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王女レティシア 成人の儀

 王都の大聖堂には、

 王族、貴族、市井の代表まで――

 国中の視線が集まっていた。


 白と青のマントを纏い、

 レティシアは毅然と壇上に歩み出る。


 十五歳。

 少女の面影はある。

 しかし姿勢は揺るぎない。


(七年……あのときの私とは違う)


 国王陛下――父。

 残された時間は長くない。

 それを理解しているからこそ、


 彼女は未来を見据える。



 レティシアは胸に手を当て、深く息を吸う。

 風の精霊が静かにその背に寄り添っていた。


「私は――レティシア=ルーベル。

 この国の未来を担う者として、ここに誓います」


 場内が静まり返る。


「大動脈新幹線は、国の血流です。

 富を運び、人を繋ぎ、

 知と文化を循環させる――新しい心臓です」


 視線は一歩も揺るがない。

 その言葉は、聴く者の胸を貫いた。


「父が選び、

 “あの人”が支えた政策を、

 決して途切れさせない」


 お嬢様は席で静かに微笑む。


「私はその血管をさらに伸ばし、

 王国全土に繁栄を届けます!」


 風が、彼女のマントを大きく揺らす。

 祝福するように。


「ここに宣言します。

 この国は――必ず強くなる!」


 堂々たる声が、世界を揺らす。



 民は拳を突き上げ、

 貴族たちは思わず息を飲む。


(あの小さな子が……これほどまでに)


 クレーロは胸の奥が熱くなるのを隠せなかった。


 セバスは淡々と頷くが、

 胸核はほんの少しだけ、

 誇らしげに光っていた。


 夜姫は、

 壇上で誓いを終えたレティシアを見つめながら――

 お嬢様に仕える誇りが深くなるのを感じていた。



「素晴らしいわ、レティシア」


 控え室で、お嬢様が静かに近づく。


「あなたの言葉は、もう“王”のそれよ」


「……ありがとうございます。

 でも、まだまだお嬢様ほどには」


「私の背中ではなく――

 あなたの道を歩きなさい。

 未来は、あなたが立つべき場所よ」

 

レティシアはしっかりと頷いた。


(この国を――守る)

(お父さまを――安心させる)

(そして――お嬢様に誓った未来を叶える)


 その決意は、炎のように燃え上がっていた。

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