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8 どんな事も話のネタになればそれで良い

更新ペースが落ちると思うのでよろしくお願いしまーす

風谷・今日、なんかよく分からん女の子に絡まれたんだが。

九十九・何があった?


 電車に乗っていて暇だったので、SNSの俺と九十九と理で作ったグループにメッセージを送る。因みにグループの名前はTKGだ。適当に付けた

 すぐに九十九から返事が返ってきた。


風谷・なんか俺とつるんでる奴が根暗で愛想が悪いとかなんとかで一緒に居ると嫌われるぞって。

九十九・寧ろお前とつるんでる相手の方が嫌われる気がするが。

風谷・確かにそれは思わなくもない。


 実際俺は厄介な奴だからな。面倒臭い奴とも言う。直す気もないし、悪いことだとも思っていないが。


九十九・ちゃんと自覚してるじゃないか。で、どうなった?

風谷・どうって?

九十九・言われっぱなしではないんだろ?


 ああ、そういうことか。どんな話をしたのかを聞きたい訳だ。多分、本を書くときの材料に出もするんだろう。人の人生を何だと思ってやがるんだこいつは。


風谷・まぁとりあえずつるむのをやめる気はないって言ったわ。実際そいつ根暗な奴だけど悪い奴ではないからな。てかそもそも俺一人だし。


 自分に都合の悪い情報は省く。あいつの話も関わってくるからな。

 と言うかこの話をするべきではなかった。ばれたらおちょくられるのは目に見えてる。


九十九・雪ちゃんの話で何か言われたのか?


 なんで分かったし。いや、それもそうか。


 こいつらに話した友達の名前は雪しかいない。真の話は忙しくて出来ていなかった。

 というかそもそも自分は誰々っていう友達が出来たー。みたいな報告なんていちいちしないからな。

 あいつが知っている情報的には雪しかいないので名前を出したのだろう。


風谷・まあそれは良いだろ。

九十九・まぁ、言わなかったことにしてやる。


 変だな。いつもならこの話だけで時間が過ぎそうな気もするがすぐに流れた。いつもと何が違うんだ?

 ああ、そうか。


風谷・そういえば最近理が出てこないな。

九十九・なんか学校が大変らしいぞ。


 まあゲームも作っていなかったし、何かがあるのだとは思っていたが、学校の話だったか。

 俺と九十九のアドバイスで学校生活が上手くいっているのだろうか? そうなってくると嬉しさ反面寂しさも湧いてくるな。


風谷・お前はどうなんだ? 

九十九・俺? お前と話をしている通りぼっちで暇だ。

風谷・うわー……。


 悲しいなぁ。理がリア充ライフを送っているというのにお前と来たら……。


九十九・お前が言えたことじゃないだろう。

風谷・いや、俺は少ないけど友達いるし。完全なぼっちな九十九君とは違うのだよ。


 ここぞとばかりに煽る。事実こうしていないと理において行かれたことに対してショックを受けて打ちひしがれてしまうからな。


九十九・そういえばだが……俺は生徒会入りするかもしれん。

風谷・は?


 九十九の行く高校は前に聞いたとおり生徒会の権力が強いはずだ。つまりそんな学校の生徒会に入ると言うことは権力者になることと同義。


風谷・え、何、お前らの生徒会って春に選挙するの?

九十九・そんなことはないよ。何でも生徒会長がスカウト枠を持っているらしくてな。入らないかと言われた。


 なんと、スカウトとな。え、待って。何最高権力者直々にスカウトされてるの? 何かしらの力を認められたってことだよな。

 


風谷・なんでスカウトされたんだ?

九十九・聞いてみた所だな、どうやら生徒会長には入試に合格した生徒の得点を見ることが出来るらしく、国語の点数が一番良かったらしい。小論文についても褒められた。まぁそんなこともあって決めたらしいぞ。最後は勘だって話だが。


 生徒の点数が見えるのか……。そりゃ生徒会の権力が強いと言われる訳だ。生徒会長の座につく人を選ばないと大変なことになるぞこれ。


風谷・で、入る気はあるのか?

九十九・そうだな。まあ折角のスカウトだ。受けてみることにするよ。良い経験にもなる。


 不味いな。散々こいつのことを煽ってきたが、なんだかんだ一番充実していないというかうだつの上がらない奴って俺なんじゃないかこれ。


風谷・断っても良いんだぞ。

九十九・ふざけろ。小説にも使えるし人生経験にもなるし権力を手に入れることが出来るチャンスを捨てる訳ないだろ。お前の学校生活が上手くいかないからって俺に当たるな。


 ちくしょう。こいつの意思が堅い。いつもならなんだかんだ言いくるめられる気もするが、さっきのこともある。なんか言う気になれない。いや、いつもでも無理か。


風谷・そんじゃまぁ精々頑張れよ。特権階級様。

九十九・お前……生徒会も大変だぞ? 


 じゃあやらなきゃ良いだろぉ!

 駅に着いたのでスマホを閉じた。



 ◇



「兄じゃん。久しぶりに見たわ」


 家に着くと、リビングに行くと弟が居た。いつもは塾に行っている時間帯だがどうしたんだろう。


「塾は?」

「今日は休みだよなぁこれが。いや、本当に残念なことに。あー行きたかったなぁ」


 弟は凄い棒読みでそう言った。顔は満面の笑みである。なんでこういうことを言うのかというと……知らん。別に嬉しがっても良い気がするが。


「そうか。じゃあ残念なお前に朗報だよ。俺が勉強を教えてやる」

「いらんいらん。兄に勉強を教えられるほど俺は落ちぶれちゃいない」


 言ってくれるじゃないか。とはいえ、俺も実際に教えようと思った訳じゃない。勉強に関しては心配をしていないしな。


「ま、頑張れ。ところで志望校は決めたのか?」


 そう、俺はどちらかというとこっちの方が心配である。別にまだ決めていなくても良いが、早ければ早いだけ対策に割ける時間が増える。俺みたいに遅くまで決めていないと……落ちる。


「まだかなー。でも兄みたいにならないようにするから安心してくれよ」

「いや、本当にちゃんと決めておけよ。大事だからな。マジで俺みたいな失敗をするなよ」

「さっすが兄。体験した人の言葉の重みは違うねぇ」


 煽るな。心にくる。

 見ての通りこいつは俺に似て良い性格をしている。にも関わらず、何故か女子からモテる。俺と違って異性との社交性が凄いんだな、これが。ただし、滅茶苦茶男から嫌われているのでプラマイゼロだ。 

 俺は、中学時代は特別な理由があるとき以外は異性と話すことはなかった。猫をかぶると言うことをしなかった為だな。そりゃ、何かしらのキャラクターとして道化を演じれば話しかけることは出来なくはない。それこそ初めて雪と話した時みたいに。ただそれが非常に面倒臭いのだ。

 その点素でそれが出来るのは凄いと思う。言わないけど。


「そういえば兄。学校はどう?」

「友達が二人しか居ないこと以外は中学と同じだな。うん」


何かこの話色んな人にしてる気がするな。


「一ヶ月何してたんだよ……」


 急に真面目になった。 


「え、友達が書いた小説とか友達が描いた漫画とかを読んでただけだぞ」

「ええ……」


 弟はドン引いた目でこちらを見てくる。事実だから否定しようもないな。

 まあドン引かせるのもここら辺にしてちょっとこの話を出してきたことを後悔させるか。


「まぁ真面目なこと言うと俺、クラスで孤立してるんだよ」

「え、いや、え? 何したの?」

「クラスで一人読書をしていた奴がいたんだよ。そいつ、誰からも話しかけられてなくてな。だから俺、友達になろうと話しかけたんだよ。そしたらみんなから孤立した」


 嘘は言っていない。


「いや、それは。兄も大変だな。何かごめん。俺に出来ることがあったら言ってくれ」

「良いよ。お前は受験生だからな。受験のことだけに専念していれば良いさ」


 こいつは俺に似て良い性格をしているとは言ったものの、こういう所で同情する優しさがある。だから勘違いするんだよ。


「母さんにも言っておこうか?」

「いや、そう簡単に親を出すものでもない。それに別に嫌がらせをされてる訳でもないからな。そう重く考えないでくれ」


 若干俺の心が痛むなこれ。人の善意を踏みにじってると言うかなんというか。ネタばらしをしておこう。


「と言う訳で俺はまだ課題が終わってないのでやってきまーす」

「どういうわけだよ。え、何? さっきの嘘なの? ちょ、騙したな!」

「嘘は言ってねえよ。大事な部分を抜かして話しただけだ」


 俺は急いで部屋に戻って鍵をかけた。運動神経は弟の方が良いので暴力に頼られたら負ける。


 部屋の時計を見ると六時半を指していた。まだ親は帰ってこない。そのため夕食までは時間がある。


「どうすっかなー。あの調子だと、嫌われたかな……」


 思い出すのは三月との会話。あのときはああは言ったものの、俺が平常心じゃなかったのもあり、思い返すと反省点が色々とあった。    

 別に嫌われても構わないが、それでも積極的に嫌われたい訳ではない。あと、女のことに嫌われるのは男に嫌われる以上に嫌だ。

 

 しかし時間は戻らない。後多分、次同じようなことになったとしても覚えていないと思う。


「良いや。明日雪と話すことが増えたということにしよう」


 そう思うことにした。

 だってずっとナイーブで居てもしょうがないだろ?

主人公君はガラスハートなんだよ。


とりあえず星五つよろ。ブクマよろ。感想よろ。誤字報告よろ。

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