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ラブコメとギャグを足して二で割ったような学校でいかにして高校生活を充実させるか  作者: メルシー


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28 作戦会議()

遅くなってスマソ

申し訳ないのですが、一年ぐらい忙しいので投稿できないかもしれないです。

多分エタらないとおもうので気長にお待ちください

 どうでも良い漫才はさておき、結局理たちについては自分が知っていることの殆どを佐藤に話した。

 理たちについても俺についても事前知識が無い彼女に中途半端な知識を与えても何も得るものがないと考えたからだ。

 

 元々来ることを知らなかったのでそこにただ座っていてもらうだけでも別に問題はないのだが、まぁ話に加わってもらった方が面白いだろう。


「なるほど。随分と面白いことに首を突っ込んでるんだね」


 佐藤は前川と同じような反応をしていた。類は友を呼ぶというべきか。


「ただ……ちょっと羨ましいなー。そんな物語みたいな、特別で珍しい出来事に巻き込まれるなんて……ってこういうこと言うと怒られるかもしれないね」


 そう言って一瞬表情を暗くした後、元の掴みづらい表情へと戻った。


 多分羨ましいとは思っていないのだろう。どちらかといえば妬ましいという感情の方があっている。

 彼女が抱える普通の雰囲気が生み出した歪みの一端が垣間見えたような気がした。


「いや、その程度の認識で問題ないよ。深刻な問題に捉えられても、おせっかいで事態を悪化させる無能な働き者にしかならないからな。部外者である俺たちは楽しむ位が丁度いいと思う」

「最低ですね」

「昨日自分がなんて言ったか思い出してみろ」

「? よくわかりませんね」


 白々しいやつだ。だが、この雰囲気は重要だ。深刻に思えば思うほどまともな判断ができなくなる。

 どうしようもなくなった時はこちらから出向いて理たちの人間関係を何もかもぶっ壊してやれば俺みたいに腫れ物扱いされていじめられることはなくなるだろう。

 そういう奥の手が残されているのだ。楽しく机上の空論を唱えてより良い可能性を探っていけば良い。


「まぁ話を戻して、ここで質問なんだけどこれからどうなるとみんなは思う? 前川はひどくならないって言ってたけどどうしてそう言えるのか教えてほしいんだ」

「うわ、なんですか、急に雰囲気が丸くなって。なんか気持ち悪いですよ?」

「いや、堅苦しい口調もどうかなって思って。最近疲れてきたからさ。崩しすぎた感は否めないけどな」


 何故か最近息が詰まるような話し方をするときがあったけども、やっぱりこっちの方が精神的に楽だな。

 カジュアルに行こう。カジュアルに。こういう方がらしいからな。


「あ、風谷君ってそんな感じなんだ。そっちのほうが絡みやすいよ」

「それじゃこういう感じで行く」

「あ、やっぱりそういう感じですか」

「やっぱりってどういうことだよ」

「いや、そうやってコロコロ口調を変えられるんだと思ったので」


 急に感情が抜けきった声で前川がそう聞いてきた。

 そういえば雪の前と前川の前、そしてさっきの他人行儀な口調などに何か言及しても前川の性格的におかしくはないと思うが何も言わなかったな。


 信頼度の差と納得していてもおかしくはないが、ちょくちょく鋭いことを言う前川にしては変だ。

 何かの材料を集めていたのか?


 まぁ今の話と関係は無いし、問題は無いな。うん。


「まぁそれはそうだな。それより前川、昨日言ってたひどくなることは無いってどういうことなんだ?」

「そうですか……って昨日の話ですね。そうですねぇ例えばなんですけど、風谷さんが理さんたちをいじめるんだったらどうしますか? 前提条件としてバレちゃいけません」


 バレないようにいじめる……か。学校内での行動は大抵誰かに見られているはずだ。そう考えると、一人でやるとしたらさほど大きなことはできない。できるとしたら少しずつものを盗んだり、ものの場所を変えたりして、不快感を与えるぐらいだ。


「まぁ一人でやるとしたら、大したことはできないと思う。シャーペンとか消しゴムとかを取ったりするぐらいじゃないか?」

「確かに一人でやるならそのぐらいのことしかできません。でも十人ぐらいならどうでしょうか?」

「そりゃできることは増える。見られたらまずいところに見張りをおけるとかな。けど、その分裏切られる危険性があるんじゃないか?」


 いつの時代の独裁者も側近の人が裏切ることで暗殺されたり、革命が起きたりする。だからこそ独裁者は側近にイエスマンばかり置きたがるのだ。


 もっともそうやってイエスマンばかり置くから、狂気の沙汰に陥りイエスマンだと思っていた側近に殺されるのだが。


「なんか口調が戻ってきましたね」

「いや、話してて違和感があったからちょっと戻そうかと」

「まぁ良いですけど。話を戻しまして、実は裏切られることってそんなに無いんですよ。ほら、同調圧力ってあるじゃないですか、みんな孤立するのが怖いんですよ。ましてや人をいじめるような加害性を持った集団から孤立すると何が起きるか、誰の目にも明らかです」

「だからこそ裏切ってその恐怖の渦から脱しようと考えるんじゃないのか?」


 俺がそう言うと前川は「はぁ……」とため息をついた。続いて「風谷さん」と諭すような声色で、話し始める。

 

「誰しも風谷さんのように孤立や他人からの嫌がらせを恐れずに行動できるわけでは無いんですよ。それにです、風谷さんは孤立しても雪ちゃんが居るじゃないですか。頼れる友人が居ない本当の意味での孤立と、単に集団から浮いているだけの孤立は全然違うんです」

「それはそうだな。ところで、孤立したら前川は俺を見捨ててどっか行くのか?」

「そりゃ別にどこにも行きませんけど……って茶化さないでくださいよ」


 そうか、前川は俺が孤立していても見捨てることは無いのか。本当のところはどうかわからないが、そういうのであれば信じても良いかもしれない。

 

 この先何があるかはわからないからな。


 もっとも、目の前に居る友人に「お前のことを見捨てる」みたいなことを言う人はほとんど居ないと思うが。


「ごめんごめん。まぁ要するに囚人のジレンマみたいなことだよな。全体の最適を自分がリスクを負ってまで人は求めないっていう」

「分かってるじゃないですか」

「ねえねえ、質問して良い?」


 佐藤が口を開く。


「いいですよー紬ちゃん」

「都さ、風谷君にいじめはひどくならないって言ってたらしいけど、この話の流れだとひどくならないどころか悪化するって話にならないかな?」

「良い質問ですね」


 前川は先生のようにそう答える。

 

 さっきから少しどこか塾の先生を意識しているように思える。実はそんなに塾が嫌いじゃなかったりするのだろうか? それともあえて嫌いなものを茶化しているのだろうか。


 まぁ、どうでもいいことだ。


「実はこの話って実行する人だけを見ているからそう見えてしまうんです」

「というと?」

「指示している人がいる場合、先程風谷さんが言ったようにその人には裏切られるというリスクが生じます。いくらそれが可能性が低いとは言えその低い可能性を引いてしまった瞬間一巻の終わりです。そんなリスクを指示する側は犯せませんよね? つまり指示する側もリスクによって行動が制限されてしまうんです」

「確かにそういう理屈なら筋は通るね。でも、古今東西そこらへんの引き際を見誤らなかった指導者なんてほとんどいない気がするけど、一介の高校生が暴走せず、理性的に行動なんてできるのかな?」


 学校という小さな共同体の中では数人好きに動かせるというだけで、多大なる影響を他者に及ぼすことができる。そうして拡大していく影響力の中で人間は一種の万能感を覚えるのだ。


 その万能感を制御するのは理性の役目だが、理性自体扱いが難しい。理性、それ自体が暴走する可能性を多大に秘めているからだ。

 

 理性万能論がカントに否定されて以来、人は万能感に抗えなくなってしまった。


「理性的に……ですか。理性は必要ないんですよ。もっと言えば実際に人間がどう動くかなんてどうでもいい。そう動くと仮定して行動すればいい。その夢に縋ればいい。私達がするべきことは相手がする行動を予測することではありません。私達がすべきなのはいかに敵の行動を私達の仮定通りに動かすのかを考えることです。当事者たちの意思などはもはや関係ない。第三者である私達が望む未来を作り上げる。そうじゃありませんか? ええ、そうするべきです。自分の未来を他者に委ねようとする人には、自分の未来すらも自分で創らない人には、私達が、遊び感覚で、ゲーム感覚で、素晴らしい結末を迎えさせてあげようじゃありませんか」


 前川はいつもの抜けたような声色からいきなり何かに取り憑かれたように言葉を紡ぐ。理性という言葉が彼女の地雷だったのだろうか。それともただ単に気分でこんな話し方になったのだろうか。

 


「いきなりどうしたの都?」


 そう言った佐藤は言葉とは裏腹にさほど驚いた様子はない。前川の素はこういう感じ、ということなのだろうか?


 だが、それにしてはいつもの適当な話し方とはかけ離れている。まるで人が変わっ……。

 

 違う。そうじゃない。それ以上はいけない。そんなことはありえない。 


 前川は前川だ。


「え? どうしましたか、紬ちゃん? なにか変なことでもありましたかね?」

「都がいいならいいけど……。って風谷くん大丈夫? 顔が真っ青だけど」

「大丈夫。何も問題はない」

「うわ、風谷さん大丈夫ですか!? いきなりどうしたんですか!?」 

「お前に聞きたいぐらいだよ。びっくりさせやがって」

「ちょっと話に熱が入っちゃっただけですよう。それ以外に何もありませんって」


 ほらやっぱり前川は変わらない。先程の前川の話も少々興が乗って話しすぎただけだろう。言い分は少し過激だが、概ね正しい。一つ間違っていることを挙げるとするなら白井さんを攻撃する人間は敵ではないということだ。あくまで第三者なのだ。俺たちは。


 そして前川の言う通り俺たちのすべきことはここで相手の心理を解析して次の動きを予測することじゃない。相手をコントロールすべきなのだ。


「して、何をすればいいんだ? 俺たちは別に人心掌握術とかそんな高尚な技術なんて持っていないだろ」

「隙を見せるんですよ。弱点と言い換えてもいいですね。ここを攻撃したら痛いですよぉと。そしてそこに攻撃を誘導します」

「そしてそこに罠をはるってわけか」

「そのとおりです。具体的なやり方については……」


 前川は佐藤を指差す。


「紬ちゃんが詳しいんじゃないですかね?」

「いやいやいや。私知らないよ。やり方!」

「そんな事言わないでくださいよ。なんのために呼んだと思ってるんですか!」

「えぇ……」


 無茶振りされた佐藤は困惑を全く隠さずに前川を見ていた。

およ? 何やら風矢君も都ちゃんも不穏な雰囲気が……


とりあえず星五つよろ。ブクマよろ。感想よろ。誤字報告よろ。

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