表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/92

世界は今日も、お嬢様の都合で動いている。

翌朝。


別館のダイニングに、香ばしいパンの香りが広がる。

お嬢様はサクサクとそれを齧りながら、新聞を広げていた。


そこには大きな見出し。


『魔導新幹線、着工決定! 王の肝入り事業』


「ふふ……とうとう決まったわね。」


満足そうにページをめくる。


「お嬢様、どうかほどほどになさってくださいね。」


しらゆきが紅茶を注ぎつつ、いつもの心配顔。


「ちゃんとわかってるわよ?

 まだ図面も細部調整が必要なんだもの。」


――と言いつつ。


その日の昼。


ルーベリア北部の広大な空き地で

突如として光が弾け、空間が歪んだ。


雷光が走り、大地が揺らぐ。


次の瞬間。


巨大な白亜の建造物が姿を現した。


『お嬢様城駅』――完成。


街の人々は口を揃える。


「また魔女様がやった……!」

「まだ着工決定したばかりじゃ……!?」

「設計図が神の筆致……!」


そして夕刻。


ダイニングへ戻ったお嬢様は、

しらゆきが腕を組んで待っているのを見た。


「――やりましたね?」


「……えへ。」


「お嬢様。

 やり過ぎです。」


正論。


お嬢様は視線を泳がせながら、紅茶を飲み干す。


「……最初の駅くらいは、ね?」


「建設業組合が泣いております。」


「あとで慰安金を支払うわ。」


「そういう問題ではありません。」


呆れ半分、愛半分の溜息。


だが――


しらゆきの紅茶の注ぎ方は

いつもより少しだけ丁寧だった。


(誇らしいんです……本当は。)


胸核が、静かにそう告げていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ