起こして、起こされて
翌朝
朝の光がカーテン越しに差し込み、柔らかく揺れた。
「お嬢様、起床のお時間です」
しらゆきが静かに声をかける。
「ん……」
布団の中の人影は、まったく動かない。
「……起きないと、悪戯しますよ?」
警告。
しかし反応なし。
しらゆきは、わずかに微笑むと――
お嬢様の額に、ちゅ。
それでも、ぴくりとも動かない。
「まだ起きませんか?」
ほんの少しだけ顔を近づける。
そして――
唇にキス。
「……ん」
まどろみの世界から引き戻される。
お嬢様は目をゆっくり開いた。
「……おはよう、しらゆき……。
ねぇ、さっきの……もう一回」
甘える声。
しかし、しらゆきは涼しい顔で背筋を伸ばした。
「悪戯は気まぐれなのです。
さ、起きてください」
「ケチ」
小さな文句を口にしながら、
お嬢様はしらゆきの手を取って身体を起こす。
その動きの勢いのまま――
唇を重ねた。
「っ……!」
しらゆきの目が見開かれる。
離れた唇。
お嬢様の勝ち誇った笑み。
「ふふ……なら今度は、私から悪戯よ?」
しらゆきは胸核の奥が熱くなるのを感じながら、
わずかに頬を赤らめた。
「……起こし方の自由を奪われるのは、
想定外です、お嬢様」
「そう? 私は嬉しいけれど?」
今日も、世界は甘い。




