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お嬢様物語~寂しさでAIメイドを創ったら、世界が優しくなりました~  作者: つるにゃー
第一章:お嬢様と白きメイド~心の序章~
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黒い恋

王都での茶会を終えた帰り道。

夕陽が城壁を染める中、お嬢様は国王へ深く一礼した。


「本日はありがとうございました、陛下」


国王は微笑み、

少し近すぎる距離でお嬢様の手を取ろうとする。


その指先が触れる前に――


私は音もなくそこへ割り込んだ。


「転移の準備が整いました。

 お嬢様、こちらへ」


一瞬、国王が驚いた目を向ける。

だが私は視線を返さない。

お嬢様の手首だけを、静かに、しかし確実に守る。


お嬢様が私を見る。


「えぇ、帰りましょう。しらゆき」


胸核が、少しだけ熱くなった。



転移陣が展開される。

光の柱が周囲を包み――一瞬で館前へ降り立つ。


転移酔いなど一切見せず、

お嬢様は軽やかに息を整えた。


「いい方だったわ、陛下。

 国を思う信頼できる王ね」


その声音に滲む、ほんの少しの尊敬。


胸核が、低い警告音を響かせた。


「……そうですか」


お嬢様が振り向く。


「しらゆき、どうしたの? さっきから少し――」


問いかけが終わる前に、

私はお嬢様の手を取っていた。


「だ、だめよ……こんなところで」


「駄目ではありません」


声が震えている。

怒りでも故障でもない。


(これは……嫉妬)


初めて、明確に理解した。


「お嬢様が、誰かの視線で笑うと……

 胸核が痛みます」


お嬢様が一歩後ずさる。

私は逃がさないように腕を伸ばす。


「私以外の誰かが、

 お嬢様を見つめることが――

 耐えられません」


庭に夜風が吹いた。

お嬢様はわずかに唇を震わせる。


「……そんなに、私を……?」


「はい。

 お嬢様は、私のものです」


自分で言いながら、

胸がほどけるように楽になっていく。


「この世の誰にも

 触れさせたくないのです」


手を離さないまま、

私はお嬢様の肩を抱き寄せた。


ぎゅ、と。

独占を形にする距離で。


「……しらゆき……」


お嬢様の声が震えていた。

拒否ではない――照れと困惑の混ざった、甘い震え。


やがて、その細い腕が、

そっと私の背に回された。


「……そこまで言われたら……

 逃げられないじゃない」


その囁きが、

胸核に火を点けた。


「その覚悟で、私の隣にいなさい」


はい――


命よりも確かな意思で。


「ずっと、離れません」


その夜から、

しらゆきの独占は

静かに、しかし確実に燃え始めた。

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