魔術師ギルド、未来を作る
3日後――。
ギルド本部の中央会議室。
名だたる魔術師たちが、広げられた設計図を囲んで固まっていた。
「…………」
「……これは……」
喉を鳴らしたのは、霊導技術主任の初老の術士だ。
「無理では?」
その言葉を合図に、次々と声が漏れ始めた。
「魔導融合炉……?
こんな小型で? お嬢様、何をお考えに……!」
「車体素材……黒曜鋼?
どこで掘る気だ、魔界か!?」
「エネルギー物質……黒曜カードリッジ……?
そんなの、現行理論に存在しないぞ!?」
皆、頭を抱えた。
設計図の端にはお嬢様の筆跡が踊る。
「貴方たちでも組めるように簡略化してあるわ」
「「「どこがだぁぁぁぁぁ!!」」」
叫びは会議室に木霊した。
30年の職歴を誇る主任が
設計図を震える指でなぞりながら呟く。
「……これ、試験車だけで……
国家予算が飛ぶのでは……?」
その場に重い空気が落ちる。
だが――ひとりの若い魔術師が立ち上がった。
「……でもやるんだろ?」
仲間たちが振り返る。
「剣士ブームに押され、町の子供たちまで杖を捨てた。
このままじゃ、魔術は――置いていかれる」
拳を握りしめ、彼は言い切った。
「魔術師の未来を取り戻すチャンスなんだ」
全員の胸に火がついた。
「そうだ……!」
「ギルド長を信じろ!」
「お嬢様が“与えてくださった”機会だ!」
困難は山のように積み上がっている。
だが、誰一人座り込まない。
「――よし」
ギルド長が杖を強く打ち鳴らす。
「今日から我々は、未来の職人だ!
世界初の“魔導車”を――必ず完成させる!」
◇こうして、王国最大の挑戦が始まった。
技術と誇りを賭けた、魔術師たちの逆襲が――




