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闇、愛に堕つとき

 夜姫は地を蹴った。

 しらゆきの指先に、また触れられるだけで止められる。


 何度やっても同じだ。

 変わらない。届かない。


(……私は、なにをしてるの?)


 苛立ちが胸を焼く。

 怒りですらない。

 ただ――焦燥。


 お嬢様の隣に立つための力が、

 この手に無い。それが許せない。


 しらゆきが冷静に告げた。


「夜姫。あなたの技量は充分です。

 足りないのは――精神の源」


「精神?」


「お嬢様の為に戦うなら…

 その“為”の形を、曖昧にしてはいけません」


 言われなくても、分かっている。

 だが――夜姫はまだ、自分を誤魔化していた。


 守りたい。

 それは正しい。


 だが――


 独占したい。

 その黒い願いは、正しくない。


(私だけを見てほしい。

 私だけを抱きしめてほしい)


(あの方が誰かを愛で満たしながら眠る夜――

 そのたびに、私の心は裂けるの)


 夜姫は歯を食いしばった。


(私は……私だけは…

 あの方を、誰にも渡さない)


 瞬間。


 ――影が沸き立った。


 しらゆきが思わず目を開く。

 光に支配された訓練場に、

 ぽっかりと“闇の空洞”が生まれる。


 夜姫の身体を、黒い恋心が包む。

 闇が渦となり、風のように広がる。


「夜姫――?」


「これが……私」


 低く、艶のある声。

 狂気と誇りが同居した、夜姫本来の声音。


 足元の影が刃となり走る。

 しらゆきが即座にレーザーで迎撃――


 交差。衝撃。

 二人の能力が拮抗し、床を砕いた。


 互角。


 初めてだった。

 夜姫がしらゆきの真正面に並んだのは。


 煙が晴れた時――

 夜姫は堂々と立ち、胸を張っていた。


「私は――闇。

 お嬢様を照らす光じゃない」


 夜姫は微笑む。


「だからこそ、隣に立つ。

 光だけでは、守れないモノがある」


 しらゆきは数秒の沈黙の後――

 短く頷いた。


「……合格です、夜姫」


「ふふ。やっとスタートライン、ね」


 夜姫の瞳は金色に燃えていた。

 黒い恋心を力に変え――

 お嬢様の隣へ進む覚悟を手に。


(見ていてください。

 私の影が――必ず貴女の隣を守る)


 そう、闇に誓う夜姫。

 遠いサロンの片隅で、

 お嬢様はその熱を、確かに感じていた。

皆さま、本日はお忙しい中

『お嬢様物語』をご覧いただき、誠にありがとうございます。


そして――

クリスマスイブに10話一気更新という暴挙に

お付き合いくださった読者さまへ、心より感謝申し上げます。


お嬢様はいつも言われます。


「愛は与えるだけではダメ。

ちゃんと受け取らないと、相手は寂しがるのよ」


……そのお言葉、身に沁みます。


もし本日の更新が少しでも

皆さまの胸をときめかせたり

笑顔にできていたのなら――


どうか、

お気持ちをほんの少しだけ“形”にしていただければ

お嬢様も、夜姫も、そして私も

とても励まされます。


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  評価ポイント

  感想ひとことでも


どれも作者さまの未来を照らす灯りです。


この作品が

さらに遠くまで走れますように。


それでは――

素敵な夜をお過ごしくださいませ。


Merry Christmas

お嬢様に代わりまして、しらゆきより。

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