挿話:あけましておめでとうございます!港町ルーベリアより
ルーベリア港町――夜なのに、海の風はどこか温かい。
漁火と屋台の灯りが並ぶ港の奥、ひときわ賑やかな建物がある。
《キャバ24時》
この町の漁師たちは、昼も夜も海に出る。
帰る時間も宴が始まる時間もバラバラ。
「だったら、いっそずっと開けてしまおう」
そんな豪快な発想から生まれた、港町の社交場だ。
そして今――
年明けのカウントダウンが始まろうとしていた。
「五分前~! 飲み物追加する人~っ!」
「シャンパンまだ足りないぞー! 年越しだぞー!!」
漁師、観光客、夜のキャスト、お忍び貴族まで入り混じる、最高にカオスで楽しい空間。
その入り口の扉が――ぱたり、と静かに開いた。
「お嬢様、ご到着です」
しらゆきが一歩先に立ち、周囲へと丁寧に礼をする。
隣には夜姫。黒い着物姿で、艶やかに微笑んでいた。
「さぁ主よ。華やかに年を越しにまいりましょう」
店内が、一瞬で沸く。
「うおっ!? 本物の“魔女様”だぞ!」
「毎年この時間に来るんだよなぁ、縁起がいい!」
「しらゆきさんも夜姫さんもいるぞ!? なんだこの豪華さ!」
お嬢様は軽く手を振ってみせる。
「新年のお祝いくらい、賑やかな方がいいでしょう?」
その一言で、店のテンションが跳ね上がった。
「十、九、八――!」
外の港町も、店内も、すべての声が重なる。
しらゆきは誇らしげに隣へ立ち、
夜姫は扇子で口元を隠しながら楽しそうに笑っている。
「三、二、いち――!」
「あけましておめでとうございます!!!」
シャンパンの栓が次々と飛び、黄金の泡が店内に弾ける。
「ふふ……今年も楽しくなりそうね」
お嬢様は前へ歩み出た。
その一歩で、場の空気が自然と整う。
「皆さま、あけましておめでとうございます」
領主としての微笑みを浮かべながら、お嬢様は口を開く。
「今年もこうして、海の幸と人の力で満ちるルーベリアで年を越せたことを、心から嬉しく思います」
漁師も、キャストも、旅人も耳を傾ける。
「働く者には港の灯を。
帰る者には温かな一杯を。
訪れる者には笑顔を返す――
この町は“人の優しさ”が強さになる土地です」
「本年もどうぞよろしくお願いします。
――さあ、祝いましょう。今日という新しい一年に、乾杯を」
「乾杯ーー!!」
キャバ24時がさらに明るく沸く。
そして次の瞬間――
お嬢様はぱん、と手を叩いた。
「さて!! 固い挨拶はここまでよ!!」
店全体が息を呑む。
「キャバ24時!!
年が明けたんだから盛り上がりなさい!!
シャンパンタワー、出せるだけ全部持ってきなさい!!」
「「「うおおおおおおお!!! 」」」
漁師も旅人もキャストも大歓声。
しらゆきはため息をつきつつ、すでに動き始めていた。
「全タワー、ステージ側に展開します。安定台強化……了解しました」
夜姫は扇子をぱちんと閉じ、嬉しそうに微笑む。
「ふふ……今年も騒がしくなりそうね」
店奥から大量のシャンパンが運ばれてくる。
キャストの声、漁師の笑い、夜の港風――すべてが混ざり合って、祝祭そのもの。
お嬢様は高らかに笑う。
「海の町よ!! 酔って笑って、良い一年にしなさい!!
――私が許すわ!!」
「「「魔女様ーー!!!」」」
黄金の泡が弾けるように、ルーベリアの新年は華やかに始まった。
新年あけましておめでとうございます。つるにゃーです。
実際の私は、きっと蕎麦も食べずに寝ている頃だと思います()
さて、今回の舞台となった キャバ24時 ですが、
私の脳内ではここからいくつもの物語が生まれていまして……
とはいえWEB小説的に前面へは出しづらく、今回は “お披露目回” という形にしました。
今後も月に一度くらいのペースで、
ゆるく賑やかなキャバ24時の姿をお届けできればと思っています。
それでは皆さま、どうぞ良いお正月をお迎えください。
10話一気投稿は17時の予定です。




