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右衛門シリーズ全編  作者: FZ
10/43

右衛門5-1

1

「源一郎様、釣りにお出でで・・。」

源一郎は、寺のある坂道を下り、田んぼの真ん中を、釣り具を持って歩いていた時、近くに住む漁師に声をかけられた。

「いい釣り場あったら教えてくれんか。」

源一郎が、朝の光に逆行して立つ漁師を眩しそうに見上げた。

「坊ちゃんのためなら喜んでお供しますよ。この前も、丘の上の屋敷から、志乃さんが餅を持ってきてくださってな。お礼のしようものうて・・、すまんことです。こっちへ来なされ。村のガキどもも見つけていない、とっておきの場所がありますでな。」

そう言って、その漁師は絶えず笑顔を絶やさず、源一郎を海へ案内しようとしていた。

その時、田んぼの真ん中を両方向から、刀を抜いて二人に近づく人影があった。

「松さん、すぐ逃げろ!」

源一郎は、漁師にそう言うと、手で彼を押しやり、攻撃をかけよとする刺客を迎えるべく腰をかがめて刀を抜いた。

その攻防を寺のある丘の上からたまたま眺めていた男がいた。木内又五郎である。

又五郎は、脱兎のごとく丘の上から階段を下ると、大きな体を左右に揺らしながら、源一郎のいる方向に全速力で向かった。

源一郎への襲撃は、又五郎の到着の前に始まった。

源一郎は、とっさの判断で、足の遅く自分に追いついていない方の敵に向かって、姿勢を低くしたまま、積極的に挑んでいった。その行動を見た、もう一方の男は、予想していなかった少年の果敢さに、一瞬驚いて足を止めてしまったのである。

少年は、遅れた刺客を本気で殺す気迫を見せた。その気迫に押されるように、その男もまた足を止め、刀を正眼に構え十分に防御を固めたのであった。

源一郎は、与助から「生死を賭けた死闘は迷ったものが死なねばならん。」と何度も言われていたのである。

ある意味で、与助は自分の剣の能力以上に死闘に強い男である。

走りながら気合を込めた源一郎の一撃に、遅れた刺客は体制を崩してしまった。

斬りあった場所は、田んぼである。斬りかけられた男は,田のぬかるみに足を取られ転倒して、源一郎が刀を振り下ろすのを恐れて、倒れたまま無我夢中で刀を振り回し始めた。

それを確認した源一郎は、田に転んだ男から離れると、踵を返して、もう一人の自分を追ってくる刺客の方へと向かったのである。その気迫に押された、他の男も、襲われる恐怖を払いのけるように、正眼に刀を構えて、源一郎の襲撃に備えた。

「気迫こそ、死闘を制する試金石!」

与助の叫ぶ声が、源一郎の耳に鳴り響いていた。

しかし、その時、やっと源一郎の格闘に追いついた又五郎が、正眼に構えた刺客の男を袈裟に斬って倒した。休む間もなく、源一郎を通り越すと、ふらふら立ち上がったもう一人の刺客を、又五郎の斜め上に描いた刀の軌跡が、きれいに男の体を通過したかと思うと、次の瞬間、その男の血しぶきで田んぼの中は真っ赤に染まった。


その夜、弥吉の依頼で、丘の上の屋敷の連中(通称)に召集がかかった。

右衛門は、いつものように、柱に背をつけて、刀を抱え、足を立てて、みんなの後ろで目立たぬようにたたずんでいた。

予め、伊予は弥吉から「田原藩のことで・・・。」と知らされていたので、誰よりも早く広間に来て、みんなを待っていた。

田原藩は、見能林で右衛門たち藩主派の襲撃を恐れて逃げ出した伊予の夫の故郷であった。

伊予の夫の家は、田原藩家老の要職を務める家柄である。田原藩石高は一万五千石。見能林藩とは同等の小藩であった。その意味で、伊予と伊予の夫とは、釣り合いの取れた家柄の夫婦だったのかもしれない。

「今日、皆様にお集まり願ったのは、田原藩という尾張藩の下に位置する伊予様の旦那様の藩のことでお話がありまして・・。もっと詳しく言うと、源一郎様のお父上の藩でもありまして・・。」

弥吉は、まわりくどく田原藩の話題を説明して、何か言いにくいことがあるようであった。

「弥吉さん、何か言いにくいことでも。」

大事な合議には必ず和尚が出席した。

「弥吉、もったいぶらんと、さっさと言え。」

与助が、そう促した。

「源一郎様のお父上が、何者かに殺されたようで・・。」

弥吉がそう言うと、座敷のざわついた雰囲気が急にピンと張りつめた。

右衛門は、いきなり刀を横に置くとその場で胡坐をかいた。


~大前屋は、大阪・江戸間の廻船問屋の株仲間になったのである。(もちろん、株仲間取得には、幕閣である老中筆頭森直道の口利きが功を奏したのだった。)

それは、大前屋宗衛門の長年の野心でもあった。先の黒龍党騒動で、万座屋が大阪から紀州に退くと、大下屋の後見人にもなった大前屋は、大阪一の大商いを展開していた。

しかし、大前屋は大阪・江戸を行き来する船の運搬航路の流通手段を持っていなかったのである。そこで、自分たちの商品を直接、自由に江戸に持っていく通商貿易をしたい。それが大前屋の大きな野望である。

そこで、大前屋は、四国・大阪間の商品を船で運ぶ弥吉に、今回の江戸・大坂廻船問屋の立ち上げを任せたのであった。

「自分で航路を開発する」それが弥吉の廻船問屋進出の命題になった。

しかし、既存の航路は紀州藩が庇護している万座屋が、独占していた。

幸い、先の騒動で水野家の尽力もあって、紀伊新宮の勝浦に立ち寄る港は確保できた。弥吉は、あと一つ尾張の近くで、寄港する港を確保したかったのである。

そこで目に留まったのが、源一郎の父の藩である田原藩であった。早速、弥吉は配下の者を使って田原藩の実情を探り始めたのである。

そんな中、驚くべき事実が飛び込んできた。田原藩藩主三宅喜内が病死したのである。その子植松は、病弱で田原藩を相続するには幼すぎた。そこで、重鎮は源一郎の父佐藤(旧姓三宅)恒明を藩主に推薦しようとしたのである。しかし、田原藩は小藩で、何事も尾張藩の威光に従わねば、なり立たないところがあった。そして、予想通り尾張藩主席家老 成瀬重住は、自分の三男成瀬宏明を藩主にするよう迫ってきたのである。

田原藩は大騒動になった。尾張藩から藩主を頂けば、先祖代々の血筋三宅家藩主は途絶えることになる。そして、それは事実上、尾張藩の完全な属藩になってしまうことを意味していた。

源一郎の父恒明は、前々代藩主の側室の子であった。正妻の子が藩主である間、恒明は忘れられた存在であり、見能林藩から逃げ帰っていた身でもあった。それが、現藩主三宅喜内の急死という事態になり、途端に恒明に藩主候補の機会が巡ってきたのである。しかし、恒明には藩主になる意志など全くなかった。それにも関わらず、藩の中の跡目相続の争いは、恒明を渦中から外には出してくれなかったのである。夜中、屋敷を襲われた源一郎の父恒明はあっけなく落命したのであった。~


弥吉が、事情を話し終えたとき、座の中ですすり泣く声が聞こえてきた。

「なんじゃ。伊予殿や志摩殿だけじゃなく、お前も泣いておるのか。」

又五郎は、与助がうつむいて泣いているのを見て、驚いたように言った。

「まあそう言われるな。わしも源一郎様の不運を考えると、忍びないものがある。

何せ、田原藩三宅家と見能林佐藤家の血筋を引く源一郎様の二親が、陰謀によって落命したのだからな。」

見能林藩藩士でもある佐吉は、そう言って与助に同情した。

そう言われた又五郎は、それ以上何にも言わずただ押し黙ってしまった。

「ところで、右衛門様、どうなされる。田原藩へ行かれるか。」

和尚が、右衛門にこれからの方針を聞こうと、彼の発言を促した。

「行かねばなりますまい。行って姉上の夫の林七殿に事情を聞こうかと。のう、姉上。」

右衛門はそう言うと、伊予の方を向いた。

「あの方は、お前を恐れて田原へ帰ったのだから、会ってくれるかどうか。」

伊予は、まだ涙を目に浮かべて、右衛門に答えた。

「源一郎の父が死んだのだから、そんなことも言っておられますまい。」

右衛門がそう言うと、伊予は頭を下げて頷いた。

「源一郎はどうする。」

又五郎が、言いにくそうに右衛門に尋ねた。

「源一郎には、わしから話す。それまで、みんな、このことは・・・。」

右衛門がそう言うと、

「いや、この役目この和尚に任せてくれませんか。」

そう言って和尚が、つらい役目を買って出た。

一瞬、右衛門の表情に安堵の表情が浮かんだ。

「和尚、頼めますか。和尚なら、わしより聞き分けてくれるかもしれん。」

右衛門は、本心では、源一郎に父の死を伝えることが、大きな重荷になりかけていたのである。母の死の時は、四国へ向かう船の甲板で自然と打ち明ける機会に恵まれた。源一郎は、悲痛な気持ちを顔に出すでもなく、淡々と受け入れたのである。その反応が、右衛門には、返ってつらかったのをよく覚えていた。

与助がすすり泣いているのを見た右衛門は、与助のように素直に泣ければ・・と思いながら、佐吉の言葉を聞いていたのである。

その日の話し合いは、それ以上積極的な提案も出ないまま、みんな自分の家に帰ったのであった。みんなの心の中には、源一郎のことで気持ちの整理がつかなかったのである。



2

尾張付家老竹腰正博の屋敷に、三人の男が密談に集まった。

武腰正博・・、尾張藩筆頭付家老であり、成瀬重住(犬山藩主三万五千石、尾張藩家臣ナンバー1)に次ぐ、今尾藩主三万石の領主でもあり、尾張藩家臣団のナンバー2の地位にいた。例えれば、紀州藩の水野家と同じ立場であった。


渡辺俊正(尾張藩家臣ナンバー3)・・、尾張藩付家老、渡辺半蔵家頭首で尾張藩家老でありながら幕臣でもあった。渡辺半蔵家は近江、尾張、三河国寺部から一万四千石を拝領するという、必ずしも尾張藩直属の家臣ではなく、幕府領の近江、三河国部寺から九千石を、同時に与えられていたのである。そんな関係で、俊正は常に幕府と尾張藩の両方の橋渡し役を務めとしていた。


柳生吉重(尾張第一の剣豪)・・、尾張藩剣術指南役であり、事実上、武腰俊正の側近でもあった。 尾張藩には、もう一人、尾張剣法師範役として柳生孫之丞まごのじょうという犬山藩成瀬家に仕える尾張柳生新陰流の頭首がいたが、すでに壮年期は過ぎ、剣術指導は弟子たちに任せていた。その弟子たちの中には、多くの才能あふれる剣豪がいて、柳生新陰流の主流派は、江戸柳生の頭首である柳生義親の流派ではなく、むしろ、柳生孫之丞の尾張柳生新陰流にあった。もともと、柳生流は柳生兵庫助が尾張藩で道場を開いて以来、歴史的にも柳生の本家は尾張にありと言われてきた。そして、その伝統を守るべく尾張柳生の門下生には数々の剣豪が育ってきたのである。


「武腰様は、今度の田原藩の跡継ぎ問題どうお思いで・・・。」

渡辺俊正が、落ち着いた口調で武腰正博に意見を求めた。

竹腰正博は、前に置かれた湯飲みを手にすると、ゆっくりと茶を飲んだ。

「どうと言っても、成瀬様が自分の御子息を藩主に推されている以上、尾張藩家臣として異は唱えられまい。」

正博は、そう言ってしらばくれた。

その言葉を聞いて、柳生吉重が含み笑いをする。

「何じゃ、吉重、なんぞ言いたいようだが・・・。」

そう言って、竹腰正博が、にやにや笑いながら吉重のほうを向いた。

「殿は、そんなに成瀬様を大事にするお方でしたかな。」

吉重がそう言って、正博をからかった。

「竹腰様は、今度の一件、幕府大目付柳生様、首席家老の森様が必ずしも成瀬様の田原藩後継ぎの進め方に満足していないことはご存じかな。」

渡辺は、こう言う問題を話し合うときは、いつも落ち着き払っていた。

雄藩の調整役という役柄が染みついていたのかもしれない。

「しかし、今回は幕府としても、そうやすやすとは意向を通せまい。先例ではありえない同盟が進んでいると聞いているが。」

渡辺は、竹腰がすでにかなりの情報を持っていることを確認した。

「と言いますと・・・。」

渡辺は、何も知らないように、少し目を大きく開けて、竹腰に話の続きを促した。

「紀州藩の筆頭家老安藤様が、成瀬様に、万座屋のみこしに乗って近づいているようじゃ。」

竹腰は、渡辺にどこまで言っていいものか、少し迷っていた。

渡辺は、幕閣主流の大目付柳沢、老中筆頭森らと話し合っているのは明白であった。

尾張藩の内情をさらけ出してしまえば、筆頭家老成瀬らから何を言われるか少し不安であった。しかし一方、幕府と事を構えたところで、何の得にもならないのも事実である。

「怪しまれるのはまっぴらだ。」

竹腰が、そう考えても不思議ではなかった。

「渡辺殿、この騒動、甘く見ては大変なことになりますぞ。幕閣に従ってもいいが、紀州と尾張という御三家の二藩が連合を組めば、老中筆頭とはいえど、なかなか自分の思う絵は描けまい。」

竹腰は、そう言って渡辺の表情を窺った。

「さればこそ、こうやって竹腰様に相談しておるので・・・。」

渡辺は、本気で困っているようであった。

「安藤には万座屋、老中筆頭森様には大阪の商人大前屋がうろうろしているようで、すでにこの一件で、あの商人ら、何万両という金を方々にばらまいているという噂が飛び交っているようで・・・。」

そう言って、二人の話に入ってきたのは柳沢吉重であった。

「ほお、そりゃ豪気じゃ・・・。」

竹腰がそう言って、笑い出すと、渡辺もつられるように薄笑いを浮かべた。

「この騒動、幕閣と御三家だけではなく、われら柳生新陰流にも飛び火しておりまして・・。」

柳生吉重の言葉を聞いて、竹腰と渡辺が、興味深そうに吉重に視線を向けた。

「先の黒龍党の騒動お二方は、御存じで・・・。」

吉重が、そう言うと、二人は合わせたように頷いた。

「万座屋が申すには、大下屋の番頭が、秋山正幸(現在長谷川)が率いる奉行所に捕縛された際、万座屋は前田とかいう腕の立つ浪人を引き連れて、正幸に抗議に行ったそうです。しかし、正幸のいつもの癖で、その浪人と今にも刃傷沙汰になりかけ、いきなり正幸の加勢に入ったのが、小野派一刀流の御曹司小野忠成だったとのこと。」

そこまで言ったとき、渡辺が言葉を遮った。

「そのことで。大目付様は、今度の田原藩の騒動、紀州と尾張が絡んできたとのことで、しばらく何も言わずに見ていようと思っていたのですが、尾張柳生の門下生が、小野派の御曹司と手を組んだ正幸を斬るべしと、大騒ぎをしているのを耳にして、ご自身の役職を横に置いて、江戸柳生流の頭首として、対抗心をむき出しになさいましてな・・・。」

渡辺は、柳生義親の今回の騒動への対処に疑問を持っているようだった。

「私も義親殿をよく知っておりますが、あのお方、この前会った時、右衛門とかいう見能林の元藩主をいやに買っておりましてな・・・。―わしは、右衛門とは生涯剣を交えぬことに決めた。―などと言っておりました。」

吉重は、他の尾張柳生の連中と違い、江戸柳生にむき出しの対抗心は持っていなかった。

若いころから柳生義親とは親交があり、義親の内に秘めた勝気な性格をよく知っていた。

それだけに、義親の右衛門に対する言葉を、驚きをもって聞いていたようだった。

「その右衛門が、田原藩に近く訪れるとの噂が流れていようで。」

渡辺がそう言うと、三人の注目は一挙に右衛門に集中し始めた。

「しかし、妙じゃな、なんで右衛門は田原藩に行かねばならんかのう。」

竹腰正弘が不思議そうな顔をした。

「大目付の頼みでも聞いてのことでは・・・。義親殿は、右衛門を我が重鎮のように言っておられたのを覚えていますが。」

柳生吉重がそう言うと、二人は一応納得するように頷いた。

彼らが、田原藩の家臣が藩主に押しているのが、右衛門の甥の源一郎であることを知るのは、もう少し後になってからであった。

「吉重殿、剣豪として、今をとどろく右衛門を倒してみたいと思っているのでは・・・。」

渡辺が、そう言って吉重の胸中を探るように、彼の表情を観察した。

「いや、柳生孫之丞殿のところには、右衛門を倒せる力量の門下生が何人もいますからな。尾張柳生の名声を狙って、今頃いきりたっていることでしょう。」

吉重は、そう言いながらも、右衛門の到来を心待ちにしている自分に気づいていた。

「そうなると、大目付柳生義親殿の苦り切った顔が、見たいものじゃな。」

竹腰正博がそう言うと、三人の大きな笑い声が、座敷に響き渡った。




3

佐那河内・・・

「源一郎殿、話があるで、後で本堂に来てくださらんか。」

和尚は、日頃あまり立ち寄らない、寺の裏手の道場を訪れ、与助と稽古をしていた源一郎に声をかけた。道場は、以前に比べ見違えるように立派になっていた。

阿波旧藩士や、右衛門、又五郎のうわさを聞きつけ、多くの門弟が、ここ佐那河内に居を定め、港で働いたり、漁業・農業をしながら、この道場で腕を磨いていた。 

中には、藩が取り潰されて、食うに困って家族で佐那河内村にやってくるものもいた。

和尚は、来るもの拒まずで、そんな家族の子供たちのために寺子屋まで開いて、読み書きを教えていた。

「何だろうな。和尚様がわざわざここまで来て・・。」

源一郎は、剣の腕を日増しに上げていた。

今日も、与助の激しい練習に根を上げることなくついていた。今では、源一郎は、与助の一番の弟子になっていたのである。

「さあ、源一郎様、今日はここまでにして、和尚を待たせぬよう着替えてすぐにお出でなせれ。」

与助の言葉の口調は、歯切れが悪かった。絶えずうつ向きがちで、源一郎の目線を避けているようにも見えた。


源一郎が、本堂に行くと、仏像の前で経を読んでいた和尚が自分の横に座るように手招きした。 縁側では、朝の掃除を済ませた五平が、廊下で転寝をしていた。

「和尚様、何か用で・・。」

源一郎は、本堂の仏像の前に座ると、そう尋ねて和尚の横顔を見た。

「弥吉さんが、あなたのお父上の事について、聞いた噂がありましてな・・・。」

そこまで言って、和尚はちらりと源一郎を見た。

源一郎は、何かを嗅ぎつけたかのように、一瞬、暗い表情を見せた。

「どうやら、藩の相続争いの犠牲になって、何者かにあやめられたそうです。」

和尚は、源一郎に一挙に打ち明けた。

「そうですか。」

源一郎は、悲しみをさとられまいとするかのように、なるべく声の抑揚を抑えながら、そう答えた。

「今、後ろで寝ている五平はな、幼い時に丁稚として大阪の大前屋さんで働くことになった。物心つくかつかぬ子どもが、毎日必死で働いたのじゃ。源一郎殿、どうして五平はそんな過酷な環境で耐えられたと思う・・・。」

和尚の目には、薄っすら涙で目が潤んでいた。

「さあ。」

源一郎は、和尚の目も見ず、ただぽつりと言った。

「それはな、この阿波に、母親と父親が一生懸命百姓をして暮らしていたからじゃ。

五平の安否を気にかけながらな。だから、五平は大阪でいても決して一人ではなかった。五平の心の中には、母と父がいつもいたのじゃ。」

和尚がそう言った途端、源一郎は、今まで堪えていた悲しみが一挙にこみ上げ、これ以上押しとどめることができなくなった。

両手を膝で支えながら、身を震わしながら嗚咽する源一郎の姿は、あまりにも哀れだった。

「源一郎殿、つらいことがあったら、堪えることはない。それでいいのじゃ。

じゃがな、死は決してこの世では、お互いの再会を許さないが、心の中に思い続ける母や父の存在は、永遠に消し去ることはできんのじゃ・・。あなたに両親を思う気持ちさえあればな・・。 私の生まれた家は、京の公家の家でな、母様はわしが幼いころに死んでしもうた。その頃のわしは、母様に会いとうてな・・・。どうやったら会えるのか、いつも考えていた。父上は、いつも家にはいなかったし、乳母だけがわしの話し相手だったのじゃ。そこで、わしは一度その乳母に、母にどうやったら会えるか聞いてみた。

すると、その乳母の言うには、―仏にお祈りなさいませ、そうすれば必ず、母上はあなた様の心に宿ってくださいます。―そう言うのじゃ。そこでわしは、近くの寺へ行って、毎日毎日、母を思い祈ってみた。そうするとどうじゃ、わしの一念が通じたのか、何度も夢で母と会えるようになった。わしは一人ではないと感じたのじゃ。」

源一郎は、和尚の言葉に何か救いを求めていたのだろうか、いつの間にか泣くのをやめて、熱心に和尚の言葉に聞き入っていた。

「考えてみれば、人間生きるときも死ぬときも、たった一人。己がこの世に現れる前は、どうやっていたのか、死んだらどこへ行くのか。誰も答えることなどできはせん。

ただすがることができるとしたら仏のみ・・・。そして、仏を信じるも信じないも、己が抱く心の思い。源一郎殿、この世で確かなことは、あなたがこうやって生きているということ・・・。あなたが生きている限り、あなたの愛する人は、あなたの心にしっかりと宿って離れることはない。この世はただの空蝉じゃ。しかし、あなたが大切に思う人は、あなたの心の奥でしっかりとあり続けますぞ・・・。あなたの生きる拠り所となってな。」

そう言うと、和尚は源一郎の父のために仏に向かって、経を唱え始めた。

源一郎も、それ以上、和尚は何も答えぬと確信して、経を唱える和尚の横で、亡き父と母のことを思いながらじっと手を合わせた。



4

右衛門田原藩に行く・・・

右衛門が、田原藩にやってきて、最初に訪問したのは、伊予の夫である佐藤林七が住む屋敷であった。林七は、田原藩に逃げ帰って以来、生家の安住家で今も田原藩筆頭家老を務める父安住助左衛門と共に暮らしていた。彼は、この地で父助左衛門の尽力で勘定方の役人として田原藩士に復帰し、人に目立たぬようにひっそりと暮らしていた。

「林七殿。」

休みの日だろうか、林七は、屋敷の門の近くで竹箒たけぼうきを使い落ち葉を集めていた。そんな時、編み笠を深くかぶり、長旅で埃まみれになった着物をまとった右衛門が、そんな林七に声をかけた。

最初、その呼びかけにふと顔を上げて、笑顔を見せた林七の顔が、緊張の面持ちに一変した。右衛門であることを認識したのである。途端に、箒を持つ手がわずかに震え、じっと右衛門の方に視線を定めることができなくなっていた。

「お元気でおられたか、兄上!」

そう言って、右衛門は笠を取ると、笑顔で林七を見た。

「右衛門殿か。源一郎の父恒明殿が亡くなられたので、いずれあなたがこの地に来るとは思っていたが、やはり来られたか。ささ、むさくるしい家ですが入って下され。」

林七は、一生懸命平静を装いながら、右衛門を歓待しようとした。

ちょうどその時、誰かの来訪を聞きつけた家の使用人が、門前までやってきた。

「父上に右衛門殿が来たと告げてまいれ。」

林七は、急き立てるように、手伝いの男に声をかけた。

右衛門の最後の言葉で、自分に敵意のないことを悟った林七は、心のどこかで、見能林藩でいたころの藩主としての右衛門の面影に懐かしさを感じていた。

そして、顔一面に笑顔をたたえて、右衛門を屋敷に迎え入れようとしていたのである。


「見能林の騒動(右衛門1)では、我が息子がとんだ不始末を・・。あろうことか、主君に弓引いて、主席家老(岩山)に従ったこと、なんとお詫びすればよいか・・。さらに、我が身可愛さに、こうやって妻子を残し、故郷に舞い戻ったこと・・。林七には腹を切るように命じたものの、我が子可愛さに、このように田原藩で藩士に復帰させてしまいました。親子ともども右衛門殿には、申し開きもできません。」

林七の父田原藩主席家老の安住助左衛門は、深く頭を下げ、再び上げようとしなかった。

「助左衛門殿、頭をお上げくだされ。見能林藩主伊織も私も、兄上には何の恨みもございません。それが証拠に、私は姉上や陽明を阿波の佐那河内で大切に預かっております。いや、預かるというのは少し違うかもしれません。姉上は、あの地で下の者にも慕われ、農民までも敬っております。そのことは、お気になせれるな。」

右衛門は、三人に頭を深く下げられ、困った顔で本心を正直に伝えた。

「そう言ってくださると、今までの胸のつかえが下りたようです。改めて、右衛門殿のご配慮には、安住家一同、お礼申し上げます。」

助左衛門は、年のせいか、あくまでも大袈裟だった。

「伊予殿と陽明は、つつがなくお過ごしでしょうか。」

恐縮していたものの、孫のことが知りたかったのか、助左衛門がたまりかねたように、孫のことを右衛門に尋ねた。

「陽明は、屈託もなくいつも笑顔を絶やさぬ子でしてな。村のみんなの人気者です。

うちの村には、新婚の夫婦が何組かおりましてな。みんな陽明のような子を欲しがっております。安心なされよ。いずれ会いに来ると思いますぞ・・・。」

右衛門が、老人にそう言って慰めると、助左衛門は、安心したように笑顔を見せた。


安住の家は、林七の兄が、この家を継いでいたのだが、三年前に病死したのである。そんな理由もあって、安住助左衛門は、林七が逃げ帰った時、強く責めることができなかったのかもしれない。しかし、田原藩士の間では、逃げ帰った源一郎の父と林七のことを、あまりいいようには言わなかった。

「臆病風をふかして、逃げ帰った見能林の二人。」という言葉が、藩士の間での二人を指す代名詞のようになり、林七と源一郎の父は、日々追い詰められるような暮らしをしていたのである。

そんなある日、藩主が突然、不審な死を遂げた。表向きは、病死であったが、藩士の間では、尾張藩の陰謀説がもっぱらであった。

仕方なく、田原藩重鎮の合議の結果、この地で忘れ去られていた、元藩主側室の子でもあり、先祖から田原藩の領主の血を引く恒明(源一郎の父)に藩を継がせることでまとまった。しかし、恒明は、頑なに重鎮たちの藩主就任の誘いに乗らなかった。

「何をいまさら、今までわしを邪魔者扱いにしておいて、困ったときだけこうやって頼みに来る。」

心の中では、そんな田原藩士たちに恨みを持っていたのである。

そして、この話はこれだけでは済まなかった。田原藩を属国扱いしてきた尾張藩が、この機に、藩主まで尾張藩からいただくように迫ってきたのである。もし、尾張藩から藩主を迎えたなら、田原藩は尾張藩の従属国になるようなものだった。

それを嫌った田原藩は、尾張藩に対して必死の抵抗を始めた。その矢先、佐藤(旧姓三宅)恒明は、あっさり屋敷襲撃によって殺されてしまったのである。

この間の事情を横から見ていた林七にとって、唯一の同じ境遇の仲間であった恒明が殺されたことは、藩の存続争いがいかにむなしいことであるかを二度も味わって、しみじみと恒明の不運を身につまされたのであった。 



尾張藩は、田原藩重鎮達の目に見えない反抗にもかかわらず、ますます強圧的に服従を迫ってきた。最初にやったことは、田原藩の治安を乱すことだった。近ごろでは、毎日のようにやくざ者や職を失った浪人達が、田原の町に流れ込み、火付け、強盗などの犯行を重ね、治安が極度に悪くなったのである。そんな尾張の嫌がらせに対して、なすすべもなく押し黙っている田原藩の重鎮たちに対する青年藩士たちの不満は頂点に達していた。

そんな折、藩内では恒明の息子源一郎は、先の紀州藩の騒動で、黒龍党を壊滅的に叩きのめした佐那河内一派の頭首、右衛門の甥であることが、誰か(おそらく、弥吉が田原藩に送り込んだ密偵だろう)の情報で伝わり始めたのである。更には、源一郎は佐那河内にいて、近くこの田原藩に帰ってくる。などという根拠のない噂が駆け巡った。

田原藩藩士は、一挙に盛り上がった。

「源一郎様を藩主にして、尾張藩から独立せねば・・。」

とかく先走る青年藩士たちは、そう言って田原藩を危うい状況に追い込もうとしているように見えた。

実際は、この時点で、源一郎も佐那河内の連中も、こんな事情には、寝耳に水であったのである。しかし、このような騒動は、誰の意図にも反したまま、時の勢いでとんでもない方向へ向かうことがある。実際、田原藩の青年藩士たちは、尾張藩や幕府、更には紀州藩や大前屋、万座屋のような巨大組織が、どのような力関係で暗躍しているか知る由もなかったのである。


「玄関に田原藩藩士と名乗る若者が三人、右衛門様に会いたいと参っておりますが・・・。」

四人のいる座敷のふすまを開けて、林七の亡き兄の妻早苗が知らせに来た。

この家には、他にも林七の兄の子供で小夜という十になる娘がいた。

「どうして右衛門殿が、この家に来たのが分かったのか。」

安住助左衛門が不快そうな顔をして、嫁に問い詰めた。

兄の嫁は、困った顔をするばかりで、どうしていいものやら困惑している様子であった。

「父上、奴らは最近、源一郎の噂を聞きつけ、いずれ右衛門殿がこの屋敷を訪問すると思い、秘かに見張っていたのですよ。私は、田村ら数人がこの家の周りをうろうろしているのを何度か見かけたことがあります。」

林七は、困っている兄の嫁の早苗の代わりに答えた。

「帰ってもらえ。あの者らに何の関係があるのじゃ。人の家を覗きまわして・・・。」

助左衛門が、不快そうな表情で、嫁の早苗に命じた。

「いや、別段、内密な話があるでもなく、どんな事情でわざわざ訪ねてきたのか。会ってみますので、ご迷惑でなかったらこの座敷にお呼びくだされ。」

右衛門が、そう言うと助左衛門は、呼んでくるようにと、早苗に目配せした。


右衛門は、座敷に入ってきた三人の侍の中の田村勝信の身をこなす所作に目を引かれた。

「この男、このような小藩の藩士にしては、相当の剣の腕では・・。」

田村は、右衛門の前に座ると油断することなく、自分の刀を横に置いた。

おそらく、誰かがいつ斬りかかっても対応するだけの身のこなしだったのである。

右衛門が、与助に最初に会った時も、自分の背後にいつも与助の気配に注意を怠ることはなかった。頼みもしないのに、雲水になって旅に出た右衛門の後を、つかず離れずついてくるあの頃の与助の記憶を、田村の油断のない所作に重ね合わせた右衛門は、思わず笑みを漏らしてしまった。

「我ら三人、右衛門殿がいつ来るか、ずっと待ち望んでいたのです。こうやって、右衛門殿にお会いできる機会を得て、こんなうれしいことはござらん。」

田村勝信は、右衛門の無関心とは対照的に、小野、森下と共に、今にも感涙の涙を流さんばかりであった。

「いや、少し待たれよ。私はただ、源一郎の父が亡くなったという知らせを受け、その理由を知りたくて、こうやって田原藩に来たまでのこと。おぬしらは、何を期待されているのか分らぬが、私はおぬしらの期待に沿える様な人間ではないと思うが。」

右衛門は、田村の言葉に困惑したまま、急いで言い訳をした。

「今、右衛門殿がおっしゃられた源一郎様のことです。我々は、源一郎様を我が藩の主君としてお迎えするべく、田原藩士青年隊として結集しているのです。何としても我らの願いお聞き届けくだされ!」

そう言って、三人は右衛門の前で深く頭を下げたまま、微動だにしなかった。

その時、再びふすまが開いた。

「火急の用件で大前屋様の使いのご浪人が、右衛門様にご面会したいと言っていますが・・。」

再び、用件を伝えに来た早苗の表情は、少し曇っていた。

「早苗、何か不審なことでも。顔が曇っているが・・。」

早苗の表情に気付いた助左衛門が、すかさず尋ねた。

「いいえ。ただ、おいでになった方々、何か異様に緊張なさっていまして・・。」

不審そうな顔をして、早苗が答えた。

「ほう、それは怪しい。私が応対しましょう。」

そう言って、田村勝信が、右衛門の打診も待たず立ち上がった。

「わしもまいろう。もし、大前屋の使いのものであったら、失礼があってはならんのでな。」

そう言って、田村に続くように右衛門が立ち上がった。


右衛門の姿を見るや否や、その三人の侍は、先を期すべく、右衛門の前で刀の束に手をやった。しかし、それでも、右衛門の抜刀は、三人の刀が鞘から抜ける前に、一人目の男の胴を払い、二人目の浪人の首を掻いた。すさまじい血しぶきが上がり、その様子に恐れをなした三人目の男が、玄関から外に飛び出した。

しかし、右衛門の後ろに従っていた田村勝信が、その男を追っかけて、後ろから、一刀で鮮やかに袈裟に斬り殺した。

異様な物音に様子を見に来た早苗の娘の小夜の悲鳴が屋敷中に鳴り響いた。

「小夜、静かに!」

母早苗が後から現れ、娘の興奮を沈めた。

それに続くように、屋敷の全員が右衛門たちの修羅場に駆け付けた。

「娘には過酷なものを見せてしまった。」

右衛門はそう言うと、早苗に頭を下げた。

早苗は娘の目を覆うように抱きしめていた。

「おそらく、他国の浪人と思うが、おぬしらこの死体の始末頼めるか。」

右衛門が、藩士三人にそう聞くと、三人は合わせたように頷いた。

「林七殿、助左衛門殿。少し、この藩の内情を聞きたいのだが、よろしゅうござるか。」

右衛門は、改めて、この藩で重大な騒動が起こっているのを認識するのであった。



5

尾張柳生、柳生孫之丞宅・・・

「先生のご命令で、集めた連中です。正幸、小野、右衛門、いずれも相手に対して一人で勝負できる連中です。」

関兼定(尾張柳生頭首代行)が、孫之丞の指図通り、尾張柳生の精鋭を集めて、尾張柳生頭首の前で、正幸、忠成、右衛門を打ち倒すための門弟を紹介しようとしていた。

関が目で指示すると、三人がそれぞれ自分の名前を名乗っていった。

「尾張柳生道場師範代、笹久内。」

「尾張柳生犬山道場、笹川義綱。」

「同じく、吉田八郎。」

三人が名乗るたびに、孫之丞は軽く頭を振り、どこか嬉しそうに見えた。

「関、この者らで、奴らみんな倒せるか。」

孫之丞の言葉に、関は即答を避けて、しばらく考えた後、

「小野派道場四天王、江戸柳生師範、それに、小野忠成や桜井半兵衛を破り、得体の知れない強さの佐藤右衛門。必ず勝てるとは・・・。もし、先生が、一対一の勝負でなくとも、とおっしゃるなら、いかようにも倒して見せますが・・・。」

関が、苦しい人選を迫られた内情を吐露した。

「それはならぬ。もし、複数の門弟で相手を倒したとしても、それによって尾張柳生の威信が保てるわけではない。われらは、柳生兵庫助様がこの地に柳生の道場を開いて以来、天下の柳生の名をほしいままにしてきた。わが先人たちは、どんな剣豪でも勝負を拒みはせず、ことごとく倒してきたのは、この尾張柳生が日の本一の流派であることを天下に知らしめるためじゃ。そのこと肝に銘じて、事に当たってくれ。」

孫之丞の精神訓を聞くたびに、

「今は、そのようなことを言える世の中ではない。」

と、関は心の内で思うのであった。

更に、尾張今尾藩には柳生吉重がいた。同じ尾張柳生ながら、吉重と孫之丞は、性格が合わず、考え方もかなり違っていたので、交流はあまりなかった。

むしろ、吉重は、同年代の大目付柳生義親と親交が深く、信頼しあえる間柄であった。

確かに、孫之丞の門弟は、惜しみない尾張犬山藩の援助もあって、綺羅星きらぼしのごとく才能ある剣豪が生まれた。しかし、その中で右衛門に勝てるとなると、名前を挙げるのが難しいのである。それ故、関は今回の人選に苦労した。ただ、右衛門に勝負を挑む笹久内は、尾張柳生犬山藩師範代の中でも頭一つ出ていた。残り二人にしても、正幸や小野忠成に勝てる絶対的自信はなかったのである。

「正幸は、同じ柳生流でありながら、流派を異にする小野派の御曹司と交友を深め、柳生流を雑種の犬のごとき変種に変えるつもりらしい。江戸柳生は、柳生の真の精神を忘れてしまい、幕府の御政道にうつつを抜かしておる。わが柳生は、決して政治家などではない。よりによって、戦いの実践ばかり唱えて、剣の精神もわからぬ小野一刀流などと一緒になりおって・・・。吉田、佐々、佐川! 天下に柳生の誇りを知らせるため、奴らに真の剣の道を叩き込んで来い!尾張柳生ここにありとな!」

孫之丞の言葉は、激しかった。

三人の剣豪は、孫之丞の言葉に感化され、改めて自分たちの任務の大切さを確認していた。

ただ、その側でいる関兼定だけは、何か納得できない気持ちで、孫之丞の言葉を聞いていた。

「結局、あの方の精神訓で、無理難題を背負い込むのは自分や門弟なのではないのか・・・。なぜ小野一刀流と交流することが、彼らに死闘を挑む理由になるのか。」

と密かに自問し、古臭い孫之丞の言葉に従わねばならない自分に矛盾を感じていた。


「猶予は十分にある。密かに相手の近くで様子を見ながら、状況が難しいと思えば、勝負を挑まず帰ってこい。後は、先生には、わしが何とでも申し開きをしておく。」

孫之丞がいなくなった後、関は三人に精いっぱいの思いやりを示したつもりだった。

「頭首代理の言いようは、まるで我々が負けでもするかのようではありませんか。そんな気持ちで右衛門や忠成、正幸に挑めば、勝てる勝負も負けてしまいます。」

笹は、不満をあからさまに表情に出して、関に抗議した。

「関様は、われらをお疑いか・・。それとも尾張柳生の実力をそのようにお思いか。」

佐川の言葉は激しかった。

三人の怒りのまなざしに、関は狼狽した。

「すまぬ。わしの失言じゃ。」

そう言って、関は三人に深く頭を下げた。

なんともしまりの悪い雰囲気の中、三人の男たちは、それぞれの相手を求めて長い旅に旅立って行った。屋敷の高台から見送っていた関兼定は、三人の姿が夕日に照らされて、陽炎のようにぼんやりとなったとき、この始末、自分の剣で決着をつけるのではないかという予感を打ち消すことができなかった。




6

右衛門帰路の途中・・・

「主人、何か食わせてくれんか。」

右衛門はそう言って、山の中腹にある農家一軒家に田村勝信と一緒に飛び込んだ。

険しい山道を歩いて、数里来た時、突然二人は土砂降りの雨に見舞われた。

少し歩いた所で、幸いこの農家を見つけたのである。

農家の主人は、快く二人に食べ物を出してきた。

ただ、右衛門にとって、ひえの飯を食べるのは初めてだった。

添え物に出された沢庵と里芋は、二人の空腹を満たすには十分だった。

「こんなもんしかなくて・・・。」

百姓は申し訳なさそうに言い訳をした。

「有難いことだ。文句を言えば罰が当たる。」

そう言って、右衛門は主人に笑顔を見せた。

田村勝信は、右衛門と百姓の会話には目もくれず、一心不乱に出された食べ物を食っていた。

「おぬしは、わしの知り合いによう似とるな。わしが、見能林藩を出るとき、わしと一緒についてきた男も、一生懸命沢庵をかじって飯を食っていた。」

右衛門は、ほほえましそうに飯を食う勝信を見ていた。

「私は、母上から、出された食べ物は残らず食べるようにいつも言われていました。

田原藩は、そう裕福な土地ではないので、よく飢饉がありましてな。そのたびに尾張藩に助けを求め、今では尾張藩から借りた借金で藩は首が回らんそうです。だから、尾張の藩士は、わしらを見るといつもさげすむような目で見て、横柄に物を言う。」

勝信はそう言いながらも、一生懸命飯を食っていた。

「我藩も同じようだった。ただ違うのは、見能林の近くには雄藩はないので、何時も幕府の顔色ばかり見ていたな。」

右衛門は、自分が藩主であった見能林の記憶をたどるようにぽつぽつと話した。

「その幕府と同じ立場にあるのが、田原藩では尾張藩なのです。」

勝信は、右衛門に自分の藩の状況を、一緒に旅をする間中、語って聞かせた。

彼は、右衛門と共に佐那河内に行って源一郎と会い、田原藩の現状を佐那河内の仲間にも伝えるように頼まれたのである。


「主人、うまかった。突然現れて、飯を頼んだにもかかわらず、このように歓待してくれて、礼の言いようもない。」

そう言って、草鞋を履き終わると、右衛門は板の間の上に一両そっと置いて、小屋を出た。家の中では、右衛門が置いた一両を見つけた女房だろうか、出口の戸を開け、大きな声で二人に呼び掛けていた。

「ありがたや、お侍様、腹が減ったらいつでも来て下されや!今度は、白い飯を炊きますからな!」

その声に驚いたように振り向いて、女の声を確認した田村勝信は、改めて右衛門の方を向き、

「右衛門殿は、あの小屋にいくら置いてきたので・・・。」

と聞いてみた。

「紙入れを探ったら一両あったので、そのまま置いてきた。」

右衛門は、にこにこしながら勝信に答えた。

「ええ・・。」

勝信は、そう声を上げたまま、しばらくその場に立ちつくし、右衛門をあきれたように見ていた。


山道の横の川を、さっきの土砂降りの雨のために濁流が流れ、反対側は崖であった。

右衛門と勝信は、口を利くこともなく、山越えの遅れを取り戻すために速足で歩いていた。

「田村、気づいたか・・・。」

いきなり右衛門が、勝信に話しかけた。

「はあ、どうやら挟まれたようで・・・。」

勝信の表情が、緊張している。

「襲うには、絶好の場所に追い込まれたようだ。」

右衛門は、渋い顔をしながらも、少し笑みをたたえていた。

突然道の曲がり角から、山のように藁を積んだ大八車二台が、坂道の上りと下りに現れた。三十メートルほどの間隔に、二人を追い込み、袋小路に追い詰めたのだ。

二人一組となり、両台車を引っ張り、両方から二人のいる道を狭めてくる。

すると、突然台車の藁に火が放たれた。

「田村、わしと共について来い!」

右衛門はそう言うと、刀を抜いて、坂の下りの台車に向かって一目散に突進していったのである。

あっけにとられた勝信は、右衛門の気迫に圧倒されたまま、脇の刀を抜いて、彼の背中を追いかけ始めた。右衛門は、燃え盛る藁を積んだ台車の中を、自分が火に燃やされるのを気にする様子もなく、躊躇することなく飛び込んだ。


右衛門という男、身体的に何がそれほど優れているかというと、人並外れた下半身の強靭さにあった。足の筋肉は、並外れた跳躍をする条件をすべて備えていた。

人は、誰でもオリンピックに出られるほどの身体的条件を持っているわけではない。いくら鍛錬しても、報いられないアスリートは、成功する選手の何百倍もいるのである。世の中には、突然変異のように、あらゆる資質が、ある目的に最適な人間というものが、まるで神の芸術作品のように現れることがある。何十年かに一回・・・。少し褒めすぎかもしれないが、右衛門は間違いなく、そんな才能を持った人間に当てはまるのであった。本人は、そのことを望んでいるかは、わからないが・・・。

右衛門は、精神論が嫌いである。それは、尾張柳生の孫之丞とは対極をなすのかもしれない。しかし、孫之丞の養護をするのではないが、人並み以上に鍛えねば剣豪になれないのが、普通の人間の定めである。その意味で、右衛門の剣に対する考えは普通でないのかもしれない。右衛門は、その恵まれた身体と精神を、たまたま授かって生まれた、天賦てんぷという幸運に、えこひいきされているのかもしれない。


驚いたのは、台車を押している男たちとその後ろにつづく浪人であった。予想もしていない、燃え盛る火の中から、右衛門が突然現れたのである。慌てて剣を抜こうとした刺客二人は、右衛門の返し刀で斬り殺され、息もつく間もなく、台車を引っ張る二人の男は、彼の連続動作で振り下ろされた刀の犠牲になったのである。次の瞬間、四人の男の悲痛な叫び声だけが山林の上空に響き渡っていった。

「田村、こっちへ来て台車を押せ!」

着物を焦がす火の粉を払いながら、右衛門が勝信に声をかけた。

勝信は、台車の後ろに回ると、右衛門を払いのけるように一人で台車の柄を持つと、力任せに押しまくり、下ってくるもう一つの火だるまの台車に向かって突進した。

ドカーン。すさまじい音とともに、二台の台車はぶつかったかと思うと、そのバランスを失い、二台もろとも川の中に吸い込まれるように落ちていった。

「わあー。」

驚いた残りの刺客たちは、我先にと上り坂を一目散に逃げて行ったのである。


「おぬし、馬鹿力だな。」

右衛門は、息を弾ませる勝信を、にやにやしながら眺めていた。

「右衛門殿は、天狗なのかもしれませんな。」

言われた勝信は、しゃがみこんだまま大息をしながら、右衛門を見上げてそう言って、大きな声を出して笑った。

「何者でしょうなあ。」

やっと息を整えた勝信が、右衛門に再び聞いた。

「黒龍党か尾張の刺客か・・。まあ、わしの周りは、いつもわしを狙う奴らがうろうろしている。田村、わしのようにはなるなよ。因果なものだぞ。」

右衛門のその言葉には、いつもに増して、真剣みが込められていた。




7

佐那河内にて・・・

「どうだ、与助、田村とやってみんか。」

嬉しそうな顔をして、右衛門が与助に声をかけた。

右衛門は、昨日夜、田村勝信と佐那河内へ帰って来た。

田村は、その夜、飯を食べながら右衛門に愉快そうに話しかけ、人懐っこい笑顔を右衛門に見せたのであった。

与助は、そんな田村勝信がなぜか気に入らなかった。昔、見能林藩を右衛門と旅に出た時の楽しかった思い出が、勝信を見ていると思い出され、なんだか自分の楽しかった時間を奪われたような気になるのである。

「田村、いつでも相手になるぞ。」

与助は、相手が打ち負かされた姿を想像して、にやりと笑った。

「与助、勝信は油断できんぞ。」

三人の会話を道場の片隅で聞いていた又五郎が、与助に声をかけた。

「いらぬことを・・・。又五郎殿は自分より年下だと思ったら、いつも平気で名前を呼び捨てにする。田村とは、昨夜顔を見たばかりではないか・・。まったく気楽な人だ。」

与助は、又五郎に愛想笑いを返しながら、ちゃんと又五郎を評価していた。


予想通り、立ち合いは長引いた。与助の油断もあったのだろうが、勝信は何度か与助の体制を崩しそうになった。勝信の一振り一振りは、ずしりと重かった。外見はそれほど大男でもないにもかかわらず、予想外の力が備わっていたのだ。

長い時間、仕留められない与助は、右衛門や又五郎が見ている手前もあり、次第に焦りを感じ始めていた。

突然、与助はいつも死闘を制するときのように、体を沈め、ただ相手を倒すことだけに神経を集中し始めた。もし、生死をかければ、与助の剣は普段の立ち合いの何倍もの力を発揮するのである。

そのことを知らない田村は、いつもの道場での立ち合いのように、相手を探るべく、不用意に剣を前に突き出した。与助は、そんな勝信の油断を待っていたのである。

出された剣先を鋭い打点で振り払うと、一瞬、勝信の構えに隙が生まれた。

「やあ!」

与助のけたたましい気合の叫び声と共に、勝信の胴が突かれた。

「参った!」

田村勝信は、何の外連味けれんみもなく、与助に自分の負けを認めたのだった。

その試合を、遠くから見ていた源一郎が、パラパラと拍手をし始めた。

そのことに気づいた田村勝信が、敬意を払うように、源一郎に向かって頭を下げた。

「右衛門、面白い青年を連れて来たな。この村は、日増しに強い連中が増えてくる。

ぼんやりしとれんなあ。」

そう言って、又五郎は愉快そうに笑った。


その日の夜、和尚を中心に大事な合議に参加する佐那河内の丘の上の連中が集まった。

田村が、田原藩の内情を話し終わったとき、一番に口を開いたのは伊予であった。

「それで、安住の父上は、何とおっしゃっているのです。」

伊予が田村に尋ねた。

「もちろん、源一郎様を藩主に擁立することに希望を持っておられます。

今、田原藩で先頭になって、尾張犬山藩から成瀬様の御三男を藩主に迎えるのに抵抗なされているのは、筆頭家老の安住様ですから。」

勝信が、丁寧に伊予に答えた。

「だが、源一郎様は、見能林藩佐藤家の血を引く見能林藩の御本家筋の子孫でもありますからな・・・。」

佐吉が、田原藩の勝手な提案にくぎを刺すように、見能林藩の立場も解説した。

「しかし、今は伊織様が藩主でおられ、いずれお子も授かりましょう。そうなると、見能林藩では、源一郎様は難しい立場になるのでは・・・。」

そう言って、佐吉の意見に口を挟んだのは、弥吉であった。

弥吉は、今回の一件で田原藩の港を使って江戸までの帆船航路を開きたいと、もうずっと前から田原藩の実情を調査してきていただけに、佐吉の言い分に逆らうのは、私情とはいえ、仕方がないのかもしれない。

「藩の事情で、源一郎が自分の生き方を曲げるのであれば、昔の自分と同じになる。

源一郎には、そんな立場に追い込ませたくはないのだがなあ・・。」

普段、こういう話し合いでは、積極的に意見を言わない右衛門が、柱に背を持たせたまま、しんみりとそう言った。

「わしもそう思う。源一郎殿、そんなに時間はないが、あなたの考えがまとまれば、ここにいるみんなに話せばいい。きっとみんな力を合わせますぞ・・・。」

和尚が、そう言うと、その後に何か言おうとするものはいなくなった。

長引くと思った話し合いは、和尚のその言葉で、意外なほど早く方向性が決まったのである。

ただ、任された源一郎の思案はそう簡単ではないと思われたのだが・・・。



8

夏前の右衛門の住む寺の奥の座敷は。静寂に包まれていた。

その日の深夜、少しひんやりとする板の廊下を、小さなろうそくを頼りに、源一郎が右衛門の寝間をたずねた。

「叔父上、寝られましたか。」

旅の疲れもあった右衛門は、一回の問いかけで、目を覚ますことができなかった。

「叔父上・・。」

源一郎が、二度目の声を、少し声を高めて呼び掛けた。

「ああ、源一郎か。今行く。」

呼びかけに爆睡して起きられなかった時、もし人に襲われたら、どんな無様なことになるか・・。 そんなことを思いながら、右衛門は慌てて行燈の灯をともし、障子を開けた。

「お休みのところ申し訳ありません。」

源一郎は軽く頭を下げた。

「いや、不覚にもお前の声にすぐ答えられなかった。わしも侍失格だな。」

そんな冗談を言いながら、右衛門は頭をかきながら、笑みを漏らした。

ふと見ると、横の屋敷の座敷から、誰かがまだ起きているのだろうか、ほのかな光が右衛門の所へも届いていた。

右衛門は、源一郎と対座すると、さっき飲んだ湯飲みに残った水をぐっと飲みほした。

「ところで、何か決心がついたか。」

右衛門が、源一郎に尋ねた。

「私は、以前、和尚様に父の死を告げられた時、和尚様は、私に母と父のことを心の中に思って仏に祈れば、きっと夢で父と母が会いに来てくれるとおっしゃいました。そこで、私はその言葉を信じて、母と父のことを心の中で考えながら、寺の本堂で、たまになのですが、手を合わせてきました。」

源一郎は、恥ずかしそうに、和尚の教えを実行した事を右衛門に伝えた。

「ほう、和尚がなあ・・。それで、両親は夢に現れたか。」

右衛門は、真剣な顔で源一郎に尋ねた。

「現れました。ついさっき、いろいろ考えながら、やっと寝付いたのですが・・。すると途端に、父が私の夢に現れて、わしの生まれた田原藩へ行って、お婆様に会ってくれと頼むのです。私は、はっとして飛び起きました。このこと、明日叔父上に知らせようと思ったのですが、矢も楯もいられず、こうやって会いに来てしまいました。」

源一郎が、そう言い終えて、うつむいていた頭を上げてみると、右衛門の今にも泣き出しそうな顔をしているのに気がついた。

源一郎は、見てはいけないものを見たかのように、再びこうべを垂れてしまった。


その時、もう一人右衛門の所へやってきた人がいた。伊予である。

「右衛門、どうしても寝られなくて・・。そうしたら、お前の部屋の明かりがついているのを見つけて、迷惑とは思ったが、少し話を聞いてくれぬか。」

伊予は、障子越しにそう呟いて、右衛門の声を待った。

右衛門は、何も言わずに立ち上がると、すっと障子を開けた。

「源一郎、お前も来ていたか。」

伊予は、驚いたように源一郎を見ていた。

「林七殿は、元気でしたぞ。」

右衛門は、伊予が座るや否や、林七の安否を伊予に伝えた。

「あの人のことは忘れました。陽明を捨てて、さっさと田原へ帰ってしまったような人・・・。あのような人は、私の夫と呼ぶにはあまりにも情けない。」

伊予は、そう言って、わざと林七をけなして無関心を装おうとした。

「無理をなさいなすな。林七殿が、どうしているのか知りたいと、顔に書いておりますぞ。」

そう言って、右衛門が伊予をからかった。

「右衛門!源一郎の前で、姉を侮辱するつもりか!」

伊予が、血相を変えて、右衛門を叱責した。

右衛門は、その怒りに押されるように、伊予の前で頭を下げた。

「これは、失礼。じゃが、姉上、林七殿も反省しています。許してやりなされ。わしも、安住の老人に何度も謝られて、何の遺恨もないと説得するのに往生しました。」

右衛門は、伊予の剣幕を沈めることで、すっかり眠気が覚めてしまった。

「そうか、お前がそう言ってくれたら、私の胸のつかえもおりました。改めて、田原まで行ってくれて、礼を言います。」

そう言って、伊予が右衛門に頭を下げた。

「姉上、源一郎は、田原へ婆様に会いに行くことにしたそうですぞ。」

右衛門が、伊予に源一郎の意志を伝えた。

「そうか、源一郎、お前は強い子だな。おそらく、姉上に似たのだろう。わたしも強くならねば・・。右衛門、私もいつでも田原に行く覚悟ができた。必要なら、いつでも言っておくれ。」

「そのこと、林七殿に伝えておきます。」

右衛門がそう言うと、伊予の顔がうっすら赤くなるのを、右衛門は見逃さなかった。

これで、佐那河内の連中の挑戦が新たに始まることになったのである。

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