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蒼い勇騎  作者: 風南 春樹
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手負いの魔獣

魔獣は、ライオンの様な風貌をしています。

 魔物が人間を庇う。

 そんな話を、私は聞いたことがなかった。そんな人間みたいな行動を、魔物がするはずなかった。だって彼らには、心なんてあるはずのない、化け物にすぎなかったのだから。

 人に聞いてみたならば、そんな当たり前のような答えが返って来るだろう。

 ……けれど、私の目の前にいるその魔物は、その身をもって「自分たちにも心がある」のだと訴えかけてきた。

「…っ……ぎ、ギタト!?大丈夫なの!?一体どうして!?」

 傷口から血を滴らせるギタトに向かって私は叫んだ。

 そんな私に、彼は覚えたての笑みを浮かべながら答える。

「ギゥ……ミサオ……ダイジョウブ、ナノ?」

「わ、私は大丈夫だよ!それより、その怪我の治療をしないと!」

 その場で座らせて、洞窟の時と同じように魔力での治療を試みようとしたけども、ギタトは私の指示を拒むかのように足に力を込め、目の前を睨んでいる。

「どうしたの?一体目の前に何が――」

 私は彼の視線の先を見て、言葉を失ってしまった。

「グルルルル…………」

ギタトの身体の向こう側に居た何者か。その正体は、全身に銀色の体毛を纏った大きな一匹の獣だった。

「けも……の?……ううん、違う!」

 あれは、魔獣だ!

 鋭い眼光をぎらつかせ、とても立派な牙と爪を携えたその姿に、私は見覚えがあった。

「グゥ……グルルルル……グルルル……!!」

「……あっ!あの魔獣……まさか…………!?」

 ギタト越しにその気配を感じた私は、その魔獣が放つ魔力の波動に数日前の記憶を呼び起こされた。間違いない。

 私が町を出ていく決意をするきっかけとなった……あの魔獣!

 ……だけどその姿は、私が以前見た姿とはあまりにもかけ離れていた。あれだけ恐ろしげに踏みしめていた足は赤黒く染まり、どこか頼りなさそうに震えている。尾も途中でちぎれたのか、ほとんど目立たなくなっていた。端から見ていても痛ましく感じてしまう程の姿。……それでも、目の前の標的に殺気を込めて放ってくるあの眼光だけは、前に出会った時と変わっていなかった。

「グルルガァアアアッ!!」

 魔獣が恐ろし気な咆哮を上げて私達に襲い掛かってくる。

「あっ!!」

 ……けれどギタトが私の目の前に立ちはだかって、その突進を全身で受け止めた。

「グゥゥ…!ギィィィ、ギゥッ……!!」

「ギタト!?」

 苦しそうな声を上げるギタト。彼の手足も、みるみるうちに赤く染まり始める。

「ガァアアア!!グルァアアアアッ!!」

 魔獣が吠えながら、何度も私に向かって突進しようとしてくる。そして、その度にギタトが私の前に立ちはだかって私を守ろうとしている。

「ダメっ!!止めて、ギタト!これ以上庇ったら、貴方が死んじゃう!」

 私が必死に止めても、ギタトは決して退こうとしない。その身体を赤く染めつつ、ふらつく体で必死に私を守ろうとする。

「お願い!私は貴方が大切なの!早く逃げてぇ!!」

 必死にそう呼びかけると、ギタトは私のほうを見て静かにつぶやく。

「ギタト……ミサオ……ガ……タイセツ……。」

「っ!ギ、ギタ……ト……。」

 そんな私達の前で、全身を真っ赤に染めた魔獣が、ギタトから一旦身体を離し、今一度襲い掛かろうとするように距離を取る。

「グルル……アアアァッ…………!」

 まるで気合いを入れるかの様に、魔獣が天に向かって唸った。

「あっ…ま、また来る!?」

 このままだとギタトが……!

「くっ……!」

 ギタトの手を振りほどき、私は魔獣めがけてあの風の魔術を発動させようとする。

「ギゥ!?…ミサオ……!?」

「……あっ!……ううっ!」

 すぐ傍にいるギタトの姿を見た私は、直ぐにその手を振り回し、吹き荒れ始めた魔力を慌てて打ち消した。

 ……ダメだ!このまま私の魔力を力任せに放っただけじゃ、あの時と同じように周囲まで吹っ飛ばしちゃう!それじゃあ、傍にいるギタトまで巻き込んじゃうことになる。

 だけど、今の私はそれしか対抗する術を持たない……どうにか魔力を一点だけに集中させることが出来れば……。

 集中、魔力を集中――。

「あっ……。」

 魔力を集中させることに思いを馳せたとき、以前に何処かで読んだ魔術教本に書かれていたことが頭を過ぎった。

 半分くらいしか覚えてないけど、確か――。

『魔術とは、その核となる元素を司る、精霊達と縁を交わし、そしてその力を身に借り宿し操ることで御するが叶うものなり。精霊へ己が声を届け、汝が持つ力を欲すると願い――』

 精霊へと、声を届ける――そうか!『詠唱』だ!

 風の精霊へと言霊を通して語りかけ、その力を借りることが出来たなら…操ることが困難な魔術だって、制御することが…『魔獣だけを狙って吹き飛ばす』ことが出来るのかもしれない!

 だけど私、そんな練習なんてしたことがない。いきなり精霊の力を借りるだなんて……。

「ミサオ……マジュー、マタ、クルッ……!」

 そんな事を悩んでいると、ギタトが逼迫した現状を思い起こさせるように必死に呼び掛けてくる。

 ううん、できるかどうかじゃない!とにかく今は、それをやるしかないんだ!!

 魔術教本に載っていた言霊は、確か――。

「お願い…風の……精霊達よ……!」

 初めて仲良くなれた魔物……共にいてくれているギタトを護るために…必死に願った。

「どうか私の声に、耳を傾けて下さ――違う……わ、我の声に!耳を、傾けなさい……傾けよっ!!!!」

 手の先で強い魔力を集めながら、辺り一帯に聞こえるように大声で必死に叫ぶと、その集まっていた魔力が私の手を覆うように凝縮を始めた。

「うわわっ!?」

「グゥ!?グルッ……ウウゥゥゥ!!?」

 私の手で凝縮され高まり続ける魔力。それを見て魔獣は、一瞬怯んだ様子を見せる。

「ギゥ!?ミサ……オ!?」

 ギタトも驚いた表情も見せる。

 でも……一番驚いていたのは、自分の手を見ている私本人だった。

「……あ、あれ?……よくわかんないけど、出来てる?これで、いいの!?…………多分、これならっ!」

 私はその手を前に翳したまま、ゆっくりとギタトの前に歩み出る。

 そうして魔力を、漠然とした突風では無く風の魔術へと変換させるよう思い描き、私とギタトの前に風の塊を作るよう意識を集中させた。腕に集まった魔力が渦を巻き、少しずつその大きさを増していく。小さなつむじ風は私が願う毎にその力を増し、嵐と変わらない雄叫びをあげて魔獣の前に立ち塞がっていた。

「す、凄い……。詠唱した魔術って、こんなことまで出来るなんて……!!」

「ミサオ……スゴイ?」

 自分で行いながら自分が一番驚くという、不思議な感覚が今の私を支配してる。とにかく、これならば魔獣を撃退させられるかも。

 ギタトを守ることが出来るかもしれない!

「ガ……ア……アウゥ……。」

 魔獣は目の前にある風の塊に恐れ戦き、その場から数歩ほど後ずさろうとする。

 その度に魔獣の身体から血飛沫が吹き出し、飛び散るのが見えた。

「え……血が出てる?どうして…さっきから攻撃されているのも、血だらけになっているのも、ギタトの方なのに。ねえギタ――」

 後ろを振り替えると、ギタトは血濡れになった箇所をぽりぽりと掻いている。掻いた箇所からは血が吹き出たりしていない。むしろ掻いた箇所の血は削れ、粉末となって地面に落ちていく。そこにあるのは、擦り傷だけだった。

「ギィ?」

「あれ…?あんな大怪我してたのに、どうして…………。」

 素知らぬ顔のギタトに私は疑問を投げかける。そして私は、このおかしさの原因に気がついた。

「…………あっ…そうか!」

 ギタトは魔獣の突進を受け止めていたけど…傷は負っていなかったんだ。

 ひょっとしてあの魔獣は…私達に危害を加えることが目的なんじゃなくて、『自身が生き延びるために行動している』だけに過ぎないのかもしれない。飢えを凌ごうと町を襲い、思いも掛けず深傷を負ってしまった。傷だらけの身体、頼れるものも居ない、少しでも気を抜けばいつ他の魔物に寝首をかかれるかもわからない。そんな極限のような精神状態で、『かつて自分に大きな危害を与えた存在に出逢ってしまった』のだとしたら――。

「……ミサオ?」

 ギタトが不満げな表情を浮かべて私を見つめてくる。危険な相手の前で、なんで考え事なんてしてるのかというように。私にもようやく、ギタトの考えていることが分かるようになってきた。

 私は腕を真上へと向け、そしてギタトに向かって呼び掛けた。

「安心して、ギタト。……もう、大丈夫。」

「グルル……!!」

「こんなの、もう必要ないんだって分かったから……フゥ…はぁぁぁ!」

 私は天に向かって翳していた腕に力を込め、集まっていた魔力を真上に一気に放出させた。

 放出させた魔力は、真上に多い繁っていた木々を斬り裂きながら空へと向かっていき、やがて形を無くし消えていった。

「ミサオ…………ダイ、ジョウブ?」

 私の行動がよく分からない、と言いたげな表情で私を見るギタト。

「ええ、大丈夫。私達とあの子は、何も争う理由が無いんだって分かったから。」

 そう言いながらギタトの隣に行き、彼の状態を見る。

 打撲と多少の出血こそあるが、目の前の魔獣と比べれば大した怪我じゃないみたい。それを確認すると、私はギタトにの身体に手を翳しながら魔獣へと顔を向けた。

「……ねぇ、魔獣さん?私が今からすることを、そこで見ててくれないかな?私はね、こんなことが出来るの……。」

 魔獣に呼び掛けながら、私はギタトの身体にある擦り傷に手を当てて魔力を分け与えた。瞬間、手から柔らかな光が漏れ出て、彼の傷を癒していく。

「ギィ…………。」

 どこか満足そうな表情を浮かべるギタト。やがて光が治まる頃には、彼の体には傷ひとつ残っていなかった。

「グゥ!?」

 魔獣は先程以上に警戒するように毛を逆立てる。

「大丈夫、大丈夫だから…貴方も今からこうして治してあげたいの。だから、ほら――きゃあっ!?」

 ゆっくりと歩み寄ろうとした瞬間、私の身体が地面に押し倒される。何が起きたのかと目の前を見ると、瀕死の魔獣が私を組伏せ、私の首筋に噛みつこうとしているのが見えた。

「ハァー…………ハァー…………グルルルゥ………………。」

 だけど魔獣はすぐに噛みつこうとはせず、血走らせた目で私の顔をジッと見下ろしている。そして身体を押さえ込む彼の前足からは、激しい震えが伝わってきていた。

 分かる。彼は今、とても怯えているんだ。

 目の前で魔術を編み、そしてギタトを治した事で、この子は私に追い詰められていると感じている。だからもう彼には、最後の力を振り絞って私に飛びかかるしか生き延びる術がないと悟ったのかもしれない。

「ミサオ!!」

「駄目!」

 悲鳴を上げるギタトに対して、私は叫ぶ。

「駄目だよ、ギタト!今あなたが来たら、この子は私を敵と思ったままだもの!お願い、そこで見ていて!」

「ギゥゥゥ…………ギゥ。」

 魔獣に飛びかかろうとしていた彼がどうにか座り込むのを見届け、私は魔獣に目を向けた。熱い吐息を吹き掛けてくる魔獣の眼には、敵意ではなく、恐れと畏怖の色が滲み出ている。

 だけど、今のこの瞬間にもよく分かった。

 今、ギタトと言葉を交わす間にも、彼は私を襲おうと思えば出来たはず。だけど、彼はそれをしなかった。

 私がどうするのか、その成り行きを見ていたからだ。

「……お願い、私を信じて?」

 届くことを信じて、私は魔獣の前足をゆっくりと摩りながら言葉を投げかけた。そして魔獣の目を見つめ続けて数秒。

「グルル……キュゥゥ……。」

 先程迄とは違う弱々しい声を上げて、魔獣の前足が私を離した。よかった、気持ちが通じた。私がそう思った瞬間、魔獣は全ての力を使い果たしたかの様にその場に崩れ落ちしてまった。

「あっ!?いけない、しっかりして!!」

「グ……ウゥ…………。」

 私は倒れた魔獣に駆け寄った。

 息絶え絶えになった彼は、苦しそうに呻いている。脇腹は何かを叩きつけられたかのように無残に潰されており、そこからは赤黒い液体がどくどくと流れ出している。早く治癒しないと、手遅れになる。

 もう私には、迷いなんて無かった。

 魔力はさっきのでほとんど使い切っちゃっているのか、立ちくらみがしてきている。けど…構わない。私のこの魔力を全部注ぎ込んででも――。

「あなたを、必ず助けてあげるから。」

 私はそう誓いを言葉にすると、魔獣の傷口に向かって、ギタトを治した時と同じように魔力を放出し始めた。

「……グルッ!?グルゥ…グルゥ…。」

 少しずつ、大きく開いていた傷口が塞がり始めているのが見えた。

「グゥゥ!キュゥゥゥ……。」

「……大丈夫、大丈夫だよ……私が今、助けてあげるから……。」

 痛みに悶える魔物に対して、私は優しく呼びかける。

 だけど、魔力を放出するにつれて体がふらついてきてしまい、やがて自身で身体を起こしていられない程になってくる。

「ううっ……あと、もうちょっと…なのにぃ…………ん?」

 どうにか体を起こそうとしていると、後ろからそっと誰かが私の体を支えてくれた。

「タベモノ……ミサオ……!」

「もがっ!?」

 そう呟きながら、ギタトは私の口に何かを押し込んでくる。

「……ふごっ…………。」

 半ば力任せに、先程のあの果実を私の口にふくませてくれたのだと分かった。

 その甘い香りと果汁が、私の疲労を少しだけ癒してくれる。

 助かった。そう思うと共に、頭の中に一つの疑問が湧いてくる。……どうして彼、ギタトは私のお願いを聞いてくれたり、倒れそうな私を助けてくれるのだろうか?やり方は少し荒っぽいけれど、敵意の様なものは見受けられない。

 それは、私を心配そうに見つめてくる表情からも明らかだった。

「……んんっ……ん……ギタト……私をお手伝い、してくれてたの?」

 何とか果実を飲み込んでから聞いてみると、彼は何とも言えぬ表情で小さく呟く。

「…………ギゥ。ギタト、ミサオ、オテツダイ……。」

 たどたどしい口調だけれども、ギタトが私の為に動いてくれているのが肌で理解できた。

「ふふっ……ありがとう、ギタト。」

「ギィ……。」

 そして私はギタトの支えを頼りに、フラフラになりながらも瀕死の魔獣に魔力を与え続けていた。

 そうして魔力を与えながら、その魔獣を見続けているうちに、ふと頭を過ぎった。もし、このあとがギタトの時と同じであるならば――。

「んっ……そうだなぁ。この後に魔獣さんって呼びかけるのもなんだし……この魔獣さんにも何か、名前つけてあげないとね……どうしよう……かな?」

 半ば夢うつつの状態で、私はギタトに問いかけた。

 彼はというと、よく分からない、と言いたげな表情で首を傾げている。

「マジュー……ナマエ?」

「うん。この子ともきっと…貴方と同じように仲良くなれるような気がするの。だから、同じようにこの子にも名前をつけてあげなきゃって思ったんだ。」

 私のことを信じてくれたこの魔獣さんに、相応しい名前を与えてあげたい。

 ギタトの名前の元となった、本に載っていた伝説の魔物は「ギタート」だけではない。数え切れぬ程いる魔物も、ある程度の種類に分けられる。だから、彼にもきっとふさわしい名があるかも。

 例えば……そうだ。本にいた、あの魔物。

 頑強な手足と鋼の爪と牙を持ち、街から街へ風のように駆けた魔獣がいた。確か、その名前が――。

「――【ジユウ】!……うん。貴方のことを私は、今からジユウって呼ぶわね!」

 そう名付けた私の声に答えるように、目の前で魔物が一瞬大きく体を跳ねた。

「あっ!」

 そしてそれをきっかけにして、一気にその姿が変貌していく。

 獣のしなやかさを持った足は筋肉を膨れ上がらせた手足に、鼻の飛び出た顔面は人間の男の子のような面構えに。大きな傷のある胴体は、痕を残しつつも頑強な胴体へと変貌していく。一息で数日が過ぎたような劇的な速度の変化に、私は目を見開いた。

 そうか……これが、あの洞窟の中でギタトの身体に起こったことだったんだ。

「…………ガァ?」

 魔獣から変貌した彼が体を起こし、奇妙そうな表情で自分の体を見つめていた。拳を握っては開き、足を不思議そうに動かしながら四つ足で立ち上がると、彼は私達の方にゆっくりと近づいてくる。

「ギゥ!ギィィィィィィ!!」

「待って…待ちなさい、ギタト!」

「ギゥ!?……ミサオ?」

「大丈夫だよ、ギタト。あなたの時と同じように…先ずは言葉を交わしてみたいの。」

 警戒するように唸るギタトを宥めて、私達は彼が何をするのか様子を見ていた。

「グル……ガル……。」

 唸り声を漏らしつつ、彼は私の前に立っていた。

 そして暫くすると、彼は仰向けに寝転び、こちらに向かってお腹を見せてきた。まるで、人族に愛玩される動物が、飼い主に向かって甘えるようなその仕草。此方に敵意など持っていないのは、誰が見ても明らかだった。

「よかった……もう大丈夫そう――あっ……。」

「ガル?」

「っと……ね、ねぇ?」

 仰向けにして見せつけられてる彼の下半身をなるべく見ないようにしながら、私はジユウへと呼び掛けた。彼は不思議そうな表情を浮かべつつ、私の方に顔を向ける。その表情は、あの時のギタトと同じ――。

 確信した私は、自分を指さしながら彼へと話しかけてみる。

「あのね?……私の名前は、ミ、サ、オ。この子はギ、タ、ト。……だよ。」

「ミスァ…ミサ?」

「あなた、一人ぼっち?私と……一緒に……。」

 手振りを交えながら、私を不思議そうに見る彼へと語りかける。

「……グル?ヒトリ、ボチ……。ミサ、オ……イショ……?」

 やっぱりだ!

 彼もギタトと同じように、私の言葉を繰り返す。

 そして動作も交えながら話しかけると、その言葉の意味もなんとなく理解出来ているみたい。彼は、私に向かって招くように右手を動かしていた。そんなところまで魔獣の時の仕草が残っている。これならきっと、仲良く出来る。

 私は大きくかぶりを振って確信した。

「うん、決まりね。……私と、仲良くしてくれないかな?ね?…ジ・ユ・ウ!」

「ジユウ……ジユウ?」

 そうして彼は自分を、自分のことだと理解したように、初めての笑顔を私に見せてくれた。


 後に『獣拳覇王』という二つ名を轟かせことになる達人拳士が、この日ここで私の傍に生まれていた。

ギタトとジユウは現在素っ裸ですが

7歳のミサオにはまだ性的な知識がないということで

その辺りは分かっておりません

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