第33話 次の進化、スケルトン第三形態
まずは鑑定石。それから進化の祭壇。次にトルシェの水を補給するためにご神体のある池まで戻ろうということになった。
『なあ、トルシェ。ご神体のある広間だけどな』
『はい』
『何か名前を付けた方が良くないか? 名前を付けるだけで武器が強くなる世界だから、ああいった場所に名前を付けておくといいんじゃないかと思ったんだがな』
『そうですね。それでしたら、われわれの主がいらっしゃる場所ですから、ここは簡単に「闇の神殿」とかどうでしょう』
『ほう、良いじゃないか。C2ごころ全開で実にいい』
そんな会話をしながら、階段を下りていく。上の方から俺たちの姿を見ることができたなら、黒い霞の中に沈んで消えていく二人組の怪人に見えるかも知れない。実際俺たち二人は怪人そのものだけどな。
階段を下りきれば、またスライムだらけの通路だ。こいつらを叩き潰しているだけで、自分も武器も強くなるのなら、そうしない手はない。
そんなこんなで、スライムを楽しくたおしながら鑑定石のある石室にたどり着いた。
『トルシェの鎖かたびらはお楽しみと言うことで、俺から先に行くか』
『どうぞ』
『それじゃあ、まずは、このヘルメットから』
ヘルメットを外して、鑑定石の上に置き、謎文字をガントレットを外した左手で触ってみた。
<鑑定石>
「鑑定結果:
名称:******
種別:鋼のフルフェイス・ヘルメット(銘なし)
特性:装着者の頭、首に対する攻撃のクリティカル率を大幅に下げる。自己修復、不壊」
名前を付け忘れていたが、これはこれで十分すごい装備だ。頭へのクリティカルが大幅に減るのは俺のためにあつらえたような防具じゃないか。自己修復、不壊! もうこれは一生ものだ。
せっかくトルシェが苦労して着せてくれた防具なので、後はガントレットを鑑定して俺の方は終わりにしよう。
「鑑定結果:
名称:******
種別:左右の鋼のガントレット(銘なし)
特性:装着者の肘より先に対する攻撃のクリティカル率を大幅に下げる。装着者の力、素早さ、巧みさを上げる。自己修復、不壊」
これも、怖くなるほどすごいな。
『次は、トルシェの鎖かたびらだな』
トルシェは、俺の防具の鑑定結果には興味があまりなかったようで、俺が言う前から、上着を脱いで、鎖かたびらも脱いでいた。
『それじゃあ、いっきまーす』
<鑑定石>
「鑑定結果:
名称:軽装者の回復の鎖かたびら
種別:チェイン・メイル(銘付き)
特性:ミスリル製のため軽量、着用者の気力・体力を常に回復。自己修復。不壊」
『……だそうです。最初から名前がついてました。「軽装者の鎖かたびら」、わたしにぴったりの防具ですー。ウフ。ウフフフ』
こいつは、とんでもアイテムだった。トルシェが鑑定したばかりのミスリルのチェイン・メイルを両手で持ってニヘラ笑いをしながら、狭い部屋の中で鑑定石の周りをくるくる回っているのもうなずける。
『良かったじゃないか』
『はい!』
元気いっぱいだよ。
『それじゃあ、「進化の祭壇」に行ってみようぜ』
『はい』
スライムをたおしながら、やってきました『進化の祭壇』。
先端に炎をともした円柱が部屋の真ん中に立っている。その円柱に進み寄って、側面に刻まれた謎文字に左手をあてた。
『これは、進化の祭壇。汝、進化を望むや?』
お、進化できるんだ。それでは、遠慮なく進化させていただきます。
『はい』
『望みは叶えられた』
また一瞬だけだが、頭がクラッとした。
『自分じゃどうなったのかわからないんだが、トルシェ、どうだ?』
フルフェイスのヘルメットをとって、トルシェに顔を見せてやると、
『ふふぇ? ダークンさん、すごいことになってますよ。真っ黒になった上に、透き通ってます。見た目は黒曜石みたいです。カッコいーー。眼窩の奥の赤い目玉がお茶目でまたいいです』
『ほほう、そこまでか。フフフ。そこまで来てしまったか』
『あかりが反射して不気味さ倍増。まさに「闇の眷属」序列第1位です』
なるほど。「闇の眷属」序列第1位か、良い響きだ。たとえ、わが主の総眷属数がたったの2名であろうとも1位には特別な意味がある。ハズだ。
『よーし、それじゃあ、トルシェ、おまえもやってみるか?』
『もし、何かのはずみで進化してしまったら嫌なのでやっぱりやめておきます』
『そうか。それなら「闇の神殿」でトルシェの水袋に水を補給しに行くか。ついでにご神体さまを拝んでおけばいいだろう。そういえば、こんなにいい防具が手に入ったのも、われわれの主のご利益かも知れないな』
『そうだとすると、ますますちゃんと拝まなければいけませんね』
そんなことを言いながらやって来た『闇の神殿』で、ご神体さまに向かい二人でそろって『二礼、二拍手、一礼』をしたあと、トルシェは、少なくなっていた水袋に水を汲んでいた。
『それで、これからどうします?』
『そうだな、上の世界にも興味があるから、いちどここを出て街に行ってみるか? 全身鎧を着ていれば俺がスケルトンってわからないんじゃないか?』
『どうでしょう。まあ、スケルトンが街中を歩いていると考える人はいないでしょうから大丈夫なんじゃないですか』
『よーし、それなら、行ってみよう。テルミナだったけ? さっそく行くぞ』
『はいはい。分かりました』
『分かってないだろ。あと、「はい」は一度でいいぞ』
『はーい。いちど、鑑定石まで戻って、ダークンさんが何に進化したのか確かめないといけませんね』




