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白銀列車は止まらない

 王都の大聖堂は人で埋め尽くされ、

 王国史に刻まれる一頁が、静かに閉じようとしていた。


 棺は――魔導新幹線を模した白銀の意匠。

 王家の紋章が誇らしげに輝く。


 それは彼が遺した、未来そのもの。



 ふだん表に立つことのない“魔女”。

 だが今日ばかりは違う。


 お嬢様は黒の喪服に身を包み、

 王国の未来を見据えるように、その場に立っていた。


 隣に控える、第一婦人しらゆき。

 第二婦人夜姫の眼差しは鋭く、強い。


 民は震える。

 畏敬と、深い感謝の狭間で。



 王妃が一歩、前へ。

 涙は見せない。

 国の母として、王の伴侶として。


「我らが王は、その生涯を国に捧げました。

 魔導新幹線という未来を遺し……

 この国を、前へと進めたのです」


 声は揺れず。

 だからこそ、胸に響く。



 レティシアは――泣かない。


 まだ16歳。

 しかしその背中には、すでに王冠が見える。


(私が泣けば、民も泣いてしまう。

  今はまだ、倒れられない)


 震える拳を、ただ固く握りしめた。



 沈黙。


 遠く、線路で汽笛が鳴る。


 初代魔導新幹線が、

 国王の魂を未来へ送り出すように。


「黙祷」


 声が止み、風だけが駆け抜ける。



(陛下。貴方の国は……まだ始まったばかりですわ)


 長く生き、

 数えきれぬ別れを見送ってきた“魔女”が、


 その未来を託した男のために――


 静かに、涙を零した。

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