第四話 お父様は魔王様。
お久しぶりです。本当に久しぶりの投稿なのでかなり書き方や主人公の性格などが違う可能性がありますが、許してください。魔王様に免じて。
ああ、これが。これが私のパパなのか。
漆黒で染まった艶やかな長髪は光をも吸い込もうとする。赤くギラつく、それでいて感情の読めない切れ長の目は今にも私を射殺さんとしているように感じた。
こりゃあかん。無理ゲだ。バッドエンドしか見えん。
私は半ば生きることを諦めて、パパにむかって手を広げた。
「あーーう」
(殺すなら殺せえ)
その様子にパパは少し固まる。だがすぐに戻り、私が今寝ている部屋の中央の、無駄にでかいベッドに歩み寄ってきた。
エミリー、マリア、おそらく部屋の前に立っていたのであろう男の人は部屋の隅へ移動し、ハラハラとした様子でパパの行動を伺っている。
エミリーとマリアは、私を助けたいという気持ちがあるように見えるが、パパを恐れて何もできないようだった。
あー短い人生だった。せめてなんかうまいもんでも食ってから死にたかった。
不意にパパが口を開く。
「こいつ、気色の悪い目をしてるな」
フッと鼻で笑い、蔑むような目で私を見下ろす。
おい今何つった?あんたの血ぃ引いてんだよ、お揃いなんだよ。鏡で自分の顔見たことない?
ぷんすか私が怒っているのがわかったのか、すこし表情が柔らかくなった…ような気がした。が、すぐにまたあの人形のような無表情に戻る。
「生後1ヶ月の赤子でも俺の言ってることがわかるとは、まあまあ知性はあるということか。血というものは知能までも変える」
なんだか少しだけ誇らしげだ。
私としては、いやちげーよ、転生したからだよって感じだが、まあこの美形がすこし人間っぽく動いたような気がするから許す。イケメンには勝てん。
だが、と言ってパパがこちらへ手を伸ばす。
ん?抱っこか?片手で??
と、呑気なことをを考えていたら、首を掴まれ、上へ持ち上げられる。
まてまて、わし首座っとらんがな。己、鬼畜か?
すると、ずっと部屋の隅で固まっていた従者の中からエミリーが勢いよく出てきた。
「やめてください!私の命ならいくらでも渡します!だから、だからその子だけは!奥様が命と引き換えに残したその子だけはどうか生かしてやってください!!」
ええ、そうだったのね私。
見ることもなく私を生んで死んでしまった母。マリアやパパの話を聞く限り、すぐに死んだようには思えないけど、たしかに私が原因だろう。
私は母に生かされ、かわりに母は死んだのだ。
じゃあ、生きなきゃ。
私は首を掴む魔王を睨んで、腕を噛む。
が、肌がカッチカチすぎるしまず赤ちゃんだから全然力も出ないから歯形もつかん。どうしたもんだ。
すると頭の中に声が響く。
【オリジナルスキル:魔王への反抗を獲得しました】
……ん?