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闇の眷属、俺。-進化の階梯を駆けあがれ-  作者: 山口遊子


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第87話 『大迷宮』18階層、休憩


 18階層への階段の前で、四つ目の宝箱を回収し、


『下まで降りたらそこで一休みしよう』


「はーい」「はい」



 階段を下りながら、


『迷うことも一度もなく、実に快調に階段が見つかるよな』


「それは、わたしたちが『闇の眷属』だからじゃないですか? これこそまさにしゅの奇跡。しゅ御業みわざに感謝!」


『そうだな。したりて、一休みする前に、礼拝はしておいた方がいいな』


「ここまで、ご利益(りやく)があるとは思っていませんでした。わがしゅよ、お許しください。もしよろしければ、このアズランに可愛らしいフェアリーをお授けください」


 しゅもあきれるかも知れないアズランのずうずうしいお願いだが、われらが主はお優しいので、アズランの願いをかなえていただけるかもしれない。



 そして下り立った18階層。


 まずは、何となくこっちの方向と思われる方向に三人揃って、二礼、二拍手ガシァガシァ、一礼の礼拝を行った。ガントレットを外すのを忘れていたので変な二拍手になってしまった。


 モンスター以外、誰もここには来ないだろうが、一応、通路の脇に寄り、


『二人とも、何か食べて、毛布を敷いて横になって休めよ。かなりの強行軍だったから、それなりに疲れがたまっていると思うぞ』


「それじゃあ、お言葉に甘えて」「どうも」


 二人は『キューブ』からリュックを取り出して、その中に入れてあった食料を取り出して食べ始めた。


 俺は二人の休憩中は周囲の警戒以外何もすることもないので、ヘルメットとガントレットを外し、通路の壁にもたれて、ぼーとしている。そうしていると、気付かないうちに、額を骨の指でカンカン鳴らしてしまいハッとして(われ)に返る。


 どうせこの二人は食べ終わればコロと遊び始めるのだろうと思い、俺が先にリュックから取り出した水袋でコロに『暗黒の聖水』を掛けてやった。それでとうとう、水袋が空になってしまった。


『二人とも水袋はどうなっている? 空になっている水袋があるようなら今のうちに補給しておこう』


「わたしは、二つ空でもう一つが半分くらい」「私は二つ空です」


『トルシェ、樽と漏斗じょうごを出してくれるか?』


「はい。でも、樽からだと水袋に『聖水』を入れるのは結構入れづらいですよね」


『まあ、そこは任せてくれ。そしたら、空の水袋の口に漏斗じょうごを突っ込んでそこで持っていてくれ』


 トルシェが、空の水袋の栓を抜いて漏斗の先を両手で持っているところに、


『よっこいしょ』


 と、言って樽を持ち上げたものの、樽はそんなに重くはなかった。


 それでも背骨の中に神経など入っていないはずの俺がなるかどうかは分からないがギックリ腰が怖いので、ちゃんと腰を入れて栓を抜いた樽を傾けて、


 トクトクトク……


 と『暗黒の聖水』を移してやった。


「いっぱいです」


『次のに取り換えて、順番にどんどんやってくれ』


 トクトクトク……


 あっというまに、全部の水袋が一杯になった。


 あたりまえだが樽の中はほとんど減っていなかった。これなら一年くらいもつんじゃないだろうか。


「ダークンさん、ありがとうございます」「ありがとうございます」


『おう。それじゃあお前たちは、毛布でも敷いて休んでおけ』


「はーい」「はい」


 俺もまた、通路の壁に寄りかかって座り込み、毛布を敷いてすぐにその上に横になった二人を見ながら、


 ジャジャジャジャーン(カカカカーン)ジャジャジャジャーン(カカカカーン)と始めたのだが、クラシックの素養(そよう)がないせいで、ここまでだ。その先がわからない。


 仕方ないので、また『もしもしカメよ』と『桃太郎』に戻っていった。


 俺の骨音楽がいい眠り歌になったようで、二人はすぐに寝入ってしまった。


 さて、この階層には何が出るのか? いまのところ、モンスターの気配(けはい)は全くない。


 『もしもしカメよ』と『桃太郎』を右手左手別々に額をたたいて同時に音が出せるようにまでスキルが上昇してしまった。自称ではあるが骨音楽レベル5だな。



 俺自身骨音楽で十分リフレッシュできたようで、何だか体が軽くなったような気がする。そろそろ二人を起こしてもいいだろう。


『そろそろ、起きようか?』


「はーい。頭の中でダークンさんの声がするとすぐに目が覚めますね。良く寝てすっきりしました」


「はい。ダークンさん、私たちが寝ている間見張りをしていただいてありがとうございます」


『気にする必要はないが、ちゃんと礼をするのはいいことだぞ』


「それじゃあ、わたしも、ダークンさんありがとう」


『トルシェはトルシェで気楽にしてればいいんだからな』


「そんなだから、ダークンさんが大好きなんです」


『照れるな。準備ができたら出発だ』



 二人が毛布などを片付け終わったので、さあ出発だ。



 どこに行けばいいのか当てがあるわけではないが、これまで通り何となくアズランを先頭に道なりに進んで行く。


『前方に何かいます。羽音(はおと)がします。もしかしたら、フェアリーかピクシーかもしれません。捕まえてきます』


 前を歩いていたはずのアズランが一瞬で消えてしまった。今のは速かった。




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