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ラブコメとギャグを足して二で割ったような学校でいかにして高校生活を充実させるか  作者: メルシー


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20/29

20 どうにでもなる

寝て起きてを繰り返してたらいつの間にか時間が経ってた。

 結局家に着いたのは七時半を回ったところだった。


「そう言えば今日遅かったわね。何かあったの?」


 夕食を食べながら母からの追及を受ける。


「友達の家に行ってた」


 前川が友達なのかという話はあるがそこはどうでも良いだろう。ここで下手なこと言って変な疑惑を持たれるのは避けたい。


「迷惑とかかけてないでしょうね」

「母さん、俺は友達に迷惑をかけるような人間に育てられた覚えはないよ。安心してくれ」

「何変なこと言ってるの。まあでも迷惑をかけてないなら良いわ」


 渾身のボケを適当に流されたので悲しく思いつつ、残りのご飯を一気にかきこむ。

 

「それじゃごちそうさま」


 茶碗などを流しに持っていき、適当に洗っておく。ついでに今日雪からもらったお弁当箱も洗っておく。


 うん、このお弁当箱親に見られたら不味いからね。誰のものか聞かれてゲロったら大変なことになる。


 そのためこのお弁当箱だけ綺麗に水を拭き取り、自室へと持っていくことにする。


「ん?」


 お弁当箱を机の上に置いて自分の部屋でくるくる回って遊んでいたら、ポケットの中に入っていたスマホから通知音が鳴った。



雪・今日お弁当箱もらうの忘れてた。明日のお弁当どうする?


 そう言えば、俺がお弁当箱を持っているということは明日お弁当を入れる箱がないということになる。雪から逃げ回っていたのですっかり失念していた。


風谷・明日の分は自分で持ってくから大丈夫。ありがとう。


 メッセージを送るとすぐに返信が返ってきた。


雪・分かった。


 今日、色々あったというのに随分と優しい。大抵は前川に対するものであったが、俺も逃げ回ったりと色々そっけない態度を取ってしまっていたので、面と面ではああは言っていたものの実は怒っているのではないかと思っていたがそうではないようだ。


 しかし、だからといってそのままにしておくのも良くないだろう。


 後でフォローを入れておくか。



 ◇



 翌朝、いつもよりも感じる眠気をどうにかごまかしながら、通学路を歩く。


 昨日は夜遅くまで世界史を勉強をしていたため、随分と睡眠時間が削られてしまった。辛い。ものを覚えるのは苦手だが、世界史の流れとかを覚えるのは好きなのでつい時間をかけてしまった。


 後でエナドリでも買って飲んでおこう。寝不足の体にカフェインを入れて眠気を覚ますとかいう、人間の体を冒涜するような行為も、時間のない高校生には許されるのだ。


「風矢、おはよう」

「……真か。すまんが俺は今日すこぶる眠いのでな。反応が遅いかもしれん」

「寝不足ってどうしたの? もしかして昨日の……」

「いや、あれは関係無い。ただの勉強のやり過ぎだ」


 こういうところで人のことを心配できるこいつは多分優しい。しかもいつも優しいという訳ではなく、ある程度の理不尽を時たま俺に強いるのでこちらが変に後ろめたさを覚えることもないのでフランクに接することができる。


 そういう面から見ると真は非常に人間関係を築くのがうまい人間と言える。


 まあこんな考察に特に意味などないのだが、弟とはまた違うアプローチで人間関係を築いているので見ているだけでも非常に勉強になる。いやまああいつは女の子を口説いているだけだからまた別な気がするけど。


 俺は隙間産業でコネを広げてったからこれと言った方法がないな。


「そう言えばそろそろテストだったね」

「勉強してるのか?」

「やってないね」


 本当でござるかぁ?


「アレクサンドロス大王の後継者争いのことを?」

「ディアドコイ戦争」


 やっぱりな。


 と言ってもこの学校に来るぐらいだからそりゃテストが近くなったら勉強もしてるか。


 うちは私立なのに高校のみの進学校という割と珍しい部類の学校だが、進学実績はかなり凄い。珍しいと言っても理の通っている信咲高校や九十九の通っている英界高校も高校だけなのだが、それら全ても同じような感じだ。


 私立だと中高一貫が多いのに随分と攻めた経営スタイルをしているなぁとは思っていたが、それでも毎年学校の倍率が大変なことになるぐらいには結果が出ているので、分からないものである。


 話を戻して、まあこんな学校なので勉強は皆できる。前川みたいにサボり癖のあるやつも多分多いのだろうが大多数の人間は普通に勉強しているのだと思う。一夜漬け勢も少なくはないと思うけどな。

「どこが勉強してないんだ?」

「授業で言われたことをたまたま覚えていただけだよ」

「随分と記憶力が良いんだな」

「良く言われるよ」


 軽く流されたな。別にそこまで踏み込む話でもないからどうでも良いけど。


「話は変わるけど、昨日は何やら大変そうだったけど大丈夫だった?」

「雪と前川のやつか?」

「あ、雪さんと喧嘩してた人って前川さんって言うんだ」


 名前言わない方が良かったか? 前川はあんまり気にしなさそうな気もするが、あまりよろしくないことではないだろう。


「あんまり広めないでくれな。あいつにも迷惑かかるから」

「分かってるよ。それにしても良くもそんなにモテるもんだねぇ。風矢は」

「言ってろ」

「冗談だって。そんなに怒らないでよ」


 別に怒ってないやい。


 なんてことを話しているうちに学校着いた。


 教室の中ではクラスメイト達が和気あいあいと楽しそうに話している。そんな中雪は一人読書に勤しんでいた。


「じゃあ、僕はこれで失礼するよ。雪さんの相手、頑張ってね」

「別に頑張ることでもないさ」

「そう言えるのは普通に凄いよ」


 凄いわけではない。昨日のうちに大体機嫌は直してもらった。後は俺のやりたいことをやるだけで済む。


「じゃあ頑張ってね」


 そう言って真は教室に入って男の群れへと突っ込んでいった。


 さてと、俺もやることをやりますか。


「おはよう」

「風矢、おはよう」


 いつも挨拶する時に人の名前を言ってからするけどなんかあるのかな?


 まぁそんな考えても仕方がないことはおいておいて早速本題に入る。


「昨日はその、色々と悪かったな」

「謝ることはない。昨日良いって言った」

「いや、それでも昨日避けてたことには変わりないからさ。本当にごめん」


 畳み掛けるように謝る。


 謝罪とは気持ちがこもっていなければ駄目だとか言われることはあるが、そんなことはない。大抵の人は相手が真摯な姿勢で謝られるとそれ以上責めようという気持ちは薄れる。相手が腹の中で何を考えていようがお構いなくだ。


 それが大したことがなければ尚更である。寧ろ相手に罪悪感を覚えさせることすら可能にする。


「そんな、謝ることじゃない」

「俺エゴ、独りよがりかもしれないけどさ、謝りたいと思ったんだ」

「私だって悪いところがあった。それでおあいこで良い」


 もともと雪は俺に対してこんなスタンスだったような気もするが、でも良い方向に話を持ってくことができている。


 ここで後一押すれば多分落ちると思う……が、そんなことしたら本末転倒なのでやらない。

 後はお弁当箱を返すだけでミッションコンプリートだ。


「そう言ってもらえるとありがたい。それと、お弁当箱。いつもありがとう」


 お弁当箱を雪に手渡す。雪は残念そうな顔でそれを受け取った。

 

 何か変なことをしただろうか。


「……うん。こちらこそありがとう」


 少し気になるところもあるが、やりたいことはこれでできたのでひとまずホッとする。


 しかしこの微妙な雰囲気をどうするかという問題が新たに湧き出てしまった。こんな小学生みたいな会話をした後の雰囲気など今日日聞いたことが無い。


 ふと、周囲が静まりかえっていることに気付く。皆俺たちのことを眺めているようだ。昨日色々やらかしてた人同士の話なので気になるのだろうか?


「昨日修羅場になってたのにいつの間にか凄い甘ったるい雰囲気になってるぞあいつら」

「バッカ声でけぇよ。……昨日修羅場を作ってたもう一人の子も可愛い子だったし、あいつだけずるくないか?」

「一瞬昨日の修羅場で例の噂が本当かと思ったけど、やっぱりガセだろうな。これを見ると」


 男たちのこそこそ話が耳に入ってくる。いくつかツッコミを入れたいところもあったが、意外としっかりと状況を把握しているようで安心する。

 とりあえずこのクラス男連中においては二股疑惑はガセネタとして判断されたようだ。


 しかしこれで一つ分かったことがある。雪と仲良くしているところをこうやって見せつけるのは誤解を解く有効打になりうるということだ。

 

 勿論これは諸刃の剣で、雪と付き合ってるという噂をより強固なものにしてしまうというデメリットもあるが、これをすることによって前川が学校生活をより快適に過ごせるようにはなるだろう。悲しいのはメリットはほとんど前川の方に行ってデメリットは全て俺の方に来るという、自己犠牲の塊のような策であるということだが、彼女に迷惑をかけ続けるのもアレなので悪い手ではない。


 ……待てよ。こんな簡単に解けるような噂がどうしてあんなに広まったんだ? 前川が適当にSNSの学校グループ的なものにメッセージを送ればそれで解決しそうな気もする。当事者の言葉なんて信用できないと言われるかもしれないが、それでも大半の人は前川にかかる迷惑も考えて内輪で処理しようとするはずだ。真、つまり男側にまで広まったというのはどう考えてもおかしい。


 前川がいじめられているという可能性もなきにしもあらずではあるが、テストが近いこんな時期にやる暇なんてそうそうないというのと、わざわざ人生を棒に振るようなリスクを冒すほどのリターンを得ることができないということもありその可能性は非常に低い。


 前川自身が広めた? しかしあいつがそれをやる理由がない。


 もしかして……。


「風矢? どうかした?」


 雪の一言で俺の思考は一旦遮られる。


「あ、いやなんでもない。それよりも今週の土曜日本当に行っても迷惑かからないか?」

「うん。その日家に親は居ないらしいから大丈夫」


 前川に続きこいつの家もか。まあいざとなったら逃げればいいからどうにでもなるだろう。


「それなら良いんだけど」


 これから色々と面倒くさくなりそうだ。


主人公君の様子が……?


とりあえず星五つよろ。ブクマよろ。感想よろ。誤字報告よろ。

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