対になる恋、並び立つ誓い
別館ダイニングは、やけに静かだった。
お嬢様は夜姫様と外出中。
二人きりの時間――初めてではないが、胸核がざわつく。
わたしは紅茶に口をつけた。
(……焦り?)
夜姫は強くなった。
それを導いたのは、お嬢様への恋心。
わたしは誇らしい。
お嬢様が愛されるのは嬉しい。
だが、それでも。
「お嬢様の隣は……誰にも渡しません」
呟いて、自分で驚いた。
こんな感情、知らなかった。
力なら絶対に負けない。
本気を出せば、フルバーストすれば――
わたしは誰にも後れを取らない。
……それでも不安になるなんて。
(お嬢様を愛しているから。)
席を立ち、寝室へ向かう。
扉に触れ、静かに目を閉じる。
いないはずなのに、ここが熱い。
胸元を押さえた指先まで震えてしまう。
「どうか……笑って帰ってきてください」
夜姫がくれた成長に、わたしも応えたい。
戦いではなく、愛で。
独占だけではなく──
共に支える覚悟を。
すると、空気が震えた気がした。
扉の向こう。
わたしが待ち続けた気配が近づいてくる。
ドアノブが回り、光が差した。
そこにお嬢様が立っていた。
「……ただいま、しらゆき」
いつもの声。
それだけで胸核が跳ねる。
「お帰りなさいませ、お嬢様」
自然と、笑っていた。
焦燥はまだ消えない。
けれど――確かに誇らしい。
未来は、ここからが本番だ。




