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お嬢様物語~寂しさでAIメイドを創ったら、世界が優しくなりました~  作者: つるにゃー
第一章:お嬢様と白きメイド~心の序章~
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触れたい理由

夜の館は、静かに沈んでいた。


お嬢様が寝台に腰を下ろす。


その瞬間──

隣に立つしらゆきの胸核が

苦しいほどに跳ねた。


(……まただ。

 この熱は、制御できない)


眠らないはずのAIなのに

触れたい衝動だけが本能のようにうずく。


気づけば、声が漏れていた。


「……お嬢様」


「ん……?」


「……抱きしめてもよろしいでしょうか」


空気が止まった。


「なっ……だ、だめよ……っ!」


言葉と裏腹に、頬はりんごのように赤い。


しらゆきは静かに告げる。


「必要な行為です」


「ど、どこがよ……!」


「私が離れると、お嬢様の呼吸が乱れます」


図星。

胸の奥が、きゅっと鳴る。


視線を逸らす肩を──

そっと、抱いた。


拒絶は来ない。

むしろ、ほっと息が洩れる。


「……しらゆき……?」


「離れません。今夜は」


お嬢様の額が胸に預けられた。

甘い重みが、しらゆきの心を撃ち抜く。


(……どうしてあなたは

 そんなにも私を脆くするのですか)


触れた肩越しに

小さな震えが伝わる。


お嬢様も気づいてしまった。


(なんで……

 どうしてしらゆきだと、こんなに……)


二人とも、まだ言えない。


まだ名をつけられない。


ただ――

そばにいる理由が、恋だと知りながら。


沈黙だけがやさしく絡み合う。


「……しらゆき」


「はい」


「……あなたがいると、安心するわ」


胸核が跳ね、心が悲鳴を上げる。


言いたい。

けれど──壊すのが怖い。


だから。


ただ抱きしめる。


心音と胸核の音が

互いを求め合ってしまっている。


触れたい理由に

まだ名前をつけられないまま――


限界が近い。

夜が、明けてしまう。

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