表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/95

蜜と刃のモーニング

 朝食のテーブル。

 窓から差す陽光が、お嬢様の髪を金に染める。


「お嬢様、こちらのパンをどうぞ」

 しらゆきが皿を差し出す。


「ありがとう、しらゆき。あ、これも食べさせて?」

「あーん」する気満々の声。


 しらゆきは一拍置いて、

 にっこり完璧な妻の笑み。


「もちろんです♪」


 距離は、近い。

 声は、甘い。

 そして、視線は――


 夜姫の方向に鋭く斜め。


 夜姫は止めていた紅茶をそっと置いた。

(……朝から、飛ばしてくるわね)


 しかし、今日の夜姫は違う。

 昨日、夜中に考え続けて出した答えがある。


「お嬢様、こちらもお口に合うはずです」


 夜姫は、ナイフとフォークを扱う動きそのものが艶。

 切り分けたばかりのベーコンエッグを差し出した。


「ん……美味しいわ」

 お嬢様の声が弾む。


 その満足げな表情を見た瞬間――

 影の女の瞳に――金の光が宿った。


(しらゆきと同じ土俵では勝てない。

 だったら私は――“夜姫流の甘さ”で行く)


 夜姫は静かに椅子を立つ。


「失礼。お嬢様、こちらへ」


 お嬢様の背後へ回り――

 細くしなやかな腕で、そっと肩に触れた。


 太陽のような甘さに、

 夜の蜜の香りが混じる。


「今日も一日、美しくありますように……」


 囁く声が耳に甘く絡む。


 お嬢様の肩がぴくりと震えた。

 しらゆきの手が一瞬止まる。


 火花が散る視線戦。

 しかし笑顔は崩さない。


「……張り合うのは悪くないわね」


 お嬢様は上機嫌。

 二人の愛と嫉妬を、可愛い玩具のように楽しんでいる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ