収まっていた。


「……っと、危ない」


 頭の上から、安堵したような蓮の声が聞こえる。ボクは蓮のシャツを固く握りしめたまま、パチパチと目を瞬かせた。鼻先をくすぐるのは、今朝使った洗剤の匂いと、彼特有の落ち着く香り。


「だ、大丈夫……? 怪我ない?」


「あ……う……」


 顔を上げると、至近距離に蓮の顔があった。心配そうにボクを覗き込む瞳が、まっすぐにボクを映している。あまりの距離の近さに、頭の中が真っ白になった。心臓がうるさいくらいに跳ね起きる。


「だ、大丈夫に決まってるでしょー!!」


 ボクはバッと蓮の胸を押し返し、勢いよく飛び退いた。弾みで日傘が揺れ、日差しがダイレクトに顔に降り注ぐ。けれど、今のボクには太陽の熱さなんてどうでもいいくらい、自分の顔が煮えるように熱かった。


「ほら、やっぱり転びそうになったじゃん。危ないから、手、繋ぐ?」


 そう言って、蓮はごく自然に大きな手を差し出してきた。掌を上に向けて、ボクが握るのを待っている。


「つ、繋がない! 子供じゃないんだから!」


「でも、またつまずいたら困るし」


「困らない! 次はちゃんと足元見て歩くから!」


 ボクはプイッと横を向き、わざとらしく大きな歩幅で歩き出した。けれど、後ろから聞こえる蓮の足音と、彼の優しい視線を感じるたびに、歩調はどんどん乱れていく。


(なんなんだよ、もう……っ! ボクは男なのに、なんでこんなにドキドキしなきゃいけないのさ!)


 自分の不甲斐なさに心の中で叫びながら、ボクは真っ赤な顔を隠すように日傘を低く差し直し、スーパーマーケットへの道を急いだのだった。




 ◆




 スーパーマーケットに着くと、冷え切ったクーラーの風が吹き出してきて、火照った顔を心地よく冷やしてくれた。ボクはホッと溜め息をつきながら、カートを押そうと手を伸ばす。


「はい、僕が押すから」


「あ、こら! カートくらいボクに押させなよ! それくらい出来るし!」


「だーめ。今日は僕が荷物持ち兼カート担当。君は欲しいものをカゴに入れる係ね」


 蓮はひょいっとボクの手をかいくぐり、さっさとカートを押して進んでしまう。ボクは「むぅ……」と口を尖らせながら、彼の少し後ろをついて歩く事しかできない。本当に、何から何まで子供扱いなんだから。



 野菜コーナーを通り抜け、鮮魚コーナーに差し掛かったところで、ボクは足を止めた。トレーの中に綺麗に並べられた、大きな切り身の鮭が目に留まったからだ。


「ねえ、蓮。今日の晩ごはん、鮭の塩焼きにしない? すごく美味しそうだよ」


「いいね、それにしようか。じゃあ、取ってくれる?」


「任せて!」


 ボクは少し得意気になって、パックに手を伸ばした。けれど、それは棚の少し奥の方に置かれていた。背を伸ばして腕を限界まで伸ばしてみるものの、指先がトレーの端にかすかに触れるだけ。あと数センチが届かない。


(う、うそでしょ……っ!? 昔なら余裕で届いたのに!)


 自分の背が縮んだことを再認識させられて、カッと顔が熱くなる。必死に背伸びをして、プルプルと足を震わせながら腕を伸ばすけれど、やっぱり届かない。


「……くっ、届いてよ……っ!」


 見かねた蓮が後ろからゆっくりと近づいてくると、ボクの頭の上からすっと手を伸ばした。背後から包み込まれるような形になり、彼の胸板がボクの背中に極めて近く接近する。


「はい、どうぞ」


「……あ、ありがと」


 蓮は簡単にパックを取り上げると、ボクの手元にそっと渡してくれた。その距離があまりにも近くて、彼の体温が背中越しにじんわりと伝わってくる。ボクの心臓はまたしても早鐘のように打ち鳴らされ、逃げるように一歩前に踏み出した。


「も、もう! 後ろから急に近づかないでよ! びっくりするでしょ!」


「ごめんごめん。でも、一生懸命背伸びしてるのが可愛くて、つい見惚れちゃってさ」


「か、可愛くない! ボクは届かなくて困ってただけ!」


 真っ赤になった顔を隠すために、ボクは慌てて鮮魚コーナーを離れ、お菓子売り場へと足早に向かった。


 お菓子売り場の棚には、色とりどりのパッケージが並んでいる。ボクは心を落ち着かせるために、大好きなチョコレートの箱を手に取った。


「これ、買っていい?」


「いいよ。じゃあ、僕もこれ買おうかな」


 蓮が手にしたのは、小さなオマケがついた子供向けのお菓子だった。そしてそれを、当然のようにボクのカゴへと放り込む。


「ちょっと! なんでボクのカゴに子供のお菓子入れるのさ!」


「え? 君、昔これのオマケ集めてただろ? 新作出てたから喜ぶかと思って」


「……っ! そ、それは昔の話でしょ! ボクはもうそんな子供じゃないんだからね!」


「そう言いながら、目はお菓子に釘付けだけど?」


「〜〜〜っ! 見てない! 見てませんーだ!」


 ボクはプイッと横を向いたけれど、本当はすごく気になっていた。悔しいけれど、蓮はボクの好きなものを昔から何でも知っているのだ。




◆




 会計を済ませ、スーパーを出ると、外は相変わらずの快晴だった。蓮は重たい買い出し袋を両手に持ち、ボクには軽いお菓子が入った小さな袋だけを持たせてくれた。


「重いなら、ボクも少し持つよ?」


「大丈夫。これくらい、男の僕に任せてよ」


『男』という言葉に、胸がちくりと痛む。昔はボクも同じように「男だから」と言えたのに、今のボクは守られるだけの存在になってしまっている。



「……ボクだって、元は男だったのにさ」



 ポロッとこぼれた小さな呟きは、蝉の声にかき消されたはずだった。けれど、蓮は足を止めて、優しくボクを見つめた。


「元がどうとか、今は関係ないよ」


「え……?」


「今の君がどんな姿でも、僕は君と一緒にいるのが楽しいし、大切にしたいと思う。だから、無理に強がらなくてもいいんだよ」


「蓮……」


 その言葉は、ボクの胸の奥にすうっと染み込んでいった。カッコいい男でいられない悔しさも、頼りない女の子になってしまった情けなさも、全部包み込んでくれるような温かい言葉。


 ボクは恥ずかしさをごまかすように、日傘をギュッと握りしめた。


「……ばか。そんな恥ずかしいこと、平気な顔で言わないでよ」


「本当のことだからね」


「もう! 置いてくからね!」


 ボクは少し早足で歩き出した。けれど、今度はわざと歩幅を小さくして、蓮が追いつきやすいようにゆっくり進む。後ろから蓮の足音が近づいてきて、並んで歩く影が二つ、アスファルトの上に並んだ。


 家に帰り着く頃には、ボクの顔の赤さはすっかり落ち着いていたけれど、胸の中のポカポカとした温かさは消えなかった。


 買い出しの袋をキッチンに置き、冷たい麦茶を二人で飲む。コップを置いたボクに、蓮がふっと笑いかけた。


「今日は付き合ってくれてありがとう。助かったよ」


「……ううん。ボクこそ、荷物持ってくれて……ありがと」


 素直にお礼を言うと、蓮は驚いたように目を見開いた後、心底嬉しそうに目を細めた。そして、今度は拒否する間もなく、ボクの頭を優しく撫でた。


「なっ……! また撫でた!」


「だって、素直で可愛かったから」


「可愛くないって言ってるでしょー!!」


 ボクはポンポンと叩く彼の手を両手で掴んで外そうとしたけれど、彼の大きな手のひらはあたたかくて、結局振り払うことができなかった。


 女の子になっちゃって、悔しいことも恥ずかしいこともいっぱいある。カッコ悪いところばかり見せちゃってる気もする。




 でも──こうやって彼と一緒に過ごす毎日が、ほんの少しだけ愛おしいと思ってしまうボクがいるのも、きっと紛れもない事実だった。


「……明日も、朝ごはん作ってね」


 小さく呟いたボクの声に、蓮は一瞬目を見張り、それから世界で一番優しい笑顔で頷いてくれた。


「うん、もちろん。明日も美味しいのを作るよ」


 真っ赤な顔を隠すように麦茶をぐいっ、と飲み干しながら、ボクは心の中で小さく呟く。


(……可愛いって言われるのも、悪くないのかもしれないな)


 そんな秘密の思いを抱えたまま、ボクたちの少し特別な夏の一日は、ゆっくりと過ぎていくのだった。




◆これは、TSした男と幼馴染の甘い甘い夏の生活──


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