陽だまり
お日様が暖かいわ。
ヴィンセント様とゲラルドさんの言い合いはまだ続いていて、入る隙が無い感じ。
肩に乗ってるヤトを指で撫でて、ぼうっと二人を見てたらヴィンセント様と目が合った。
「…すまない、リーシャの話をしに来たのに」
「ふふ、楽しそうで何よりです」
バツが悪そうに少し笑うヴィンセント様。なんだか心も暖かい。陽だまりの中にいるみたい。
「悪いな嬢ちゃん、コイツが顔を見せない間に女を引っ掛けてくるなんて思わなくてな!ガッハッハ!」
豪快に笑うゲラルドさんの頭がまたピカリと光る…んじゃなくて反射と言うべきね。太陽を反射して思わず目を覆ってしまいそうになるわ。眩しいもの。
「で、嬢ちゃんはこの街に住みてぇんだな?通行証も発行しなきゃなんねぇな」
ギロっと睨むヴィンセント様をニヒルな笑みで躱すゲラルドさん。沢山の経験値を積んできたギルドマスターは対応力も高いのね。
けどこんなに簡単に話が進んでしまっていいのかしら?私が言うのもおかしいけど、身辺調査とかしなきゃいけないのでは…。
「心配すんな嬢ちゃん。精霊の池から来た者は無条件で受け入れるようになってるんだ。ヴィンセントも嬢ちゃんの話を信じたんだろ?」
「え、えぇ。信じてくださいました。あの…この国の人たちにとって精霊の池はそんなに…」
「まぁ、そうだな。この国や住む者にとって聖域だ。その場所に行ける者は滅多に居ないし、ましてや精霊と絆を結べる者も多くない。俺は生まれも育ちもトンラッドだが、精霊の池から来たと言う者に会うのは初めてだし、精霊もお目にかかったのも初だ。だがヴィンセントが嬢ちゃんを信じた。なら俺も信じるさ」
ニッと明るく笑いかけてくれるゲラルドさん。私も笑みを返すと立ち上がり、棚から四角い箱を取り出した。
何だろう?黒くて表面に透明な石が嵌め込んである。あら?もしかして能力チェックというやつかしら。
「これは通行証を発行すると共にスキルチェックが出来る魔道具だ。名前と年齢を言いながら手を翳すんだ。スキルもあれば言ってくれ。使えないスキルを言っても反応はしないがな。ガッハッハ!」
成程。と言う事は言わなければ癒しの力がある事はバレないって事かしら?
【神の愛娘】という称号みたいなのも知られたくないし、最悪バレたとしてもヴィンセント様とゲラルドさんから腹黒いものは感じないし、やってみないと何も進まないわよね。よし!やるぞ!




