ヴィ―ガンになりたいひとへ
おすすめはしない。
作者はダイエタリーヴィーガンです。
といってもそこまで厳密ではないので、たまにはちみつをつかったお料理、お菓子づくりをしますし、お薬などについては動物性のものでものみます。不良ダイエタリーヴィーガンですね。
「ヴィーガン」という言葉がマスコミでつかわれるようになる前からの、(不良だけど)そこそこ歴の長いダイエタリーヴィーガンからいわせてもらうと、ヴィーガンになるメリットというのはあんまりない。
まず外食はほぼアウトです。
実際わたしは、ダイエタリーヴィーガンになってから一回しか外食していません。それも、ヴィーガン料理のお店に一度行ったというだけ。そもそも外食をするタイプではないのでなんとかなっているだけ、という感じ。
わたしは基本、すべて自炊です。栄養バランスをきちんと考えて献立を決めるのは、わたしはお料理好きなので苦じゃないですが、そうでもないひとには厳しいでしょう。家族が居る場合には、そのひとがお料理をするひとでなければ、別にお肉やお魚を調理する必要も出てきます。
ヴィーガン料理のお店、という手もありますが、そういうところは結構高い値段設定が多い。すべて外食にするのは無理がありますよ。
同じ理屈で、レトルト食品やスナック菓子、駄菓子お菓子などもほぼ全滅。
食べられるのは草加せんべいや麩菓子くらいかな。ポテトチップスは最近、お塩だけの味付けのものをたまに見かけるので、それなら食べられるかもしれません。
大抵のお菓子に動物由来のものがつかわれているので、好きなお菓子が食べられなくなります。
ヴィーガンはお肉やお魚などを食べないだけでなく、たまご、はちみつなども食べられません。ケーキやアイスクリーム、動物由来のアミノ酸がつかわれたしょっぱいお菓子もすべてアウトです。
カップ麺に、レトルトのカレー、袋麺。焼きたてのメロンパン、カラフルで可愛いマカロン、あつあつドーナツ、とろける石畳チョコ、シュトレンにフィナンシェにガトーショコラ。我慢できますか?
ヴィーガンというのは、食べものだけでなく、身のまわりのものすべてから動物性のものをなくす生活様式をとっているひとのことです。
なので、ヴィーガンになったら、毛皮、革製のもの、動物の骨や角製のもの、絹なども全部捨てることになります。成人式で着た振り袖や紋付き袴、それ、正絹じゃありません? 鼈甲細工、印伝、象牙の根付け。全部動物性ですよ。
シャンプーやボディソープも、裏面を見てください。動物性のものがはいっていませんか? 蜜蝋いりのリップクリームや、シルク成分がはいったクリーム、プラセンタ、鮫由来のスクワランなんかもアウトです。漢方薬につかわれている牛黄や阿膠なども動物由来なのでだめ。ワクチンも、現状ほぼ不可能でしょう。
そもそも、動物実験全般に反対という立場ですから、つかえる化粧品はほとんどなくなります。お気にいりのコスメを捨てる覚悟はありますか?
動物実験をしていない、動物由来の成分がはいっていない製品で、同じようなものがすぐに見付かる補償はありませんよ。
お野菜や穀物ばかり食べているからといって、食費もそこまでおさえられはしません。どんな食材でも、さがせば凄く安いものはありますし、反対においしいものを食べようと思ったら上は果てしがないです。
健康面でも、劇的に元気になる、というものでもありません。わたしの場合は月二くらいの頻度で起こっていた原因不明の強烈な腹痛(嘔吐もしくは下痢を伴うもの)が、年に一回から二回に頻度が下がったくらい。多分アレルギーが原因なので、アレルギーなどがない場合は恩恵はほぼないと思います。あとは、体重の増減幅がせまくなったことくらいかな。
今現在健康なら、無理にヴィーガンへ移行する必要はありません。お肉だけ食べていても人間は死にません。ヴィタミン不足を補う方法は菜食だけではありません。
ここまで読んでも、健康になれそうだから試してみたいというかたには、おすすめの方法があります。
週に一日、もしくは月に一日くらい、ヴィーガン料理の日をつくること。
週末に自分で雑穀サラダだとか、動物性食品ぬきのカレーだとか、そういうものをつくって食べる。
レシピを入手して、ちょっとした実験のような感じでしてみると楽しいかもしれません。野菜不足が気になるご家族に食べさせてあげるのもいいかもしれませんね。野菜を食べろといわれるのが週に一日なら、いやがらずに食べてくれるでしょう。普段お料理をしないかたが、週末だけヴィーガン料理をして家族に振る舞うというのも、なんだか面白そうです。
もしくは、ヴィーガン料理やローフードのお店に行って、ちょっとぜいたくしてみる。週に一回か月に一回くらい、自分でつくろうと思ったら手間がかかるお料理を外で楽しんでみるのは、単におなかの満足の問題だけでなく、精神面にもいいかもしれません。
友達とヴィーガン料理をつくって持ち寄って、パーティするのも楽しいかも(今のご時世じゃ推奨できませんが(__;))。
普段、野菜不足が気になるというかたは、それくらいでもバランスはとれると思います。毎日三十品目をとるのはむずかしくても、一週間から一ヶ月くらいでつじつまが合えば、それでいいのではないでしょうか。
もっと簡単なのは、毎朝の食事にくだものをひとつプラスすること、もしくは一日に一回はサラダを食べること。その両方でも結構です。どちらも旬のものだと安いですし、栄養価も高いそうなので、尚更いいですね。
今はコンビニエンスストアでも簡単に、新鮮なサラダやくだものを買えますから、うまく利用しましょう。
そういうところで売られているものは高いと感じるなら、八百屋さんで生で食べられる旬のお野菜を買って、お気にいりのドレッシングでサラダにしてしまえば楽ちん&安上がり。
キャベツなんて時季になれば、大きなひと玉が百円で売られていることもあります。近在の農家さんから買い付けているお店なら、そういうひと達を応援することにもつながります。お気にいりの農家さんを見付けて、そこから直に買うことだってできるかもしれません。
これで、大概の野菜不足は解消すると思います。ドレッシングのてづくりまでできるようになれば、サラダ上級者ですよ。
単純に、市販の青汁や、野菜ジュースを飲むだけでもいいでしょう。おすすめは、大麦若葉やケールをそのまま粉末にした青汁や、しぼっていないとろみがあるタイプの野菜ジュースです。わたしもプレーンな大麦若葉青汁を飲んでいます。
できるだけ野菜寄りの食生活にしたい場合は、ヴィーガンの日を多めにするのはどうでしょう。
平日はヴィーガン、土日に外でお肉やお魚を食べる。
お休みの日には思いっきり食べ歩きをして、普段はお野菜中心のメニュー、というのもいいでしょう。それくらいならバランスはとれるのじゃないでしょうか。
もしくは、一日ごとにヴィーガン食をはさんでみる。それをやって特に恩恵がなければ、別にやめてもいいですし。
お肉やお魚を食べるとなんだか調子が悪いから、ヴィーガンがいいのじゃないか、と思っているかたには、是非、アレルギー検査をおすすめします。
じんましんが出るのだけがアレルギーではありません。自分では平気だと思っていた食べものにアレルギーがあるかもしれませんから、一度調べてみても損はないです。
その結果、自分に合った食生活を見付けられれば、まったくの無駄にはなりません。アレルギーがなにもなければ、好きなものを好きなだけ食べられるということですし。
健康上の理由ではなく、動物愛護の観点からヴィーガンになりたいと思っているかたへ。
ヴィーガンの食生活は、気を付けないと健康的とは到底いえないものになります。「楽に」「簡単に」できるものでもありません。特に、成長しきっていない子どもには危険が多いです。あなたがまだ大人でなく、きちんとした知識もないのなら、今は我慢してください。
信憑性のあるきちんとした情報を沢山集めて、大人になってからヴィーガンをやっても遅くはありません。まずは自分の体を優先しましょう。あなたも動物ですし、命を持っています。あなたの命が軽んじられていいという理屈はありません。
動物が可哀相、動物を殺すのは忍びない。そう思う気持ちを否定はしません。でも、動物をまったく殺さないようにするのは、現状むずかしいことです。
それよりも、もう少し手の届きやすい目標にしませんか?
動物が死んだら可哀相だという気持ちはわかります。劣悪な環境で生育されている動物、不要な実験につかわれて死んでしまう動物も、たしかに可哀相ですね。
なら、動物の福祉に気を配っている農園や、企業をさがしましょう。
動物にとって快適で、ストレスの少ない環境をつくるようにしている農園は、沢山あります。そこで、苦痛の少ない方法で屠殺された動物のお肉を買いましょう。
すでに安全性が確立されている成分なのに、必要に思えない動物実験をしている企業も、あなたの人生からは出て行ってもらいましょう。それくらいの取捨選択は自由であるべきですよね。
動物の福祉を考えて経営されている農園や企業をあなたが選ぶことで、その農園や企業は儲けられます。そうなれば、動物を必要以上にせまいところへおしこめたり、虐待に近いようなことをしている農園や企業はその分儲けを失いますから、段々と減っていきます。
そんなふうに、動物がなるたけ苦しまない環境をつくることを目標にしたほうが、あなたにとってはいい結果になると思います。
今すぐに目標を達成することはむずかしいですが、あなたには買い手としての権利があります。動物に優しい農園や企業を選んで、ゆっくりでも確実な方法で、あなたの気持ちを反映させましょう。
それでも納得できなければ、期限を切ってヴィーガンをしてみるというのも手です。
例えば半年、一年など、ヴィーガンをやってみる。きちんと記録をとって、体調が悪くなったらやめましょう。
そこから、お肉やお魚、たまごなどを少しずつ食事にとりいれて、自分に実際に必要な動物性たんぱく質の量を割り出す。そうして、自分が生きていくのにどうしても必要な分だけ食べるというのはどうですか。真面目で優しいあなたになら不可能なことではないと思いますよ。
動物を食べることで自分を責めないでください。人間はそもそも雑食性の動物です。あなたが悪い訳ではありません。
健康上の理由でも、動物愛護の観点でもなく、精神修養でヴィーガンを目指しているかたへ。
わたしがとやかくいうことではありませんが、ご自分の体を大切にしてください。無理なく、できる範囲でやってください。途中でやめても誰もあなたを責めませんし、あなたが弱い人間になったのでもありません。
ゆるーくヴィーガンをやって、たまにお肉やお魚を食べるのを目標にしているかたは、どうぞやっちゃってください。ゲームで初期装備縛りプレイなんかしてしまうタイプのかただと、はまりこんじゃうかもしれません。動物性のものをつかわずにお料理するの、楽しいですよ。
以上、不良ダイエタリーヴィーガンがお送りしました。今日はアボカドのはちみつ味噌あえ食べようかな(*^▽^*)
作者のデータ↓
物心ついて初めての外食で吐いて以来外食が苦手。更にアレルギーがある為、外で食べたくない。
アレルギーがあるのでスナック菓子をほとんど食べない、お菓子屋さんにもあんまり近寄らないタイプ。発作がこわいので、自分か家族のつくったものを選びがち。必然的に自炊派。
これくらい外食や出来合いの食べものから遠ざかって生きてきた人間でないと、スムーズにヴィ―ガンへ移行するのは簡単ではないと思います。