ギルド
それから。
私はダン、じゃなくてヴィンセント様のエスコートを受けながらついに目的の場所まで来た。
エスコートなんて、前世でもあんまりされた事ないから心臓はずっとドキドキしっぱなしで。
手汗もかいちゃって大変だった。
やんわり離そうと試みたけど、何故か腕をぎゅっと力を入れられて抜けなかった。解せぬ。
まぁそれは今は置いといて。
私の目の前には、木で出来た大きな役所のような建物がある。
入口が大きいのは、倒した魔物などの持ち込みがあるからだとか。亜人の身体の大きい人もいるしね。
観音開きの扉は外側に向かって開いていて、基本は開けっ放し。緊急の時に閉められる。
「おっきい〜」
「此処はトンラッドの街唯一のギルドだ。一日中開いているから困った事があったら頼るといい」
ヴィンセント様が色々教えてくれる。
あまり喋らない人なのかと思ったけど、そうでもないみたい。
「リーシャの事情を考えれば直接ギルドマスターに話すのがいいだろう。行こう」
「はい」
ヴィンセント様のエスコートを受けたまま、ギルドの中へ入った。
中は賑わっていて、目に入る全てのものにワクワクする。
大きな掲示板に沢山の紙が貼ってあって、冒険者であろう人たちが見てる。
一人だったり、複数で見てたり、その紙をカウンターにいる人の所に持っていってたり、受付があそこなのかしら。綺麗な女性が沢山。あら?視線が感じるわ。…あぁ、ヴィンセント様を見てるのね。確かに綺麗な顔だし、背は高いし騎士様だものね。男性も見惚れるほどの美丈夫って、罪だわ。
「……皆貴女を見てるな」
え?私?
「私ではなくてヴィンセント様を見てるのでは?」
「私は何度も此処に来てるから今更だ。貴女は美しいから皆見るのだろうな」
「………ぇ、」
この人…今なんて言った!?
やめて!微笑みながらこっち見ないで!
私免疫ないのに!例えお世辞でも照れちゃうじゃないの!
ヴィンセント様ってこういう人だったの?
「ギルドマスターはこの時間なら二階に居る筈だ」
待って待って!私を置いて話を進めないで。
私まだ顔が熱いんですが!?きっと顔も赤いと思います!
「ダン副部長!こんな公衆の面前でやるっすねぇ!」
私があわあわしてたら、カウンター越しに揶揄うような声が聞こえてきた。
パッとそちらを見れば、にやにやと笑みを隠さずこちらを見ている明るい茶髪の青年が。
「レックス」
まだ幼さが残る彼はレックスというのね。
ピコピコと頭についてる耳が動いてる。猫の亜人だわ。
「ゲラルドはいるか?」
「いるっす。ダン副部長、そちらの綺麗なお姉さんは?」
「私の知り合いだ。行こう、リーシャ」
「リーシャって言うんだ。オレはレックス。ギルマスとのお話が終わったらオレとも話そ!」
軽く言うレックスは楽しそうに笑う。
嫌な予感しかしないわ。絶対さっきのヴィンセント様の事について根掘り葉掘り聞かれるわね。




