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ラブコメとギャグを足して二で割ったような学校でいかにして高校生活を充実させるか  作者: メルシー


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19/29

19 浮気

 一度自宅へ帰った俺は前川に連れられて彼女の家の前に来ていた。


「やっぱり緊張するな」 

「そんな緊張しなくても大丈夫ですよ。普通の家です」

「いや、分かってるだろ。なんで緊張してるか」

「やっぱり初心ですねぇ」


 その通り、俺は初心でピュアな高校一年生の男の子だ。そりゃ緊張もする。


「そういうお前は同級生の男を家に入れたことはあるのか?」

「ないですよ。彼氏すらできたことないですし、呼ぶ機会もありませんでしたからね」


 よくそんなので余裕で居られるな。自分の身の危険などを感じないのだろうか?


 前川は俺のことをヒョロヒョロな人と評したが、だからと言ってトレーニングをやっていない女の子に力で負けるとは思えない。一体何を考えているのだろう。


 女の子の部屋に入る緊張よりも未知への恐怖の方が勝ってきたぞ。


「まあ立ち話もあれですし中に入りましょうか」


 前川は家の鍵を開け、扉を開く。警戒しつつ俺は促されるままに家の中へと入る。


「普通の家なので何も面白いところはありませんがどうぞ上がって下さい」

「ああ、うん。お邪魔します」


 前川は玄関の明かりをつけると二階への階段へ向かう。


 ……何がとは言わないが冗談じゃなかったのか。


「部屋は二階なのでついてきて下さい」


 そう言われたので素直に前川の後ろについていく。


 部屋の中に入ると、前川が言っていた通り部屋は綺麗に整頓されていた。


「どうです? 初めての異性の部屋は」

「そうだな……」


 いい匂いがすると言おうかと思ったが、変態扱いされそうだったので止めた。


「良い部屋だな。何というか女の子らしいと思う」

「当たり障りのない返答ですねぇ。もっと風谷さんのオリジナリティにあふれる感想を言ってください」


 そんなことを言われてもな。


 何かあるだろうかと思い部屋を見渡してみる。 


「ぬいぐるみとか色々おいてあって可愛らしいと思うぞ」


 学校の時のイメージとは違い、くまのぬいぐるみやデフォルメ化したきのこのぬいぐるみなど、まぁ言ってしまえば女の子っぽい可愛らしいぬいぐるみなどが沢山飾られていた。


 どちらかと言えば女の子のフィギュアなどが飾られていそうな、そんな雰囲気をまとっていたが、意外と乙女チックな部屋である。


「な、いきなり可愛らしいだなんてそんな」


 前川は顔を真っ赤にしてそう言う。


 自分から俺の感想を引き出したというのに自分がそんなに恥ずかしがってどうする。と、思ったものの学校で自分の弱いところを見せたくないと思っていることから察するに、あまり可愛い物好きと思われたくないのだろう。


 なんで片付けなかったんだ。


「恥ずかしがることないんじゃないか? 女の子なんだし別にそういうもの持ってても変じゃないだろ」

「それが原因で恥ずかしいわけじゃないですよ」


 あれ、違った。久々に読みが外れたな。


 知らぬ間に前川は落ち着いたようで、さっきの顔の赤みもすっかりなくなっている。


「まあ良いです。そうですか、風谷さんは私の部屋をそう思うんですね」


 なんか含みを持たせた言い方だな。


 まあ良いか。別に一般に間違ったことも言ってないし、傷つけるようなことも言っていない。と、するのなら相手がどう思ったところで俺に責任はない。俺は悪くない。


「お茶とか用意してくるので、ちょっと待って下さい」

「そんなに長居はしないと思うから気にしなくて良いぞ」


 大体今日は勉強をするわけでもなく、家の場所を教えてもらうために来ただけだ。よくよく考えてみれば、家の中に入らなくても良かった気もする。まあそれは良いとして、別にすることもないのにただお茶を飲んで帰るというのも気が引ける。 


「いえいえ、良いんですよ。適当に座って待ってて下さい」

「そうか。それなら、お言葉に甘えさせてもらう」


 そう言うと前川は満足そうに頷き部屋を出ていこうとする。ドアノブに手をかけたところでこちらに振り向いた。


「あ、言っておきますけど部屋の物色はしないでくださいね」

「分かってる」

「なんか即答されると逆に腹が立ちますね」


 そんな理不尽なことを言って前川は部屋を出ていった。

 

 まあ興味はないわけではないが、信用と天秤にかけたら流石に信用の方に傾く。


 考えてみてほしい。部屋を物色している最中に前川が戻ってきたらどうなるのかを。十中八九俺のことを冷たい目で見て「変態ですね」と罵るのだ。それがご褒美に感じる人も少なくないが、俺は耐えることができない。


 学校で言いふらされたりしたら最悪だ。周りからは蔑まれた目で見られて孤立するのだ。


 あれ? 孤立してるのは今と変わらなくないか? 一切関わりがないわけではないが、それにしても交流は少ない。意外とデメリットは少ないのでは?


 いや、駄目だな。このことを雪に知られると色々不味い。なんで俺が前川の家にいたのかも問い詰められるし、物色したことも色々言われるだろう。


 よく知らない相手や仲良くする気がないやつに嘘をついたりボロクソにけなしたりするのは別に良いが、それを仲の良いやつにすることはできない。例外が二人ほど居るが少なくとも雪にはできないだろう。


 ……何度か嘘をついた気がしなくもないのは内緒にしておこう。


 とにかく開き直ったりするのも雪に対しては良心が痛むのでできない。つまり問い詰められた時はもう詰みなのでやらないのが無難だろう。


 適当な性格をしているので今後この方針が変わるかもしれないけどな。


「お茶、持ってきましたよ」


 なんてことを考えていたら、座る暇もなく前川が戻ってきた。前川は部屋の隅にあった机を中央に持ってくるとそこにお茶のおいてあるお盆を置いた。


「さあさあ座って下さいお話しましょう」


 座るように促されたので前川と向かい合って座る。

 

「話すって言っても何を話すんだ?」

「もちろん……」


 前川は目を若干うるうるさせて、自分の鞄から何かを取り出す。


「勉強のことですよ」


 出てきたのは数学の参考書だった。


「だろうな。数学が苦手なのか?」

「あ、これは適当に出しただけですね。苦手教科とか得意教科とかは今の所ありません」


 そうなのか。逆にそれだと教え辛い気がするな。というかそもそも俺が教えられるほど勉強ができるのかと言われると首をかしげたくなる。


 これ、家でしっかり復習しないと恥ずかしいことになるな。


「なあ塾辞めたって言っても、今月分のお金はもう払ってるんじゃないのか?」

「あーそれなんですけど、実際そうなんですよね。辞めるって言っても来月からで」

「じゃあ俺いらなくないか?」


 塾の自習室で勉強してれば塾の先生に分からないことも聞けるし、俺なんかと勉強するよりもよっぽど良いだろう。


「そんな冷たいこと言わないでくださいよー。塾にあんまり居たくないんです」

「どうしてだ?」

「塾の自習室とかって少しでも音を立てたらこっちを見てくるじゃないですか。そんな状況で勉強なんてできませんよ」


 それは分かる。シャーペンとか落としたらこっち向いたりしてくるんだよな。集中してるんだから音を立てるなみたいな感じで。

 

 大体集中してるんだったらこの程度の音にいちいち反応するなという話なんだが、特に何も言ってこないのでこちらがただただ気まずくなる。


「確かに、合う合わないがあるからな」

「そうなんですよ」

「で、これから何をするんだ?」

「今日はお試しというわけでちょっとだけ勉強していきましょう」


 そんなことだろうと思っていたので鞄は家に帰ってもそのまま持ってきていた。


「それでなんの教科をやるんだ?」

「せっかく数学を取り出しましたし、これにしましょう」


 そう言われたので鞄の中を探すとたまたま数学の参考書が入っていたので取り出す。


「数Ⅰでいいか?」

「はい!」


 謎に元気の良い返事を聞いて数学の勉強を始めた。



 ◇



「いやー風谷さん教えるのうまいですね。塾でやっても授業を聞いてても少し不安だったところが大体理解できましたよ」

「いや、俺が教える機会なんてそんななかっただろ」


 前川は普通に勉強ができた。言っても勉強ができなかったらこの学校に入ることはできないのだが、それでも数学に関してはこのまま勉強すればどうにかなるんじゃないだろうか。


「まあこの範囲に関しては一応塾でやってましたからね」

「そう言えば塾ではなんの教科をやってるんだ?」

「今のところ国数英を週に一回ずつですね。月水金にあるのでちょうど明日数学の授業があります」


 三教科か……。ちょっと待てよ?


「……理科科目と世界史は大丈夫なのか?」

「不味いかもしれませんね」


 前川は一気に真剣なトーンになってそう返した。


 テストまでは残り三週間弱。俺も勉強もしていないとは言え、赤点さえ回避できれば良いと思っていたためそこそこ余裕を持っていた。

 

 だが、前川は三分の一以上、つまり落ちこぼれそうではなくわりかし優秀な勉強できる層にいないといけない。


「前川、俺と一緒に頑張ろう」

「そ、そうですね風谷さん。とりあえず塾のない日は毎日来てもらっても?」

「土曜日は雪との予定があるからそれ以外だったら」

「お願いします……」


 頑張って説得したのに「条件を達成できず無理でした」は流石に悲しすぎる。


「じゃあ俺はこれで帰るから」

「あ、風谷さん玄関まで送ります」


 玄関で靴を履き、扉を開ける。すると前川に呼び止められたので、一度出るのを止めて振り返る。


「風谷さん、今日はありがとうございました。これからもよろしくお願いしますね」

「え? あ、うん。よろしく」


 なんか言葉選びがおかしい気がするが、そこはスルーするとする。


「ちょっと、もっと面白い反応してくださいよ。なんか恥ずかしいじゃないですか」

「それはちょっと理不尽だと思うな、うん」

「なんか風谷さんっぽくないですね、その言葉」

「そうか?」

「風谷さんはもっとスマートに返す気がしますねそういう時。でも、良いと思いますよ面白いですし」


 面白いってなんだろう。


 前川のツボはいまいちわからないな。悪い気はしないけども。


「風谷さん」


 前川は真剣な面持ちで俺の目を見る。


「勉強、どうか助けて下さい」


 凄く情けない声だった。


「善処するよ」

「本当に頼みます。もう塾に行きたくないんです」

「分かった。分かったから。どうにかできるように努力する」

「頼みますよ?」


 そんな目で俺を見るんじゃない。


「……任せろ」

「ちょっと恥ずかしがりましたね? 今」

「うん」

「逆にそんな自信満々に言われたら何も言えなくなりますね」


 ってこんなことをしている暇じゃない。時間的にもそろそろ帰らないと夕食を食べる時間を逃す。


「じゃあ俺帰るから」

「あ、はい今日はありがとうございました。さようなら」


 前川に見送られながら家を出て、住宅街を歩く。


 もうすでに日は落ちており、空には月が浮かんでいた。


 ……帰ったら勉強しよう。


このうわきものー!


一応もう一度言っておきますが七話の時間経過を二週間から一ヶ月に変更しました。理由はそちらの方が都合が良いからですね。そのため色々言い回しなどが変なところが出てきてるかも知れません。申し訳ないです。(コピペ)


とりあえず星五つよろ。ブクマよろ。感想よろ。誤字報告よろ

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