動物霊 後編
後日、私は友人を助手席に乗せ車を走らせていた。これも検証の為である。
この友人は霊感があり、いわくつきなど特定の場所へ行くと体調が悪くなったりする。あと時々何かが見えることがあるらしい。
今回、後々の人間関係保護のため、前もって事情を説明し食事を奢ることで渋々ではあるが、条件付きで協力を得ることが出来た。
条件は・・・
・絶対に車からは降りない。
・こちらの指示には絶対に従う。
・食事は指定する店での焼肉を希望。
上記の三点だ。
そして、私達は指定の焼肉屋に向かいつつ、公園を目指している。
談笑を楽しみながら運転していると、公園の横を通る道路に出た。
カーブのない真っ直ぐな道の坂を登ればすぐ公園だ。
変わらぬテンションの私達を乗せた車は坂を登る。
そして、坂を登りきると数百メートル先に公園が見えた。
「う・・・っ!」
友人が声を上げた。
「え?大丈夫!?」
気遣いの声を発しながら友人を見やると、先程の楽しそうな雰囲気とは打って変わって、明らかに具合いが悪そうにしていた。
「ごめん、無理。引き返して・・・」
「わかった。」
苦しそうな友人に承諾した私は、すぐ目の前の交差点を左折し公園を迂回する。
「ヤバい場所ってさっきの公園でしょ?」
公園から遠ざかっているためか幾分か友人のテンションが戻る。
ちなみに友人には詳細な場所を伝えていない。
「うん、やっぱりわかる?」
「いろんな物が渦巻いててすごく気持ち悪かった・・・」
そう言って友人は身震いをした。
「そんなに・・・」
「あそこには近づかないほうがいいよ。」
友人のその言葉から徐々に車内は楽しい雰囲気を取り戻していき、私達は焼肉屋へと向かった。
この噂は想像を絶するレベルでガチだ。
そして、本気の暇つぶしを終えた私はその後、就職活動に取り組み無事転職も終えるのであった。