魔導新幹線 ― 王国を動かす懐刀
数日後。
王城の応接室には、積み上げられた資料と図面。
天窓から差す光が、新しい時代を照らしていた。
国王は深く頷きながら言う。
「魔導新幹線……
物流が改善されれば、庶民の暮らしも安定する。
だが、貴族たちが黙ってはおるまいな。」
お嬢様は紅茶を置き、微笑む。
「だからこそ、王の決断が必要なのです。」
横で王女が身を乗り出す。
「しんかんせん!おしろでおさしみたべたい!」
幼い声が明るく響く。
クスリと笑ったお嬢様は髪を撫でて答えた。
「食べましょう。
ルーベリアの港で揚がった魚を、その日のうちに。」
王女「わーい!!」
しらゆきが資料を前に進み出る。
その立ち姿には、千年の経験と知性が宿っていた。
「ルート案は3つに絞りました。
多数決による採択を推奨します。」
しらゆきは次々と映像を切り替え、
貴族社会、経済圏、地形データまで論理的に積み重ねていく。
国王は顎に手を当て考える。
「理屈は十分だ。
問題は、保守派の説得だな。」
しらゆきは迷いなく答えた。
「説得は私が行います。
しかし最終判断は、陛下が下してください。」
お嬢様は国王へ穏やかな眼差しを向ける。
「私はただ……
必要なときに剣となり盾となるだけ。」
国王はその言葉に深く息をついた。
「あなたの存在があるから、
私は恐れず前を向ける。」
そして国王は、強く宣言する。
「よかろう。
魔導新幹線建設計画、正式に着手する。
貴族会合は一週間後。全てを整えよ。」
しらゆきが恭しく頭を下げる。
「陛下の英断、歴史に刻まれます。」
王女は嬉しそうにくるりと振り向き、
「まじょさま、いっしょにのろうね!」
お嬢様はその言葉に優しく微笑んだ。
「陛下が決めてくださった未来。
あなたと一緒に、乗りに行きましょう。」
――
世界は、強き王とその懐刀によって動き出す。
千年経っても、
お嬢様は決して王座を欲さない。
ただ、守るべき者のために力を振るうだけ。
そして今日も、
その隣にはしらゆきが静かに寄り添っている。




