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ラブコメとギャグを足して二で割ったような学校でいかにして高校生活を充実させるか  作者: メルシー


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27 ‘‘普通’’の女の子

お久しぶりです。最近忙しいのでこんな感じのペースが続くと思います。

「あ、どーも風谷さん。来るの遅いですよー」

「悪いな」

「女の子をあんまり待たせないでくださいよー」


 寝る直前に送られてきた集合時間の十五分前に着いたはずだが、どうやら前川はご立腹のようだ。

 時間をろくに守らないようなやつばかりと遊んでいたときとは大違いだ。


「これからどこに行くんだ? 決まってるんだったらついていくけど」

「あ、もうちょっと待ってください。実はもう一人呼んでるんですよねー」

「聞いてないけどな」

「そりゃそうですよ。言ってないですもん」


 見事な開き直り方だな。自分のことを何も悪いと思ってないような口ぶりだ。

 というか、こいつによくわからん男と会わせることができる知り合いがいたのか。


「まぁでも安心してください。かわいい女の子ですから。ちょっと変わった子ですけど」

「変わってる、ねぇ……」

「ああ、いや別に意思疎通ができないとかそんな感じじゃないですよ? なんというか、風谷さんみたいな感じで、世間一般と考え方がズレてるというかそういう感じです」

「俺のことなんだと思ってるんだ」

「いやだなー。別に悪口とかじゃないですよー」


 前川も人のことを言えないと思うのだが、そう言いながらずっと笑っている。楽しそうで何よりだ。

 しかし、どんなやつが来るのだろうか。俺のような人間と言っても想像がつかない。案外自分のことを客観的に見るのは難しい。果たして前川は俺のことをどう思っているのだろうか。


「風谷さんは言っていることと考えていることとやっていることが全て違っている異常者ですよ」


 どうやら俺は前川に思考盗聴をされていたようだ。これだから毎日頭にアルミホイルを巻かなきゃいけない。


「いつから俺の心を読めるようになったんだ?」

「私の言葉を聞いて考えることなんてそれぐらいですよ。なーんて」


 思考盗聴じゃなくて思考誘導だったか。


 そんなこんなで話をすること十五分。約束の時間を少し過ぎた頃、俺たちの方に向かってくる少女の姿を発見した。


「あらら、お二人さん方。待たせちゃったみたいだね」


 その少女は雪や前川とは違う、綺麗という感想を抱かせるような整った顔立ちで、町中を歩いていれば自然と目を惹かれそうな、そんな風貌をしていた。

 しかし、俺が最初に抱いた感想は彼女を賛美するようなものではなく、むしろ「普通」というどちらかといえば彼女の美を貶めるかのような言葉だった。

 彼女の雰囲気がそうなのか、それとも俺の視界に入る彼女の姿が間違っているのかそれはわからない。

 だが、彼女の持つ性質は何か歪なものがあるように思えた。

 前川に植え付けられた先入観が悪さをしている気がしないでもないが。


「あ、紬ちゃん。やっときましたねー。遅いですよー」

「ごめんねー都。後、君も。ええと確か、風谷君だっけ? 噂はかねがね聞いてるよ。都の彼氏さん」


 前川からこいつは何を聞いていたんだろうか。いや、むしろ前川が変なことを吹き込んでいたのか?


「ちょっと紬ちゃん、違いますよ!」

「ごめんごめん。許してよ。ちょっとからかっただけだからさ」

「もーやめてくださいよー。ただでさえ学校内だと視線が痛いんですから」


 前川が振り回されているのを見るのは新鮮だ。新鮮なのだが、そのやり取りは自然じゃないように思えた。もちろん冗談を言い合っているというのは分かる。前川がそういう立ち位置を演じているのは誰の目にも明らかだ。しかし、不気味の谷現象といえば良いのだろうか? 会話があまりにも普通すぎる。前川はこんなやつではないし、この少女から感じる歪さはこのような会話を生み出さない。

 

 考えすぎかもしれないが。


「それはさておき風谷君、さっきから喋らないけどどうしたんだい?」

「いやーどう話に割り込もうかと思って、なかなか割り込めなかったんだ。紬さん……で良いのかな? 今日は来てくれてありがとう」

「おかしいですね。私のことは前川って呼ぶのに都ちゃんは下の名前で呼ぶって。それになんですか、そのらしくない感謝の言葉は」


 らしくない感謝の言葉って本当に俺をなんだと思ってるんだろう。


「だって名字知らんし。それに来てもらったんだからありがとうぐらいは言うだろ」

「私は風谷さんから滅多に言われませんし。それにありがとうって言うのは良いですけど、初対面の異性に言うのって難しくありません? 気持ち悪って思われるかなーみたいな」

「そりゃ、出会ってまだ一週間ぐらいだしな。あまり言う機会もないだろ。でも、今日はありがとな。わざわざ都さんにとってはどうでもいい話のために来てもらって」

「い、いきなり何なんですか色々と! 急にありがとうって言ったり、下の名前で呼んだり!」


 前川は顔を真っ赤にしている。やっぱり今日はなんか変だなこいつ。いつもならこんなに恥ずかしがることなく嫌味やらなんやらを言うはずだ。


 ボケのつもりで言った言葉なのにこんな反応をされると色々と困るな。


「お二人さん方、夫婦漫才はそれぐらいにしてもらってもいいかな?」

「漫才にしては、ツッコミが不在だったんだけどな」

「確かに」

「……揃ったことですし、場所を移しましょう」


 一瞬で正気を取り戻した前川に連れられて、俺たちは駅前を後にした。





前川に連れられてやってきたのは近くのカフェ……ではなく昨日理たちと一緒に来たカラオケだった。しかも同じ部屋である。


「どうしたんですか? 変な顔をして」

「いや、デジャヴに襲われてるんだ」

「何言ってるんですか?」


 確かに、これは実際に過去に体験したことなのでデジャヴでもなんでもなく、単なる同じ事象の焼き増しだ。何言っているんだと言われるのも当然である。


 そういうことではないということはおいておいて、カラオケルームに入るや否や歌いだした前川の友達に目を向ける。

 歌っている曲はよくわからないが、びっくりするぐらい上手いことは分かる。やはり第一印象とは異なり、色々と普通ではない。

 何がそうさせるのだろうか。


「ふう、歌った歌った。風谷くんも一曲どうだい?」

「いや、遠慮しておく」


 俺は歌が得意ではない。小学校の頃の友達曰く音痴という部類に入りはしないらしいが、聞いていてあまりいい気分にならないらしい。

 中学の時には合唱コンクールなるものがあったが、三年間のうち力を入れて頑張るようなクラスに一度も属さなかったため事なきを得た。


「そっか。じゃあ都はどう?」

「私も遠慮しますよ。それより、本題に入りましょー」

「ええー……。ま、それもそうだね」


 ようやく本題……つまり、理たちの話に入るようだ。このまま話に入っても良いのだが、一応は友達の個人的な話。よくわからない人に話すのは少し抵抗を覚える。

 知ってる人なら良いのかとツッコミが入るかもしれないが、秘密というのは人に話した瞬間に漏れるものだ。みんなは人にバラされて困ることは仲の良い友達であっても話さないようにしよう。


 まぁ一応、許可は取ってるんだけどな。 


「その前に名前を教えてくれないか?」


 そう、目の前に居る少女の名前を俺は知らないのだ。下の名前は分かる。しかし、出会ったばかりの女の子を下の名前で呼ぶのは少々勇気がいる。雪の場合はそう呼べと言われたから下の名前で呼んでいるが、基本的には名字で呼びたい。


「あーごめん。言ってなかったね。私は佐藤紬。さっきみたいに紬さんでも都みたいに紬ちゃんでも好きに呼んでね」

「ありがとうな、佐藤。知ってるとは思うけど、俺は風谷風矢。風谷君のまま呼んでくれると嬉しい」

「なーんか心の距離が空いた気がするけどまあ良いや。改めてよろしく、風谷君」


 さて、大事な大事な自己紹介が終わったところで、どこまで解像度を高めてこの話を始めようか。

 どう話そうかと思案していると、先に佐藤が口を開いた。


「そういえばだけど風谷君。人と会うときはいつもこんな自己紹介をしているの? こういうのってなんか気恥ずかしくないかな?」

「後々になって、本名知らないとかだとなんか変な感じしないか? だから名前ぐらいはいつも聞いてるな」

「あれ? でも私と初めてあったときは聞きませんでしたよね?」

「そりゃ、あの時は前川と親しくする気はなかったからな」

「遊びだったんですか!? あの後信じて動いたのに……しくしく……」


 前川が嘘泣きを始める。

 しくしくなんて実際に声に出して泣くやつなんか居るか。


「なにやら楽しそうだね。そういえば聞いてなかったけど、都ってどうやって風谷くんと出会ったの?」

「そりゃあ風谷さんにナンパされたんですよ」

「えーそんなふうには見えないけどなー」

「前川が一人寂しく公園のベンチに腰掛けてたから……」

「そんなことよりも本題に入りませんか?」


 いきなり前川が大声で話を遮ってきた。ここで話を切ったら本当に俺がナンパしたことになっちゃうじゃないか。


「どうしたんだ? 別にまだ出会いの場面だけを話してただけだろ」

「やめてくださいよ! それ以上話したらプライバシーの侵害ですよ!」


 どうやら友達に自分の弱みを見せたくないというのは本当のようだ。こんなこと言ったらどう考えても何かあると勘ぐられるのに、それを気にせず話を遮るとは。


「ささ、風谷君話を続けて?」

「それで……って痛い痛い」

「だからプライバシーの侵害って言ってるんですよー!」


 前川がポコポコと殴ってきた。

 まぁ前川も本気で殴ってないから、痛いとは言ったが別にそこまでは痛くない。


「分かったよ。それじゃ本題に入ろう」

「仲良いね」


 佐藤が何やら変なものを見る視線をこちらに向けていた。


「そりゃ、仲良いですよ」


 何事もなかったかのように、前川はそう言い放った。

 俺は前川に変なものを見る視線を向けた。


 何だこいつ。


ここで強調されてることはそのうち回収されるので気長に待っててね

とりあえず星五つよろ。ブクマよろ。感想よろ。誤字報告よろ。

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