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魔導新幹線・開通式

 開通の日、王都は熱狂に包まれていた。


 王宮前の大通りには、

 新たな鉄路がまっすぐ未来へ伸びている。


「父上……ご覧ください」


 レティシア王女は、国王の手をそっと握る。

 王は椅子に腰かけ、少し痩せた体で力強く頷いた。


 本来ならば、完成は二年先の未来だった。

 しかし職人たちは誓った。

『陛下が生きているうちに』と。


 国が、王を想って走り抜いた結果――

 奇跡は現実となった。



 国王がハサミを持ち上げる。

 その手は震えていたが、決意に満ちていた。


「王国の未来に――開通を!」


 赤いテープが切れる。


 ――世界が歓声に変わった。


 白い魔導蒸気。

 初運行の車両が滑るように走り出す。


 人々の笑顔。

 涙。

 拍手。


 新幹線は、国全体の希望になった。



 一方その頃。

 彼らは少し離れた丘で、その光景を眺めていた。


「間に合ったわね」


 お嬢様が優しく微笑む。


「はい。王女様の才能もあってのことです」

 しらゆきが誇らしげに答える。


「もちろん、あなたたち二人の努力もあってよ?」

 お嬢様は、夜姫とクレーロへも視線を向けた。


「当然のことをしたまでです」

 夜姫は淡々と、しかし胸を張って言う。


「俺の胃はいくつか溶けきったけどな……」

 クレーロは笑いながら天を仰いだ。


 その顔は、心底安堵していた。



 お嬢様は、風に髪を揺らしながら呟く。


「レティシア。

 あなたの時代が、始まるのよ」


 遠く。

 王女がこちらを振り向き、

 笑顔で深く一礼する。


 その姿は――

 すでに一国の王の風格を纏っていた。


――――――――――――――――

 この瞬間、王国はひとつの未来を掴んだ。

 その裏で、闇を払い続けた者たちがいたことを――

 ほとんどの者は知らない。


――――――――――――――――

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