挿話:お嬢様の誕生日~3~
※書き手、世界に降り立つ
お嬢様は、いつも通り別館の寝室で目を覚ました。
カーテン越しに差し込む光は柔らかく、風の香りも穏やかで──
特別な日とは、まったく思わない朝。
そこに突然。
【書き手の声】
「──本日、12月19日はッ! お嬢様の誕生日である!!!」
どこからともなく、書き手の声が響いた。
お嬢様「…………はぁ?」
しらゆき「仕様ですので、従うしかありません。」
夜姫「ええ。お嬢様の御生誕日であるなら、尚更。」
お嬢様は軽く混乱しつつも、二人の真剣な空気に押される形で起き上がる。
お嬢様「ちょっと待って? 私、誕生日なんて──」
しらゆき「覚えていなくても構いません。」
夜姫「わたしたちが、覚えておりますから。」
二人は同時にお嬢様の左右に膝をつく。
背後には、すでに準備されていた
しらゆきの“白のドレス”と、夜姫の“黒の花束”。
お嬢様は一瞬で言葉を失う──
だが、二人は同時に立ち上がり、ほんの少し目を合わせて火花を散らした。
◇ しらゆきの贈り物:白の祝福
しらゆき「まずは私から、よろしいでしょうか?」
夜姫「どうぞ。“先手”は譲りますわ。」
お嬢様(この感じ……嫌いじゃないわね……)
しらゆきは一歩前へ出ると、
魔術で外の庭へと繋がる扉を開いた。
そこには──
お嬢様の館だけに、白い雪が舞っていた。
お嬢様「……っ。雪……?」
しらゆき「天大陸のクラウディア様に調整していただきました。
“お嬢様のためだけの冬”です。」
しらゆきは静かに手を差し出す。
しらゆき「そして……雪の中で、一曲。
お嬢様がお好きだった“あの舞”を。」
お嬢様の瞳が、そっと揺れた。
雪の庭で、しらゆきは
かつてお嬢様の前で一度だけ披露した舞──
“雪華の輪舞”を踊る。
白い髪が光を掬い、雪と混ざり合うように舞い落ちる。
その姿は、まさに“しらゆき”だった。
お嬢様「……綺麗だわ、しらゆき。」
しらゆき「お嬢様からいただいた名前に、
ふさわしい存在でありたいのです。」
◆ 夜姫の贈り物:黒の愛
夜姫(……この流れで渡しにくいじゃない……)
しかし夜姫は、雪の中に静かに歩み出ると
黒いドライフラワーを差し出した。
夜姫「……わたしからは、これを。」
お嬢様は花を見つめる。
お嬢様「黒薔薇……?」
夜姫「ええ。“変わらない愛”の象徴です。」
風がふっと吹き、夜姫の黒髪が揺れる。
夜姫「これは──
“黒薔薇の姫だった私”が、
お嬢様と出会って“変われた証”です。」
お嬢様の胸が、じんわりと熱を持った。
夜姫は一歩近づき、低く甘い声で囁く。
夜姫「……お嬢様。
わたしは、あなたに出会えて……
本当に、救われたのです。」
しらゆき「……っ(負けていられませんね)。」
◇ 二人、同時にお嬢様へ◆
そして──
しらゆきと夜姫が同時にお嬢様に向き直り、跪いた。
しらゆき「お嬢様。ご生誕、心よりお祝い申し上げます。」
夜姫「あなたが生まれたこの日に……わたしたちは感謝します。」
お嬢様は頬を赤らめながら、ゆっくり二人の手を取った。
お嬢様「……ありがとう。
本当に……ありがとう……」
涙は流さない。
でも、表情は限界まで優しい。
その瞬間──
しらゆきが、そっとお嬢様の両手を包んだ。
一瞬、夜姫の瞳にかすかな嫉妬が宿る。
けれど、お嬢様の前では決して乱さない。
夜姫は小さく息を整え、
“譲らない女”の微笑みを浮かべて歩み出る。
「……先に触れられたからって、退くと思わないでくださいね」
そのままお嬢様の右へ、
“温度を含んだ手”をそっと腰に添えた。
静かに、でも確かに──
**自分もまた愛している** と示すように。
お嬢様「~~~っ!?」
しらゆき「お嬢様……大好きです。」
夜姫「お嬢様……愛しています。」
雪の庭で、その白と黒に抱かれながら、
お嬢様の誕生日は静かに、そして確かに始まった。
それは
“誕生日に最初に触れた愛”
として、永く心に残る。
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正妻より
『連載一か月ありがとうコメント』
◆ 第一婦人:しらゆき
「本作をお読みいただき、心より感謝申し上げます。
お嬢様の物語が皆さまの時間を少しでも彩れたなら……
それは、私にとっても幸福です。
これからもお嬢様の軌跡を、どうぞ見守ってくださいね。」
◆ 第二婦人:夜姫
「読んでくれてありがとね。
お嬢様の物語は、まだ始まったばかりよ。
……ふふ、これからもっと面白くなるわ。
その目で見届けてちょうだい。」
みなさん、はじめまして。つるにゃーです。
今日は 『誕生日+連載1ヶ月記念』 ということで、
少し浮かれた特別回にしてみました。
甘々の中に、ちょっとしたライバル意識をスパイスした3話。
いかがでしたでしょうか?
いつも読んでくださり、本当にありがとうございます。
ひとつひとつのPV、ブクマ、リアクションが、私の創作の力になっています。
もしよければ――
誕生日プレゼントに、高評価やブクマをいただけたら
とっても嬉しいです……!
そして少しだけ未来のお話をすると……
今回登場した 「夜姫」 は、すぐに本編へ登場します。
“武”と“華”を合わせ持つ彼女が、
お嬢様とどう絡むのか――ぜひ楽しみにしていてくださいね。
これからものんびり更新していきますので
どうぞよろしくお願いします。




